――今回、撮影スケジュールが非常にタイトだったそうですね。

舞台の稽古の合間を縫っての出演でした。関係者の方たちにはご迷惑をかけるかもしれないなと、少し悩んだのですが、舞台で共演していた石垣佑磨くんが「そういうのはどんどんやったほうがいいですよ!」と励ましてくれて、僕がやりやすい環境を整えてくれたんです。彼自身も『宇宙刑事ギャバン』(二代目)をやっていたし、『ハリケンジャー』のことをリスペクトしてくれていたのはありがたかったです。

――ひさびさ結集した仲間たちと撮影をこなした感想はいかがでしたか。

毎日の撮影が楽しくて、ずっと修学旅行のような気分でした。毎日のように、撮影が終わってから5人そろってご飯を食べに行ったりしていました。

――現代では一甲、江戸時代では一角を演じられた「兄者」こと白川裕二郎さんとの、10年ぶりのコンビネーションはどうだったのでしょう。

どれだけ年月が経っていても、2人がそろえばすぐ霞兄弟に戻っちゃうんですよね。今の裕二郎を見ると「ああ、純烈だな」って思ったりもしますし(笑)、昔に比べてすごくトークが上手くなりましたが、一緒に芝居をすると20年前の感覚が甦ってきます。

――5人の忍者アクションも本作の大きな見どころです。屋根でのアクションもあるそうですね。

僕たちも昔の血が騒ぐといいますか(笑)、竹田さんが作り上げたアクション演出に、ちゃんと応えたいという思いがありました。僕自身、時代劇への出演はけっこうありますけれど、トランポリンを踏んだり、屋根を飛び越えたりすることはなかなか経験できません。トランポリンは当時以来で久しぶりだったから、少し怖かったです(笑)。しかし『ハリケンジャー』ならそこまでやるだろうと、心の準備はしていました。

屋根の立ち回りについては、撮影の1、2日前に竹田さんから「お前のアクションはこうしようと思ってるんだ」と聞かされて、そのときは「ああ、できるんじゃないすか」と軽く返事していたんです。でも撮影当日、実際に屋根の上へ登ってみると、思った以上に「高いな……」と思ったし、勾配も急で、……めっちゃ怖かったです(笑)!! 

――現代からやってきた一鍬と、江戸時代を生きる一牙が対面するシーンがありました。両者の演じ分けについて教えてください。

霞一鍬も一牙も、根本的な性格は変わっていませんが、一鍬の場合、20年の月日が流れて社会に慣れたというか、大人になった姿を見せたいなと思いました。一方で、一牙は世の中のしがらみに縛られている男ということで、テレビシリーズ初期の一鍬のように、鷹之介たちに対して冷たい態度を取るように意識しています。背負うものが異なる両者の違いについて、芝居の仕方ではっきり見せておきたかったんです。将軍家御庭番という大役をもらっている、一角・一牙の「誇り」を強く意識することが、疾風流の3人との対比につながっている。そのあたりの立ち位置を大切にしつつ演じました。

――一角・一牙兄弟が護衛を務める照姫を演じられた羽瀬川なぎさんの印象はいかがでしたか。

撮影が始まったばかりのころは、少し緊張されていたようでした。僕たちが同窓会のような気持ちで騒いでいる中に、新しく入って来られたわけですから、雰囲気に圧倒されていたところもあったはず。しかし、一角と一牙は照姫の護衛が任務ですし、一緒にいるときはフランクに接してほしかったので、緊張をほぐしてもらえるよう、撮影の合間にもけっこう積極的に話しかけました。だんだんと彼女の緊張がほぐれて、守る者と守られる者の良い関係が生まれたように思っています。

――『ハリケンジャー』のメイン監督であり、『10YEARS』も手がけられた渡辺勝也監督と、10年ぶりに再会されたご感想を聞かせてください。

ナベさん(渡辺監督)が京都で「ヨーイ!」なんて声をかけているのは、なかなか珍しいと思いました。印象的だったのは、ナベさんがずっと楽しそうに演出されていたことです。誰一人、この作品に携わって「イヤな思い」をしていない、みんなが楽しみながら取り組んだ作品だと断言できます。ナベさんの中には「ハリケンジャーとはこういうものである」と、確かな指針ができあがっているので、いろいろなことを忘れかけていた僕たちもブレることなくハリケンジャー、ゴウライジャーでいられたんです。

――撮影所で姜さんと白川さんは、『大江戸捜査網』『長七郎天下ご免!』『水戸黄門』などで知られる大御所俳優・里見浩太朗さんに会われたそうですね。

僕も裕二郎も、里見さんとの共演経験がありまして、ちょうど今の衣装を着ているとき、ご挨拶する機会がありました。ありがたいことに、裕二郎と一緒に記念写真まで撮らせていただいたんです。里見さんは僕たちが『ハリケンジャー』をやっていると知って「俺も出してくれよ。変身したいんだ」なんておっしゃって(笑)。里見さんに「出たい」と言われれば、また『ハリケンジャー』やるかもしれません。僕たちも、里見さんに声をかけられたらもう、二つ返事どころじゃなくて、ハイハイハイハイ……!って10回くらい返事して、絶対に出なきゃいけないですよね(笑)。

――本作での、一牙の見どころを教えてください。

一角も一牙もカタブツの忍者ではありますが、一牙のほうが「女性に甘い」というか、弱いところがあるので、そういった部分を箸休め的に見てもらえたら嬉しいですね。なみにツンツンされて、ドキマギする一牙のシーンは台本になく、奈央のアドリブを僕が受けた演技でした。久しぶりに5人の息の合ったところをお見せすることができて、本当に楽しかったです。全体にテンポがよく、みんなの忍者アクションも迫力満点なので、ぜひたくさんの方々にご覧いただきたいです。

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