JR東海は8日、在来線運転士の業務支援を目的に2018年3月から導入したタブレット端末「CAST」が老朽取替の時期を迎えるにあたり、機能向上を図るとともに、車掌にも「CAST」を導入すると発表した。2024年3月の使用開始を予定している。

  • 機能向上した「CAST」の画面イメージ(JR東海提供)

現在の運転士は、担当する列車ごとの編成両数や着発時刻等を記載した紙の列車運転時刻表と「CAST」を職場の担当者から受け取り、それらを運転台に設置して列車を運転している。「CAST」はGPS位置情報を活用して停車駅または徐行区間が近づいた際、停止位置や徐行速度など表示することで運転士の運転操縦を支援する。

「CAST」の機能向上にともない、列車運転時刻表を電子化し、「CAST」に追加。電子化した列車運転時刻表には、変更内容と指令員からの指示内容が反映され、運転に必要な情報を「CAST」で一元的に把握できるようになる。

  • 現在の運転士は列車運転時刻表と旧「CAST」を運転台に設置し、列車を運転している(JR東海提供)

例として、これまで列車運転時刻表に変更が生じると、担当者が事前に手作業で差し替える必要があったが、「CAST」の機能向上で差替え作業が不要となり、業務の効率化を図れる。乗務員の担当する列車が変更となった際も、すばやい乗務準備が可能となり、輸送障害への対応の迅速化を図ることができるという。

着発番線変更などが乗務中に生じた場合、指令員は列車運転時刻表と異なる運転方法を運転士に指示する必要がある。指令員はこれまで、電子データを「CAST」に送信することで変更情報を伝達し、運転士は列車運転時刻表と「CAST」に表示された変更情報の両方を確認し、不足している情報は標識などの情報に従って運転していた。「CAST」の機能向上により、指令員からの情報にもとづき「CAST」に表示される情報が最新の内容に更新される。運転士は最新情報を「CAST」のみで把握でき、余裕を持った運転操縦が行えるため、安全性が向上するとのこと。

今回の機能向上を機に、車掌にも「CAST」を導入。輸送障害が発生した際に使用する列車運転時刻表や津波避難地図などの紙の帳票類を電子化する。車掌の輸送障害への対応が迅速化するだけでなく、津波避難発生時における対応能力のさらなる向上、業務の効率化を図るとのこと。