本セミナーには済生会横浜市東部病院患者支援センター長、兼栄養部部長の谷口英喜氏と、管理栄養士で菓子・料理研究家のShie氏が登壇。キウイフルーツの豊富な栄養と健康価値を活かした熱中症対策などが紹介された。

■今年は大玉傾向のキウイ、超大玉も初上陸

夏になると毎年社会課題となる熱中症の正しい知識や対策を紹介する今回のプレスセミナー。

冒頭、ゼスプリPRマネージャーの栗田麻衣子氏は「1904年に初めてその原種の種子が中国からニュージーランドに持ち込まれたといわれているキウイフルーツは、1920年代にグリーンキウイが開発され、生産量が増加。1950年代にはイギリスをはじめ海外への輸出が盛んになり、この頃にニュージーランドの国鳥に見た目が似ていることから、キウイフルーツと名付けられたといわれています」と挨拶した。

ゼスプリのブランドが誕生したのは1997年。2012年にはゼスプリ独自の品種である黄色い果肉の「ゼスプリ・サンゴールド」の販売を開始し、現在、世界各国へキウイフルーツを輸出販売している。

また、ニュージーランドを含む世界各国の研究機関と協力して、キウイフルーツの健康・栄養価値に関する研究レポートも積極的に行っている。栗田氏はその豊富な栄養と健康価値について次のように紹介した。

「キウイの小さな果実にはビタミンCや食物繊維など17種類の主要な栄養素がぎゅっと詰まっており、いわば天然のサプリメントのようなかたちで、あらゆる世代の栄養バランスを整えられます。ゼスプリは生活者の皆様がご自身や家族のために日々積み重ねている小さなヘルシーを応援し、毎日の食事キウイを加えていただくことで、健康という大きな結果につなげていきたいと考えています」

熱中症対策に必要とされる栄養素のビタミンC、ビタミンB6といったビタミン類のほか、カリウムやマグネシウム、カルシウムなどのミネラル分が含まれているのもポイントだという。

「ゼスプリはニュージーランド政府管括の研究機関と共同し、品種開発や調査研究も行っています。品種別では食物繊維が豊富なグリーンキウイは1個で1日の不足分の食物繊維を補うことができ、ビタミンCが豊富なサンゴールドキウイは1個で1日に必要なビタミンCの量をゆうに満たせるといった特徴もあります」

ちなみに今年のサンゴールドキウイは大玉の傾向にあり、233g以上の超大玉サイズのサンゴールドキウイを6月中旬から入荷しているという。

「サンゴールドキウイは1個の重量が146g以上のものを大玉と呼んでいますが、大玉サイズは例年全体の3割ほどのところ、今年は約7割が大玉ということで大玉の傾向が非常に強い年です。また、初上陸となる超大玉サイズのサンゴールドキウイの入荷はごく少数、5万個程度になりますが、手のひらサイズのサンゴールドキウイです。食べ応えはもちろん、1個あたりの栄養素の含有量も当然多くなるので、ぜひお試しいただければ」

■規則正しい食事が熱中症対策に

続いて、経口補水療法や臨床栄養などの専門医である谷口英喜氏からは、「熱中症の正しい知識と、猛暑を乗り切るための栄養素」と題した講演が実施された。

「今年の夏は全国的に平年より気温が高い日が続くとされ、ポストコロナで外出機会が増えることに伴い、熱中症に遭う確率が例年よりも高いと予想されています。熱中症緊急搬送人員の速報値では昨年の同時期(5月1日~6月18日)が5,247人に比べ、今年はすでに6,895人とかなり多いです。気温のアップダウンが続くような、体が暑さに慣れていない時期は特に注意が必要です」

曰く熱中症はきちんとした予防によってリスクをゼロできる唯一の病気とのことで、暑熱環境と脱水症に大きな原因で熱中症予防の大切さを強調した。

「体温が上がりすぎないためのコントロールとして、一般的によく知られている「汗による放熱」のほかに、体の中心の血流を皮膚に移動させて熱を逃がす「皮膚からの放熱」があります。通常は「皮膚からの放熱」が8割方で、脱水があると皮膚へ血流を十分に送り込めないので、どちらの放熱にも水分が重要です。熱中症の初期症状である脱水症状は脳、消化器、筋肉の3つの臓器で同時に出現します」

主な脱水症状には、頭痛や食欲低下、筋肉痛などが挙げられ、だいたい二日酔いと同じような症状が引き起こされるという。

「まず暑熱環境を回避する上で参考にしたいのが天気予報の熱中症指数です。熱中症指数は気温と湿度と輻射熱の3つの要素から成りますが、熱中症指数により深い関係がある要素は気温よりも湿度。熱中症は6~7月の搬送者が最も多く、8月になるとその数が減ります。そのため、梅雨時期や梅雨明け後の啓発が特に大切です」

こまめな水分補給なども予防策として思い浮かびやすいが、同時に大事なのが食事だという。

「私たちは1日の水分の多くを実は食事から摂っており、脱水症や熱中症対策には規則正しい食生活が重要です。1日3食しっかり摂ると1,500mlほど、1食あたり約500mlの水分が摂ると考えられています。水分が多く含まれる野菜、特に夏野菜は適した食べ物ですし、栄養素・水分を豊富に含むキウイのような果物も熱中症対策になります」 ビタミンCや疲労物質を除去してくれるビタミンB群などが豊富なキウイ、レモンやイチゴなどの果物は栄養摂取の観点からも熱中症対策に有用なようだ。

「ビタミンCはさまざまな効果が知られていますが、ビタミンCは迅速に暑熱順化してくれる、暑さに慣れた体をつくってくれます。体に溜めておくことができないので、ビタミンCはこまめに摂るといいでしょう。ビタミンB1などのビタミンB群には代謝を促進し、同じものを食べてもより良いエネルギーに変えて効率よく使ってくれるといったはたらきがあり、疲れも取り除いてくれます」

“塩キウイ”で整う食事術も紹介

第3部では「“塩キウイ”で整う食事術」として、管理栄養士で菓子・料理研究家のShie氏によるクッキングデモンストレーションが行われた。

これまで1,000点以上のレシピ開発を手がけてきたShie氏。この日は熱中症対策で大切な水分補給や栄養摂取のポイントを踏まえ、「塩キウイラッシー」「マシュマロ塩キウイムース」「塩キウイ九龍球」「塩キウイピクルス」の4つのレシピを紹介した。

「塩キウイラッシー」は厚手の袋に入れ、手で揉み潰して粗いピュレ状にしたキウイをグラスに注ぎ、そこにプレーンヨーグルト200ml、牛乳100ml、はちみつ大さじ2、塩をひとつまみ混ぜ入れて完成。乳製品はキウイの酵素により苦くなる性質もあるので、飲む直前に混ぜるのがおすすめのようだ。参考にしてみてはいかがだろうか。