――ここからは、"俳優・細田佳央太"について詳しく伺います。ご自身はどんなタイプだと認識されているんですか?

僕は子どもの頃にこの世界に入ったこともあって、芸能界とか俳優の仕事にもともと憧れがそんなにないんです。だから基本的に醒めているというか、人付き合いに関してはかなりドライなところがあって。言葉遣いや所作が丁寧で、"ちゃんとしている人"が好きですね。普段しっかりしている人の方が、意外と脆いところもあったりするじゃないですか。僕自身はそっちのグループの人間だと思っているので、自分と似ている人の方が親近感が湧くというか。板垣くんから受けた印象と同じで、人と距離を詰める時はものすごく意識します。グイグイ来られるのは少し苦手なので。

――俳優の仕事について、「自分に合っているな」と感じるところは?

僕は、セリフを忘れることに対する危機感がかなりあるというか、「他人様に迷惑をかけるわけにはいかない」という思いが半端ないんですよ。実際にセリフが出てこなくて怒られたこともあるので……。そういう意味では完璧主義というか、かなり慎重派ですね。

――人付き合いに対してドライだと、役を演じる際の足かせにはならないんですか?

確かにそこは矛盾しているなと自分でも思うんですが、リアルに関わらないから逆に知りたいと思えるというか、一線を引いているんですよ(笑)。自分が演じる役だからこそ知らないわけにはいかないですし、お仕事として責任感を持って取り組まないと……という意識が働くんです。

――ずばり、細田さんにとって演じることの面白さとは?

お芝居って、僕にとっては結局、自己満足なんですよね。監督がOKを出したらOKなんですが、自分の中では後悔が残ったり、「本当にあれでよかったのかな」とすごく悩むので。役作りをする時はいつも一人で苦しむんですけど、ごくごくたまに楽しいと思える瞬間が訪れるから、ハマってしまうんです。それがお芝居の魅力なんじゃないかと思います。

――今回のドラマでもそういった瞬間が味わえましたか?

僕はゲームが好きなので、「攻略しながらレベルアップしていく」のと似たような感覚を味わえるという意味では、アクションができるようになる過程に一番充実感を覚えました。ゲームのなかで魔法や呪文を覚えたり、技を覚えたりするのと近いというか。お金と経験値はセーブデータとして持っていけるけど、新しい現場に入るたびにレベル1に戻って、まったく別のルールのゲームを新たに始める時のワクワクした感覚に近いかもしれません。

――いつか監督業にも挑戦されたいそうですが、ゲームを作る側も経験されたいということですか?

作品って、クリエイターにとってはきっと自分の子ども同然の存在じゃないですか。 自分が生んだ作品が世に放たれて、それが世間にどう受け止められるのか。企画段階から公開までずっと気が抜けないだろうし、作品と一番距離が近いところにいられるのが羨ましい。俳優とは目線が違うからこそ、気づけることがたくさんあるんじゃないかと思うんですよね。

――なるほど。では監督になるのが最終目標ではなく、あくまでもベースは俳優にあると。

そうです。いつか監督業を経験して得られた気づきを、俳優の仕事に還元できればいいなと思っていて。俳優の仕事に役立つものは、何でも吸収したいんです。僕は子どもの頃に書道をやっていたせいか、静かな環境の方が、より集中してお芝居に取り組める気がします。自分は不器用だという自覚があるから、せめて、精一杯努力をして最善を尽くしたい。撮影が終わるたび「ふぅ、疲れた……」って口に出しますし、大事なシーンが終わると深呼吸をする。でもあくまでも集中は切らさない。そんな風に撮影に臨んでいます。