BPO放送人権委員会は18日、あいテレビ(愛媛県)の深夜バラエティ番組『鶴ツル』(22年3月まで放送)への女性出演者からの申立てについて、「人権侵害は認められず、放送倫理上の問題もあるとまでは言えない」とする委員会決定を公表した。
この番組は男性タレント、愛媛県在住の住職、女性フリーアナウンサーである申立人の3人を出演者として、2016年4月に放送開始。3人が飲酒しながらトークを行う番組だが、このフリーアナウンサーが、番組中での他の出演者からの度重なるセクハラ発言などによって羞恥心を抱かせられ、そのような番組を放送されたことでイメージが損なわれたとして、人権侵害を受け、放送倫理上の問題が生じたとBPOに申し立てた。
あいテレビは「番組の内容は社会通念上相当な範囲を逸脱しておらず、人権侵害や放送倫理上の問題はない」と反論していたが、委員会は審理の結果、「人権侵害は認められず、放送倫理上の問題もあるとまでは言えないと」判断。
その上で、制作現場における構造上の問題(フリーアナウンサーとテレビ局という立場の違い、ジェンダーバランスの問題)に触れ、あいテレビに対して職場環境や仕組みを見直し改善していくための取り組みを続けるよう要望。さらに、放送業界全体に対しても注意を促した。