世界最高峰のプレミアリーグを席巻した三笘薫(ブライトン)が、森保ジャパンの新エースへと近づいている。20日に大阪・パナソニックスタジアム吹田で行われたペルー代表戦で、左ウイングで先発フル出場した三笘は1ゴール1アシストをマーク。日本を4-1の快勝に導き、6月シリーズから新たに背負う「7番」を輝かせた。今年に入ってフィーバーが沸きあがり、一挙手一投足を注目される存在になった三笘の現在地と、所属クラブと代表の両方で追い求めていく目標を追った。

  • サッカー日本代表の三笘薫(ブライトン)

森保ジャパンのジョーカーとして活躍し、逆転勝利をもぎ取ったスペイン代表戦では「ミトマの1ミリ」なる伝説も残したカタールワールドカップを境に、三笘薫を取り巻く状況は激変した。

まずは世界が「MITOMA」という名前を知った。カタール大会後の昨年末に再開されたプレミアリーグを、主戦場の左ウイングから繰り出す切れ味鋭いドリブルと、所属するブライトンのゴールと勝利に絡む痛快無比なプレーで席巻。最終的には7ゴール5アシストの数字を残した。

ゴール数は、かつて香川真司(当時マンチェスター・ユナイテッド)と岡崎慎司(当時レスター・シティ)の元日本代表コンビがマークした6ゴールを上回る、プレミアリーグにおける日本人選手のシーズン最多記録。カップ戦を含めた公式戦全体では10ゴール8アシストに達した。

必然的に注目度も増す。アーセナルやリバプールなどのビッグクラブが獲得に動くと報じたメディアもあれば、川崎フロンターレの下部組織から筑波大を経て再び川崎でプロになった三笘の異色のキャリアと、ドリブルをテーマにした大学の卒業論文を紹介したメディアもあった。

一気に騒がしくなった周囲を、三笘自身はどのように感じていたのか。ブライトンの公式ホームページ上に随時掲載されてきたインタビューのなかで、三笘はこんな言葉を残している。

「みなさんが僕を見ているのは事実だし、ある意味で僕はそのプレッシャーを楽しんでいます」

別のインタビューでは、上質なパスを届けてくれるブライトンのチームメイトたちへの感謝の思いに加えて、フィーバーの渦中にあった自分自身を客観的に見つめる言葉も残している。

「これほど素晴らしい状況で、これほど素晴らしいパスを受けられるチームは他にない。そして、チームが勝利しているからこそ、僕はメディアから称賛されていると思っています。ただ、僕個人としてはビッグクラブでプレーする選手たちにはまだまだ遠く及ばないと感じています」

謙虚で常に冷静沈着で、それでいてちょっぴりシャイ。川崎時代から決して饒舌ではなかった三笘がありったけの思いを介して、自らの現在地を伝えようとしている姿勢が伝わってくる。

日本代表における立ち位置も大きく変わった。左サイドのアタッカー争いで森保一監督のファーストチョイスは常に南野拓実(モナコ)であり、三笘は2番手に甘んじてきた。

カタール大会でも、三笘は4試合すべてで後半から出場している。このときは開幕直前に右足首を負傷し、さらに体調不良も患った関係で、出場時間を制限せざるをえない事情もあった。

しかし、続投した森保監督のもと、3月に船出した新生日本代表では違う。三笘はここまで4試合すべてで先発に名を連ね、所属クラブで精彩を欠く南野は3月に続いて6月も招集されていない。

4試合連続で先発している選手は、他にはセンターバック板倉滉(ボルシアMG)と右サイドバック菅原由勢(AZ)しかいない。攻撃陣では自分だけという状況を、三笘も前向きに受け止める。

「所属クラブにおける結果を、評価してくれているなかでの代表活動だと思っているので。自分自身がやってきた成果がそこ(先発)に出ている、というのはやはりうれしいですね」