先日、三菱の伝統的なブランド、デリカシリーズの最新モデルが登場した。その名もデリカミニ。デリカといえばデリカD:5がロングセラーの人気モデルだが、スーパーハイト型の軽自動車であるデリカミニは、シリーズ最小のモデル。今回は、発売されたばかりのデリカミニを紹介しつつ、他メーカーのライバルと比較してみたい。


三菱デリカミニとは?



三菱 デリカミニ

 2023年5月25日に発売されたスーパーハイト型の軽自動車が三菱デリカミニ。2020年に登場したeKクロス スペースの大幅マイナーチェンジとして登場したデリカミニは、SUVライクなデザインと広々した室内空間が大きな特徴である。エクステリアは、「DAILY ADVENTURE(日常に冒険を)」をテーマに、タフなデザインが見どころ。個性が強かったeKクロス スペースから一転し、半円形のLEDポジションランプを内蔵したヘッドライトは親しみやすい。





 インテリアは、シンプルな水平基調のインパネに、ライトグレーのアクセントカラーを配置。トレイやドリンクホルダーを見やすくし、使いやすさを追求している。また、汚れがつきにくい撥水シート生地を採用し、アウトドアでの使用や小さな子どもがいる場合などでも便利。パワートレインは、3気筒自然吸気(ハイブリッド)と同ターボ(ハイブリッド)を設定し、CVTを組み合わせている。駆動方式は、全グレードで2WD/4WDから選択可能となっている。ライバルは、ダイハツ スペーシアギア、ダイハツ タントファンクロス。いずれもSUV風のアレンジが施された力強い内外装が特徴である。


ライバルとの比較(室内の広さ)



三菱 デリカミニ



 まずはインテリアを比較してみよう。室内寸法は以下のとおり。



●デリカミニ(2WD)



室内長2200mm/室内幅1335mm/室内高1390mm



●スズキ スペーシアギア(2WD)



室内長2155mm/室内幅1345mm/室内高1410mm



●ダイハツ タント ファンクロス(2WD)



室内長2125mm/室内幅1350mm/室内高1370mm



 最も室内長が大きいのは、デリカミニ。一方で室内幅はタント ファンクロスがトップ。室内高はスペーシアギアが最も高くなっており、それぞれ一長一短がある。



 ほかにも気になるのは、スライドドアの使い勝手。デリカミニでは、ドアの下に足先を入れると自動で開閉するイージークローザー付き助手席電動スライドドアを採用。半ドア状態からでも、きちんと閉まるのが便利だ。スペーシアギアには、同様の装備が付くほか「パワースライドドア予約ロック機能」を採用。スライドドアを好きな位置で停止できるなど、こちらも使い勝手に優れる。一方のタント ファンクロスは、ピラーレスのミラクルオープンドアにより、ドアを開けた際の開放感は非常に大きい。乗降性にこだわるなら、タント ファンクロスが便利。


ライバルとの比較(パワートレイン)




 軽自動車ゆえ、パワートレインに3車とも大きな差はない。いずれも直列3気筒エンジンを搭載し、自然吸気とターボを設定する。ただしタント ファンクロスはほかの2車と異なり、アシスト用モーターは装備されない。トランスミッションは、3車ともにCVTを搭載。駆動方式はいずれも2WDと4WDから選べるので、積雪地方のユーザーも安心だ。



WLTCモード燃費は次のとおり。



●デリカミニ(ターボ車/2WD):19.2km/L



●スズキ スペーシアギア(ターボ車/2WD):19.8km/L



●ダイハツ タント ファンクロス(ターボ車/2WD):20.6km/L



 タント ファンクロスが最も燃費性能に優れている。これに、スペーシアギア、デリカミニが続く。


ライバルとの比較(安全装備)



三菱 デリカミニ

 デリカミニでは、マルチアラウンドビューモニター(移動物検知機能付)を採用(Tプレミアム、Gプレミアムに標準装備)。これは上から見下ろしているような映像をデジタルルームミラー内のモニターに表示するもので、周囲のひとや自転車を検知して警告する機能も付く。また、衝突被害軽減ブレーキ(FCM)を含むeアシストも全車標準装備となるなど、安全面に抜かりはない。一方、スペーシアギアやタント ファンクロスも衝突被害軽減ブレーキをはじめとする先進安全装備が標準装備となっており、各車で大きな差はない。


ライバルとの比較(価格)



三菱 デリカミニ

 最後に新車販売価格を比較してみよう。



●デリカミニ(自然吸気車):180万4000円~214万9400円



●デリカミニ(ターボ車):188万1000円~223万8500円



●スズキ スペーシアギア(自然吸気車):172万5900円~188万9800円



●スズキ スペーシアギア(ターボ車):180万2900円~196万6800円



●ダイハツ タント ファンクロス(自然吸気車):168万8500円~184万2500円



●ダイハツ タント ファンクロス(ターボ車):177万6500円~193万500円


まとめ



三菱 デリカミニ

 スーパーハイト型は軽自動車の人気カテゴリ。これらに、タフなSUVルックをまとったデリカミニをはじめとする各車は、今後さらに市場が拡大していきそうな雰囲気がある。今回発表されたデリカミニは、前身にあたるeKクロス スペースからさらに親しみやすいデザインとなったのが注目のポイント。ライバルのスペーシアギアも似たような性能と価格帯で、好みに応じて選んでよい。また、スーパーハイト型軽自動車のパイオニアであるダイハツは、ミラクルオープンドアによる高い実用性が自慢だ。性能面、装備内容とも極めて近いポジションの3車、好みで選ぶのがよいだろう。