人気のガラス油膜取り&撥水剤を徹底検証




雨の日の運転はいつもより気を使うだけでなく、ひとつ間違えると事故につながる危険性もはらんでいる。
雨のなかを安全に走るためには視界の確保が重要! ということで、撥水剤や油膜取りの効果を徹底検証してみた。





文/近藤暁史 撮影/茂呂幸正(マツダ3)、近藤暁史



(掲載されている内容はグー本誌 2023年6月発売号掲載の内容です)



ワイパーだけではやや不安、撥水剤併用でクリアな視界
 梅雨はもちろん、最近では突発的な大雨に見舞われることも多く、ゲリラ豪雨という言葉も当たり前になっている。雨のなかを運転するとなると、通常時より視界が悪く、気を使うことも多いため、出かける意欲がそがれてしまったりもする。そんな不安要素を払拭して、気持ちよく運転するためには、いかにしてクリアな視界を確保するかがカギとなる。
 ひと口に視界といってもクルマの外側であれば雨。内側では曇りへの対策が必要になってくる。最近のエアコンの性能は優れているのでガラスの曇りは割と簡単に取れる。
 そうなると一番の問題はガラス表面に付く水滴となる。もちろんワイパーがある程度は拭き取ってくれるが、ひどい雨では追いつかないことや、ワイパーの拭き取り性能がいまひとつな場合もある。そこで活用したいのがガラス撥水剤。ガラス表面に撥水被膜を作り、しっかり雨を弾くため、ワイパーの効果をアシストしてくれるうえに、汚れ自体も付きにくくなるなど、メリットは多い。
 今回、ガラス撥水剤に加えて、その効果を引き出すベース作りなど、いくつかのアイテムを検証してみた。
 これからの季節に増えるであろう雨の日でもクリアな視界を確保して、快適に運転するための参考にぜひしてもらいたい。




雨の日の視界の悪さはやっぱり危険

 雨の日というのは、運転環境が厳しくなる。なかでもドライバーの運転操作に直結する視界は、雨だと急激に悪くなる。運転するだけでもいつもより神経を使うし、危険に対する発見が遅れるなどいいことはない。ワイパーが効果を発揮していてもしっかり見えるのは拭き取られた範囲だけで、それ以外は見えづらいこともある。サイドの視界も同様で、交差点や路地などで横から来るクルマに対して発見が遅れたりする。雨のドライブは晴れの日とは根本的に環境が異なると心得ることが大切だ。首都高が発表したデータによると雨天の事故割合は晴天と比べると、なんと4倍※にもなるという。(※首都高速道路株式会社の調査による)




雨の日は危険に対する発見が遅れるし、ブレーキの利きが甘くなるなど、事故の被害が拡大することもある。安全装備が普及しても雨の日では完璧ではない。







なんで油膜って付くの?
雨の日の視界を悪化させる代表格がガラス表面に付く油膜だ。特に雨の夜は外の光がギラギラして危険度はさらに増す。原因はボディから流れ落ちたワックス成分や排気ガスに含まれる油分などで、一度付いてしまうとワイパーはもちろん、拭いても落ちないほど頑固だ。




検証その1 油膜取り



プロスタッフ
キイロビン
クイックマジックゴールド
価格:オープン(実勢価格:650円)





頑固な油膜を落とすには専用ケミカルで削り落とすしかない。なかでも定番なのがキイロビンシリーズ。最新商品のクイックマジックゴールドは従来比で3倍の除去スピードを実現している。油膜や古い撥水被膜はもちろん、細かなキズも落としてくれる。





検証結果
◎価格 ★★★
◎使いやすさ ★★★★★
◎除去性能 ★★★★★
◎総合満足度 ★★★★★




使い方はキャップを開けてガラス表面をこするだけ。汚れが残っていると弾くので、そこを重点的に作業していくのがコツだ。油膜の除去が完了すると水をかけても弾かずに、ベタッと張り付いたような水膜ができる。


最新の撥水剤を徹底検証、実力をジャッジ!




