ヘルスケアテクノロジーズはこのほど、医師・看護師解説による「手足口病」「アデノウイルス感染症」「ヘルパンギーナ」といった子どもの感染症の対処方法・予防方法について公開した。

国立感染症研究所の感染症週報によると、5月8日週以降、ヘルパンギーナの報告数の増加が続いており、過去5年間の同時期と比較してかなり多くなっている。また、手足口病の報告数も増加。ここ数年は、新型コロナウイルス対策の影響でその他のウイルスの感染も抑えられていたが、減少していた人との接触機会が増え、気温も湿度も上がってくるこれからの時期は、こうした夏の感染症に特に注意が必要だという。

医師の加藤卓浩氏(ヘルスケアテクノロジーズ所属)、看護師の松尾祐吾氏(ヘルスケアテクノロジーズ所属)が、夏の感染症、見分け方・受診の目安・家庭内でのケアのポイントについて解説している。

  • 医師の加藤卓浩氏と看護師の松尾祐吾氏(いずれもヘルスケアテクノロジーズ所属)

手足口病

「手足口病」は、手のひらや足の裏、口の中などに小さな水ぶくれのような発疹(ほっしん)を引き起こす感染症のこと。小さな子どもを中心に、6月ごろから徐々に増え、夏にかけて流行する。

水ぶくれが現れるのは、口の中、手のひら、足の裏、肘、膝、お尻など。発熱がみられることもあるが、39度を超えるような高熱になることはまれで、2~3日で自然に解熱する。手、足、口の中の小さな発疹がみられる場合や発熱、強い痛みを伴う口の中の発疹により、食事や水分をとるのが難しい場合は、かかりつけの小児科を受診することをすすめている。

登園・登校は、解熱24時間経過を前提に、日常生活に支障なければ可能。家庭では、口の中にできた発疹が痛みを伴い、普段のように食事をとることが難しい場合は、無理に食べさせず、刺激が少ない柔らかなもの(柔らかく煮たうどん、雑炊、おかゆなど)にするなどの工夫が必要だという。治っても 2~4週間は糞便中にウイルスが排出されるため、便やおむつの処理はきちんと行い、しっかり手を洗うことも大事とのこと。

アデノウイルス感染症(咽頭結膜熱)

アデノウイルス感染症(咽頭結膜熱)は、発熱や喉の痛み、目の充血や痛み、目やに、涙などの症状が出る感染症のこと。頭痛、食欲不振、だるさ、首のリンパ節の腫れと痛みなどの症状を伴うこともあり、夏にプールでの流行があるためプール熱と呼ばれることもある。

急な発熱、喉の痛み、目の充血などの症状が特徴的だが、すべての人にその症状が出るわけではないという。医師の判断により、原因特定のため、迅速検査を行い判断することがある(検査時間 15~30分程度)。3~5日ほどで自然によくなり後遺症を残すことはほとんどないが、症状が軽快しない、悪化するなどの場合は、早めにかかりつけの小児科を受診することをすすめている。

登園・登校基準は、主要症状が消退してから2日間経過するまで。その期間は出席停止になり、登校許可証を求められることもある。飛沫感染や接触感染で感染が広がるため、家庭でもマスクを着用し、手洗いや手の消毒の対応を徹底すること、タオルや食器、寝具の共有を避けること、ウイルスがついている可能性がある部位を消毒することが大切だという。ウイルスの消毒にはアルコールが効きにくいので、漂白剤などに含まれる次亜塩素酸が有効とのこと。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナは、ウイルスなどに感染することによって、発熱・のどの痛み・口の中の粘膜の水ぶくれなどが現れる病気のこと。主に子どもの間で夏に流行しやすく、原因となるウイルスが複数あるため、繰り返し罹ることもあるという。

手足口病と同じように水ぶくれができるが、40度近い高熱が出ること、のどや口の中など水ぶくれが口の中に限定されることが見分け方のポイントとなる。医師の判断で便などを採取し検査を行うことや、抗体を調べる血液検査が行われることもあるとのこと。

口の中に水ぶくれができるので、その痛みで食べることや飲むことが難しくなる。高熱で汗をかくが、痛みで水分をとれないことにより、脱水症状をおこすこともあるため、そうした症状が出た場合は、早めの受診を推奨している。

登園・登校は、解熱後24時間経過を前提に、日常生活に支障なければ可能。口の中にできた発疹が痛み食事ができないときは、無理に食べさせず、刺激が少なく柔らかい食事(おかゆ、柔らかく煮たうどん、雑炊など)にするなど工夫をし、水分補給をきちんと行うことが大事だという。治った後も長期間(数週~数か月間)にわたり糞便の中にウイルスが排せつされるので、便やおむつの処理はきちんと行い、処理後は石けんと流水でしっかり手を洗うことが大事だという。

同社が提供するヘルスケアアプリ「HELPO」の機能「健康医療相談チャットサービス」は、24時間365日いつでも医師や看護師、薬剤師などの医療の専門家にスマホのチャットサービスを使って自身や子供の症状や悩みを相談できるサービス。「夏の感染症」流行の兆しが見え始めた現在は、専用の相談窓口も用意している。