本日放送の『王様戦隊キングオージャー』第14話では、イシャバーナーの女王ヒメノ・ランの過去とジェラミー・ブラシエリの関係が明らかに。そして若き王たちが背負う15年前の大災厄「神の怒り」の影響。関与の疑いをかけられジャラミーはヒメノの恨みを買う。やがてジェラミーが国際最高裁判長リタ・カニスカに語ったのは、イシャバーナの人気アニメ「もっふんといっしょ」誕生秘話だった。そこには、イシャバーナ国民が幼き女王に捧げた思いが込められていた……!?
そんな感動エピソードの象徴であり、裁判長リタも溺愛するキャラクター「もっふん」。見た目は、長い真っ白い毛に覆われた巨漢で、ゆるめの表情はとても独特なキャラクターだ。公開されたアニメ「もっふんといっしょ」の主題歌は、なぜか「歌詞が不気味」とファンを騒がせている。いまだ多くの謎に包まれている「もっふん」について、脚本・高野水登氏が、その誕生秘話と込めた思いを語ってくれた。そして、今回ライブCG合成を使った最先端の特撮番組に、劇中アニメキャラを登場させたその背景と今後の展開について東映・大森敬仁プロデューサーも語っている。
脚本・高野水登氏が語るキャラクター「もっふん」誕生秘話とは…。
「もっふん」を登場させるきっかけは?
リタは絶対中立を守るため、誰にも本音を言えないキャラクターです。しかし、その本音を全てモノローグ(心の声)にしては、役者さんが現場で演技をする余地が無くなってしまうのが勿体無いと思い、ぬいぐるみに話しかけているという設定を考えました。つまり、極めてロジカルに、必然性を持って生み出された設定です。そして、幸か不幸か私が常日頃からぬいぐるみを愛し、ぬいぐるみに話しかけていることは、全くもって偶然だったのです。
「もっふん」のデザイン誕生秘話。そしてあふれる「もっふん愛」
「もっふんのイメージ、なにかありますか?」と聞かれ、私がその場で iPad で数分で描いたデザインが、ほぼそのまま採用されています。これは、「適当に描いた」という意味ではなく「誰にも頼まれていないのに頭に強固に作り上げていたイメージはあったものの、脚本家が口を出すのはおこがましいと思って黙っていたので、待ってましたとばかりに描いた」が正しいです。これほどまでもっふんに強いこだわりを抱いている自分に戸惑いました。それからアニメ化のお話を頂いてからは止まりませんでした。「なんとなく内容を考えておいてください」くらいのことを言われて最初に着手したのがテーマ曲です。音楽作りを普段から趣味にしているわけでもなく、楽器も全く弾けないので、iPhone のボイスメモに自ら歌って録音してプロデューサーに送りました。そのプロデューサーからは「疲れてるなら言ってください」と返事が来ましたが、私は至ってまともでした。アニメの内容に関しても、ほんの数分のアニメではあるものの、一切手を抜くことはできませんでした。ぬいぐるみ、マスコットを愛する私個人の想いを抜きにしても、中途半端なものを作っては、それが大好きなリタ様は何なの?と疑問が生まれてしまうし、何よりもっふんを生み出した美の国イシャバーナは手抜きを知らない。もっふんに対し、真剣に向き合う以外の選択肢はなかったのです。こうしてもっふんは、数多のプロフェッショナルのお力で、もっふん関係のあらゆるものがどこに出しても恥ずかしくない素晴らしいものになりました。スタッフ、キャストの皆様には感謝してもしきれません。TTFC にて配信する「もっふんといっしょ」は、短い作品ではありますが、愛と情熱と様々な仕掛けを盛り込んだ楽しい作品になったと信じています。どうかキングオージャーといっしょに楽しんで頂ければ幸いです。
また、もっふんを気に入って下さったら、是非プレミアムバンダイでもっふんマスコットチャームを買って頂きたいです。私も全サイズ2個ずつ買いました。そして、もっふんの輪を広げ、声を上げ、リタ様ご愛用の巨大もっふんを商品化してもらいましょう。もっふんだいすき!!!
東映プロデューサー・大森敬仁が語る「もっふん」の展開
最初にデザインを見た時、監督、スタッフはどんな反応でしたか?
最初にデザインを見たのは、他でもない脚本家・高野水登のラフデザインでした。高野さんだからこそ描けた癒し系キャラ。正直なことを言うと、監督をはじめスタッフ一同は、5カ国のアセットや世界観を構築するので必死で、もっふんにはあまり気を遣えていませんでした。もっふん、ごめんなさい。そんな中、高野さん自作のラフデザイン、自作の歌、自作のシリーズ展開という妄想の数々が裏側で進行し、蓋を開けたときには後戻りできない状態に……(笑)。我々は、その見事なまでに構築された世界観をただただ受け入れただけに過ぎません。頭からつま先まで、高野水登カラーが詰め込まれたもっふんにご期待ください。
アニメ配信、テーマ曲発売、キャラクターグッズ販売 その狙いは?
劇中でリタが「もっふんといっしょ」というアニメが大好きという設定が生まれたため、必ずアニメーションが必要になるだろうと、撮影前の段階から、実績のあった東映特撮ファンクラブに協力していただき、アニメの企画を進めました。もっふんの声を大塚芳忠さんに引き受けていただいた時に「はまった」と思いました。同時にアニメのためにテーマ曲も必要になりましたが、それも含めて既に高野さんのシリーズの格子があったので、アニメ番組の組み立ては容易でした。撮影に入り、リタの部屋の様子について監督が考え始めたとき、キャラクターグッズが必要になりました。『キングオージャー』という作品の中のリタというキャラクターを表現するために必要不可欠な要素だったと思います。ここまで愛されたのは狙いというより、嬉しい誤算です。
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