舞台『家族モドキ』の公開ゲネプロが25日に東京・日比谷シアタークリエにて行われ、山口祐一郎、浦井健治、大塚千弘、保坂知寿が取材に応じた。

  • 左から大塚千弘、山口祐一郎、浦井健治、保坂知寿

    左から大塚千弘、山口祐一郎、浦井健治、保坂知寿

同作は田渕久美子(脚本)×山田和也(演出)のコンビによるオリジナル作。大学で教鞭を執る高梨次郎(山口祐一郎)は、窓から家を覗いてきた若者・木下渉(浦井健治)に気づく。次郎の一人娘・民子(大塚千弘)の大学時代の同窓生だと名乗る渉を家に引き入れ、数年ぶりに家に帰ってくる娘の民子と再会を果たすことになったが、予期せぬ事実が発覚。混乱する次郎の前に、渉の妻・木下園江(保坂知寿)が現れ……。

2020年12月にシアタークリエ他にて上演した『オトコ・フタリ』以来、脚本・演出・キャストと同じメンバーが約3年ぶりにそろったという同作。山口は「コロナのこともあって大変だったんですけど、その期間もみんなで力を合わせて、今年また会えて素敵な劇場で楽しい作品をお客様にも楽しんでいただけるということで、初日を今から楽しみにしています」と喜ぶ。

同作に込められたメッセージについて聞かれると、「家族じゃないですかね。思いやる気持ち」(保坂)、「生きてたらいろんなことがある」(大塚)、「笑った後に泣くような人生だよなと。一寸先は闇じゃないですけど、みんなに起こりうる。今の日本で生活していたら必ず起きることかもしれない、だから学べるところが魅力」(浦井)とそれぞれに表す。最後に山口は「みんな違っていいんですよ~、あなたはあなたでいいんですよ~」と優しい言葉でまとめていた。

また家族観について話が及ぶと、山口は「がんもどきも、雁のお肉に似てるということで、『家族モドキ』も“家族のような”というんですかね。いろんな形で『家族はこういうものです』と教育され、気がついた時にはしがらみの中で生きていくようなことがあるかもしれないんですけど、そんな中でカチッとした家族じゃなくて『今までと違ってこんなことがあるんじゃないでしょうか』という提案につながっていく」と同作について語る。「楽にみなさん頑張って生きていきましょう、というメッセージを自分ももらっているつもりです」と明かした。

浦井は「ミュージカル界といいますか、演劇界って家族だなと痛感すると言いますか。『目線の先に未来がある』じゃないですけど、プロディーサーさんの眼差しとか、祐さんとか知寿さんのやってきたものの大きさも含めて、一緒に同じ時代を家族として生きていられることは醍醐味だなという気がします」と演劇界の“家族感”について話す。大塚は「“家族”と聞くと、あったかくなれる。それは血の繋がりがあろうとなかろうと関係ないんだなというのを、この作品を通じて痛感しましたし、この3年間、コロナでマスクで顔が見えなかったりという中での、人とのつながりを経験したからこそ感じるあったかさだったり、そういうものって家族なんじゃないかなって思います」、保坂は「血のつながりもあるけれど、そうでないつながりで、お互いを受け入れて寄り添って生きていく集合体というか、それはいろんな形があるよねというのが、『家族モドキ』という作品なのかなと思っています」と語った。

公演は東京・日比谷シアタークリエにて7月26日〜8月13日。

公開ゲネプロ写真(1幕のみネタバレあり)