今から20年前に放送終了したスーパー戦隊シリーズ第26作『忍風戦隊ハリケンジャー』の新作Vシネクスト『忍風戦隊ハリケンジャーでござる! シュシュッと20th anniversary』が、6月16日より全国劇場にて期間限定上映される。『ハリケンジャー』はかつて、シリーズで初めて10周年記念作品『忍風戦隊ハリケンジャー10YEARS AFTER』(2013年)を実現させ、スーパー戦隊に「10YEARS」シリーズという新しい波を起こしたことでも記憶されている。あれから10年、今回の新作は時代劇の本場・東映京都撮影所で製作され、奇想天外でドラマチックなSF特撮アクション時代劇がここに誕生した。
単独インタビューの今回は、電光石火ゴウライジャーのクワガライジャー/霞一鍬/迅雷流忍者・一牙(いっき)を演じた姜暢雄が登場。20年前、カブトライジャー/霞一甲役の白川裕二郎とともに「イケメンヒーロー」ブームを牽引した姜は、その後も数々の話題作・人気作に出演して着実に俳優としてのキャリアを積み上げていった。
さらに、『仮面ライダーアマゾンズTHE MOVIE最後の審判』(2018年)や『暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー』(2022年)など、自身の原点というべき東映特撮ヒーローの世界にもたびたび帰還を果たし、ファンを感激させている。そんな姜に『ハリケンジャー』20周年への感慨や、仲間との強い「絆」について尋ねてみた。
――『ハリケンジャーでござる! シュシュッと20th Anniversary』の製作が実現するまでには、ハリケンイエロー/尾藤吼太・吼太郎を演じた山本康平さんが企画書を作って各方面にアプローチし続けた経緯があったとうかがいました。そんな山本さんの頑張りには、姜さんがここ数年「東映特撮ヒーロー」作品に出演されていたことも大きく関係しているのではないでしょうか。たとえば、TTFC(東映特撮ファンクラブ)のオリジナル配信作品『仮面ライダーシノビ』(2019年)に姜さんが「ガマノ師匠の声」で出演されたときには、山本さんは「これはハリケンジャー20周年の前フリなのでは」と思われたそうです。
いや~壮大な前フリっぽく見えますけど、単純に新しいお仕事としてやらせていただいただけですよ(笑)。確かにここ最近、よく東映さんの作品に関わっていて、その一つで忍者っぽいこともやらせていただきました。
――昨年の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ THE MOVIE 新・初恋ヒーロー』のエキセントリックな映画監督役も記憶に新しいです。
あんなにテンションの高い監督は見たことありません(笑)。自分が演じてきた役柄の中でもかなり突飛な部類に入ります。ずっとテンション上げっぱなしで、面白かったですね。
――『ハリケンジャー』20周年企画をやりたい!という山本さんの思いを直接聞いたりしたことはありましたか。
康平とはプライベートでも時々ご飯を食べに行ったりすることがありまして、そのとき「こんど、こんな作品に出演するんだよ」みたいな仕事の話をするんです。その中に『シノビ』とか『ドンブラザーズ』とかが出てくると、康平からは「おお、いいねいいね! 次(ハリケンジャー)につながるじゃん」なんて言うんです。お前たちのためにやってるんじゃないよ、仕事だよ!とはちゃんと伝えているんですけど(笑)。でも、こういった僕の動きが康平のやる気を高めて、『ハリケンジャー』20周年の企画を実現させてしまった。そう考えると、やっぱり嬉しく思います。
――10周年に続き、ついに20年目の『ハリケンジャー』Vシネクストが実現したと聞いて、どんな思いを抱かれたでしょうか。
企画実現のためにあちこち動き回ってくれた康平や(長澤)奈央に「ありがとう!」と言いたいです。10年前に「新作をやるよ」と聞いたときは、個人的にみんなで集まったりするならともかく、作品まで作らなくてもいいんじゃない?と思い、どちらかというと後ろ向きな態度を取っていたんです。でも2人の熱さに圧倒され、背中を押され、僕もだんだんやる気になっていきました。今回の場合、なんだかんだ言っても決まれば結局やるわけだから、どうせなら最初からやる気でいようと思っていました。だから企画が決まってから早い段階で、やる意志を示していたんです(笑)。
――撮影がいよいよ始まるというときのお気持ちは、いかがでしたか?
台本をいただいてからも、なかなか実感が湧きませんでした。ちゃんと「新しいハリケンジャーをやる」という意識になったのは、時代劇の衣装を身に着けた5人がそろって、ロケバスに乗り込んだとき。そのあたりから、いよいよ始まるという思いが強まっていきました。
――『ハリケンジャー』としては初の京都での撮影で、今までのテレビシリーズや『10YEARS』と違った部分はありましたか。
渡辺勝也監督、アクション監督の竹田道弘さん以外の撮影スタッフはみんな京都の方ですから、全体の空気は違っていたと思います。京都の方たちは最初、『ハリケンジャー』の自由奔放な世界観を目の当たりにして「なにこれ!」「意味わからへん!」と最初は戸惑っていたのですが、やっていくうちに、すぐみんなで意見交換しながら撮影を進めるようになりました。そういうのも、すごく楽しかったところですね。
――姜さんは東映京都撮影所でのお仕事も多く経験されているとうかがいました。なじみのスタッフさんもいらっしゃったのではないですか。
たくさんいらっしゃいました。いつもはクールを装っている僕が、久しぶりに(塩谷)瞬や康平、奈央、そして裕二郎と同じ現場に入って、楽しくてはしゃいでいる様子を見て、京都のスタッフさんが「ぜんぜん違う人間になってるなあ」と思っていたそうで、それを後で聞いたとき、ちょっと恥ずかしかった(笑)。