特に印象に残っているシーンは「信康の最期」と「五徳との別れ」だそうで、信康の最期のシーンでは、現場の熱量の高さを感じたと語る。

「リハーサルからだいぶ覚悟はできていたような気はします。焦っていなかったですし、落ち着いていました。みんなにかけるべき信康の最後の言葉は監督との決め事としてあって、本番を迎えたら異様に空気が熱かったのを覚えています。演じていてすごく汗をかきましたし、それくらい熱量が高まったシーンだったと思います」

信康と妻・五徳の関係については互いに「大好きだった」と捉えている。

「信康は五徳さんのことを間違いなく大好きだったと思うし、向こうもそうだったと思う。久保さんとも現場で『そうだといいね』と話していました。第25回で信康がいよいよ城を出るとなったときに五徳さんと話すシーンが一番好きで、信康に刺さるセリフを五徳さんが言うのですが、そのシーンを撮り終えてからますます、良い関係性だといいなという思いが強くなりました」

史料では、信康と五徳はあまり仲が良くなく、喧嘩ばかりだったとされているが、本作で描いてきた2人の関係はそうではない。

「今回のドラマでは、五徳さんのほうが数段しっかりしている。戦国時代という激しい時代を生き抜くためにはどうしなければいけないのか、岡崎クーデターのときもそうでしたが、信康は引っ張ってもらっていたと思います。お芝居面で僕も久保さんに助けていただいた部分が多く、気持ちいい距離感で最後まで演じることができました」

そして、久保との芝居は「楽しかったです」と振り返り、「楽しいシーンはあまりなかったですが、五徳さんを含めた家族で話すところ……亀ちゃん(亀姫/當真あみ)が奥平さん(信昌/白洲迅)に嫁ぐ話を聞いてないよと言うところなど、家族でほっこりできるシーンはなおさら楽しかったです」と優しい表情を見せた。

「築山殿事件」という前半のクライマックスを迎えた『どうする家康』。瀬名と信康を失った家康は、信長とどう向き合っていき、そしてどのように天下統一を成し遂げる人物へと成長していくのか。引き続き物語を追うとともに、初の大河ドラマで重要な役どころを演じ切った細田の今後にも注目していきたい。

■細田佳央太
2001年12月12日生まれ、東京都出身。4歳から活動を始める。2019年に1,000人超えの応募者の中から抜てきされ、映画『町田くんの世界』にて映画初主演。2021年、TBS系日曜劇場『ドラゴン桜』や日本テレビ系『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』などで注目を集め、2022年、テレビ朝日系『もしも、イケメンだけの高校があったら』で連続ドラマ初主演を務める。2023年は、NHK大河ドラマ『どうする家康』、WOWOW『ドロップ』、映画『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』などに出演。8月には初の有観客での舞台『メルセデス・アイス』にて主人公を演じることが決まっている。

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