子どものころ、友達と約束をするときに「指切りげんまん、うそついたら針千本飲ます」と、無邪気に歌った経験がある方も多いのではないでしょうか。しかしこの歌詞には、実は恐ろしい意味が込められていました。
本記事では「指切りげんまん」の意味や遊女にまつわる由来、地域による歌詞の違いなどについて解説。アメリカや台湾、韓国の指切りの仕方についても紹介します。
「指切りげんまん」とは? その意味
「指切り」とは、約束を守る印として、お互いの小指を絡ませ合うこととして知られています。この「指切り」を含んだ「指切りげんまん」とは何なのか、秘められた本当の意味を探っていきましょう。
「指切りげんまん」は、約束事にまつわるわらべ歌の歌詞の一部
「指切りげんまん」は、誰かと約束事をするときに歌われるわらべ歌のワンフレーズです。「指切りげんまん、うそついたら針千本飲ます、指切った」と続きます。
約束を必ず守るということを誓い合い、破った場合にはひどい罰が下ることを示しています。
「げんまん」は拳で一万回殴ること
「げんまん」は、漢字で「拳万」と書きます。「拳」は拳固(げんこ)、つまりにぎりこぶし、そして「万」は一万を表します。「げんまん」とは、拳で一万回殴ることです。
子どものころ何気なく口ずさんでいた「指切りげんまん」には、約束を守らなければ罰として拳で一万回殴る、という恐ろしい意味が隠されていました。
ちなみに「うそついたら針千本飲ます」は、その言葉通り、(約束を守るということについて)うそをついたら針を千本飲ます、という意味です。
うそをついたら恐ろしい罰を受ける羽目になるから、絶対に約束を守るように、という意味が込められているのです。
なお、このわらべ歌の歌詞は、地域によって少しずつ異なるとされています。一番有名な「指切りげんまん、うそついたら針千本飲ます」は神奈川県、東京では「指切り、かまきり、うそ言う者は地獄の釜へぽったりしょ」、愛知県では「いびきり、いびきり、3年過ぎたら、乳から下へくされよ」などと歌われているようです。
「指切りげんまん」の由来・語源
「指切り」の由来は、江戸時代の遊女が好意を寄せる男性に対し、変わらぬ愛情の証しとして自らの小指の先を切断して渡したことだとされています。
実際に指を切断した遊女は少なく、偽造品の指を渡すことも多かったといわれているものの、衝撃的な風習です。
現代にも残る「指切り」は、この愛情の証しとして小指を渡す風習から転じて、約束を守る印にお互いの小指を絡ませるようになったと推察されます。
また別の説として、かつて指を使った一定の動作を、契約の印としたというものもあります。
日本では昔、指のことを「手」と呼ぶことがありました。つまり「指切り」は「手切り」のことであり、手切りがなまって「ちぎり(契り、契約)」になったともいわれています。
なお「指切りげんまんうそついたら針千本飲ます」にある「げんまん」と「針千本飲ます」は、これら「指切り」に後から付け加えられたものだといわれています。
「指切りげんまん」は海外にもあるの? 英語表現と併せて紹介
アメリカでも、小指を差し出して約束を交わすことがあります。海外映画やドラマなどで見たことがある方もいるかもしれません。
例えばアメリカの青春映画『スタンド・バイ・ミー』では、少年たちが小指を差し出し、英語で「指切り」を意味するセリフを言い合うシーンがあります。
「指切り」の英語表現は「pinky swear」です。「pinky」は小指、「swear」には誓いという意味があるため、「小指の誓い」という意味になります。
また「pinky promise」という表現もあります。「promise」は約束を意味する英単語です。
「pinky swear」自体には、日本の「げんまん」「針千本飲ます」のような恐ろしい意味は含まれていません。しかし英語でも、「pinky swear」の後に下記のフレーズを続ける場合があります。
Cross my heart and hope to die, stick a needle in my eye.
(十字を切って誓ったからには死んでもかまわない。針を自分の目に突き刺すよ)
こちらもよく見ると、恐ろしい意味が込められたフレーズです。
なおアメリカにおけるこの指切りの文化は、ペリーの来日がきっかけで広まったという説がありますが、定かではありません。
また台湾にも約束の意味を表す指切りの風習があります。しかし日本と違って、小指を絡ませるだけでは終わらず、そのままお互いの親指をくっつけます。また韓国では、さらにその後、ほどいた手のひらを合わせて、お互い自分の方に引くまでが指切りです。
国によって少しずつ違うのが面白いですね。
「指切りげんまん」とは、江戸時代の遊女の誓いに由来する言葉
「指切りげんまん」は、誰かと約束をするときにお互いの小指を曲げて絡ませて歌う、わらべ歌の一節です。
もともと「指切り」は、江戸時代の遊女の誓いに由来するとされる言葉です。
また「げんまん」は拳で1万回殴るという意味で、約束を破った場合はひどい罰が下ることを示しています。
「指切り」で約束を示す風習は、アジア各国やアメリカにも存在します。「指切りげんまん」の意味や由来を理解して、正しく使えるようにしましょう。