撥水剤の種類は多いが、大きくふたつの系統に分かれる
 カー用品店に行けば種類が多く、どれがよいか迷いがちな撥水剤だが、その成分は大きくふたつに分かれている。高い撥水力を実現するのがシリコン系で、耐久性にはやや欠けるのが特徴でもある。逆に半年〜1年間など、長期持続の耐久性をウリにしているのがフッ素系で、撥水力はシリコン系ほどではない。もちろんどちらがいいとか悪いとかではなく、自分の好みやクルマの使い方、洗車やメンテナンスの頻度などによって合うモノを選べばいい。
 そして、もうひとつ確認したいのが施工方法だ。ひと昔前の撥水剤は、ティッシュやスポンジに付けてこまめに塗り込んで、しばらく放置して乾燥させたら拭き取るというのが主流だった。
 今どきはボトルにフェルトが付いていてそのまま塗れたり、スプレーしてワイパーを動かすだけで作業完了というモノが多く登場している。手を汚すことなく、効率よく手軽に作業できるのはありがたい。そういった使い勝手の進化は特に注目だ。
 施工方法は実際の作業に関わるところだし、使い方が簡単でも効果がイマイチだと時間を割く意味が薄れてしまうので、しっかり検証したいポイントでもある。
 今回、撥水力に優れるシリコンタイプで人気の3アイテムを用意。塗り方から施工後の撥水効果まで、実際に使ってみてジャッジした。もちろん使用するガラスは事前にキッチリ油膜などを除去し、きれいな状態にしたうえで、それぞれの撥水状態を確認してみた。




最新の撥水剤事情はどうなっている?

 成分と性能は大きくふたつに分かれると紹介したが、最近では効果と耐久性を兼ね備えたハイブリッドタイプも登場している。また、効果の持続期間も伸びる傾向にある。部位では、ただ撥水させるだけでは視界が確保しにくかったサイドミラー用も注目で、水滴を水膜に変える親水性のコーティング剤もある。つまりスプレーなどをするだけで、パッと水滴を消すという効果を実現していて、雨天での視界確保という点では画期的なものだ。






ミラーの左半分は水滴がないため、ただ撮影しているようにも見えるが、水滴を水膜に変える親水コーティングにより、水滴を消し去っている。特にサイドミラーに最適で、一度試す価値はあり。


検証その2 撥水剤





ソフト99
ぬりぬりガラコDX
価格:オープン(実勢価格:1200円)



新技術を投入してシリーズ最強レベルの撥水力を実現しているというだけに、水をかけた瞬間に強烈に弾き飛ばすのには驚いた。さすがDX。首振りヘッドで曲面でも楽に塗れるのも好印象だ。




作業性よし! 弾きも強烈!!



検証結果
◎価格 ★★★★★
◎使いやすさ ★★★★
◎撥水効果 ★★★★★
◎総合満足度 ★★★★★



ワイドなヘッドでどんどん塗れる。作業は従来と同様で、10分ほど乾かしてから拭きあげて仕上げる。強烈な弾きに注目。





ソフト99
レインドロップ
価格:オープン(実勢価格:1700円)



ガラスだけでなくボディにも使えるのが特徴。この手のタイプは中途半端になることもあるが、強烈噴射&すぐに拭き取りでアッという間に施工が完了。ボディもガラスでも高撥水だった。




強烈噴射でスピーディに作業完了



検証結果
◎価格 ★★★★
◎使いやすさ ★★★★★
◎撥水効果 ★★★★★
◎総合満足度 ★★★★★



泡状の液剤が噴射される。乾燥は不要なので、そのままサッと拭き伸ばすだけで作業完了。イヤな拭きムラもなかった。





ソフト99
ぬりぬりガラコ ハヤデキ
価格:オープン(実勢価格:930円)



定番として長く愛されてきた「ガラコ」が、乾燥時間不要へ進化した。実際に使ってみると若干跡が残りやすいので、拭き取り自体は念入りにしたほうがいいだろう。効果は安定の高レベル。




驚きの乾燥時間不要を実現



検証結果
◎価格 ★★★
◎使いやすさ ★★★★
◎撥水効果 ★★★★
◎総合満足度 ★★★★



デカヘッドなどに慣れてしまうと、ヘッドが小さいのでこまめに動かす必要があり、少々大変。撥水については問題なし。






ボディも撥水コーティングして雨を弾く!


水なしで洗車&コーティング!
ツヤツヤボディで撥水効果が2ヶ月持続



雨の多いこの季節。クルマの窓ガラスだけでなく、ボディのケアもしたいところ。そんなとき、水なしで手軽にボディのコーティングができるのがEK-ZERO。ボディに直接吹きつけて、専用クロスでサッと拭きあげるだけで抜群のツヤと高い撥水効果をもたらす。







EK-ZERO
500㎖セット
価格:3300円(税込)




吸水力の高い専用のマイクロファイバークロス付きで、誰でも簡単に施工可能。光沢と撥水効果は2ヶ月持続。
総括

雨の日の安全はクリアな視界から
今回、検証したどのアイテムも手軽な施工方法ながら、撥水効果が高く驚かされた。大切なのは、油膜を放置して見えづらいまま運転するのではなく、しっかりと油膜除去と撥水剤を使用することで、クリアな視界を確保すること。ほんのちょっとの手間で、雨の日でも快適に運転ができ、お出かけがより楽しめるようになる。