セイコーグループは6月6日、「セイコー時間白書2023」を公開した。調査は4月27日~5月8日、全国の10代~60代の男女1,200名(各年代別に男女各100名)を対象にインターネットで行われた。

  • タイパについて

    タイパについて

87%が「『タイパ』を重視する時間がある」

はじめに、タイムパフォーマンス(タイパ)を重視する時間があるかと尋ねたところ、87.4%が「ある」と回答。具体的には「睡眠」(39.3%)、「料理」(37.0%)、「掃除」(34.2%)、「買い物」(34.2%)が上位となり、これをカテゴリー別に見ると、「日常(食事・睡眠など)」(61.2%)や「家事・育児」(55.0%)、「趣味・コンテンツ消費」(47.8%)でタイパを重視する傾向にあり、一方、「仕事」(29.7%)に関するタイパ意識は低めのよう。

また、タイパを重視したことで生まれた時間の使い道についても「睡眠」が最も多く54.4%。確保した時間を睡眠にあてることで、「仕事や勉強に集中することができるようになった」など、ほかのタスクの効率やパフォーマンスを高めることにつなげている様子がうかがえた。

  • タイパを高めるために利用しているツール

    タイパを高めるために利用しているツール

続いて、タイパを高めるために利用しているツールを教えてもらったところ、「冷凍食品」(23.6%)や「オンライン決済」(22.9%)を利用する人が多く、年代別の特徴としては、10代は「SNSの情報アカウント」(13.1%)を使う人が多く、30代と50代は「食洗機」を活用する割合が高い傾向に。

また、タイパを高めるための行動として、「ほかのタスクと並行して“ながら見”をすることがある」(65.7%)、「調べ物をするときにまとめサイトを活用する」(61.6%)を実践している人が多い一方、「本を読んだり映画を観たりする前に結末を調べる」(33.8%)、「曲のイントロを飛ばす」(24.0%)といった時間を早送りする行為の実践率は低めのよう。

さらに、タイパを重視する理由を聞くと、「効率よく情報を得たいから」(57.4%)、「無駄なことに時間を割きたくないから」(57.3%)が上位に。また、効率や無駄だけでなく、全体の4割が「空いた時間・作った時間でやりたいことがあるから」(43.9%)と答えており、やりたいことをするためにタイパを重視する、という時間の使い方が実践されていることが分かった。

  • 各ライフイベントを経験する年代について(学校の学び)

    各ライフイベントを経験する年代について(学校の学び)

「結婚する」「仕事を続ける」「リスキングする」年齢に上限はある?

次に、「人生という時間の捉え方」について、ライフイベントを経験する年代への「価値観や固定観念」を聴取した。

まず、各ライフイベントに対し、世間の常識としてこの年代までに済ませたほうがよいという圧力を感じる上限の年代と、自分自身が「この年代でも経験・挑戦してもよい」と思う上限の年代を聞いたところ、「学校での学び」は、世間の常識では「20代以下」(63.5%)が多くを占めたが、自身の考えでは「30代以下」が45.6%、「何歳でも挑戦できる」が28.3%と、世間の常識に捉われず学びたい人が多いよう。

「仕事を続ける」上限については、世間的な圧力としては「70代まで」(68.4%)が多数派だが、自分で挑戦できると思う上限の年代では、約半数(52.4%)が「70代まで」と答えた一方、3人に1人が「何歳でも」(32.7%)と回答。世間の圧力に対して長く働きたいと思う人も多いことがわかった。

  • 各ライフイベントを経験する年代について(結婚)

    各ライフイベントを経験する年代について(結婚)

同様に、「結婚」に関しては、世間的に「30代まで」(53.1%)の圧力を感じるが、年代が上がるにつれその割合は低下し、「圧力を感じない」「何歳でもよい」が多くなる傾向に。

最近耳にするようになった「リスキリング」については、上限の年代に関して「圧力を感じない」(49.5%)と答えた人が半数を占め、自分自身の考えとしても、リスキリングに挑戦するのは「何歳でもよい」(40.6%)が多い傾向に。

ただし、10代に関しては「結婚」「リスキリング」のいずれにおいても自ら制限をかけている傾向が強く、「結婚は30代まで」(50.5%)、「リスキリングも30代まで」(31.0%)が最も多く、他年代と比べて高い割合を示した。

  • 時間の使い方で困っていること

    時間の使い方で困っていること

次に、コロナ禍を経た2023年、時間に対する意識の変化について調査した。

時間の感覚について、普段どの程度時間に追われていると感じるか聞くと、64.5%が「時間に追われている」と回答。1日24時間であることに対しては55.3%が「足りない」と感じており、いずれの感覚も昨年から大きな変化はないよう。

また、行動制限やマスク着用などの各種制限が緩和され、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが「5類」に移行するにあたって、時間の使い方で困っていることを教えてもらったところ、「コロナ前の生活に戻すことができない」(32.4%)、「相手との時間調整で忙しい」(30.8%)、出社が増え「移動時間の考慮ができない」(24.0%)といった困りごとが上位にあがった。