――深夜ドラマではなく、ゴールデン・プライム帯でセックスレスをテーマに描く上でハードルはありましたか?

社内の企画段階では皆「攻めてほしい」と言ってくれていました。この作品はエロを追求しているわけではないので、その点では問題はなかったです。ただ「セックスレス」が重要なキーワードなのですが、朝やお昼のお子さんが視聴している時間帯で番宣する際に配慮が必要でした。「ママ、セックスレスってなあに?」とお子さんに聞かれて困ってしまう現象が世の中で起こってしまうので(笑)。その言葉を使わずに、例えば「夫婦のタブーに切り込む」など上手く言い換えながら、この企画が挑戦しているものを伝えるのが少し大変でした。

――家族の前で観るのが気まずいという要因もあって、見逃し配信が好調です。

おかげさまで、放送後の見逃し配信が毎週1位を獲得しています。オンエア中にTwitterで観ている方の声を見ているのですが、「子どもが起きてきた! 気まずい」という声が多く、逆に「お母さんが観ていて気まずい」とつぶやいているお子さんの声もありました(笑)。奈緒さんがコメントを出してくださったように「いろいろなお茶の間を凍り付かせている」と思います。そういうこともあって、皆さんスマホを部屋に持って行ってTVerで観てくださっているんだろうなと想像しています。

――ドラマの反響としては、どんな声があるのでしょうか?

放送前は、「本気で悩んでいる方からは『こんなドラマやらないでほしい』というご意見が多いかもしれない、賛否の声があるだろうな」と予想していました。実際には、女性からは「(セックスレスで傷つく)気持ちがすごく分かる」「どうして私の話を知っているの?」という共感の声や、「だからといって新名さんについて行っちゃダメだよ」と物語の中に入り込みながら自分や身の回りの方に重ね合わせるような意見がすごく多いです。

男性からは「陽一の(妻とセックスをする気になれない)気持ちも分かるよね」という声があります。一方で、「こんなドラマを放送して家庭が壊れたらどうしてくれるんだ!」という方もいます。そういうご意見は男性が多いですね、「何か身に覚えがあるのかなあ」と思っています(笑)

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■後半はドラマオリジナル部分を入れていく

――ドラマ中盤では、みちが上司の新名と一線を越えそうになったときに涙を流す印象的なシーンがありました。

あのシーンはTwitterでの反響も大きく、2人に対して「どうして先に進まないの~!」という声や、新名の「これからは指一本触れない」というセリフに対して「触れてくれ!」という女性の反応が多かったです。

みちの気持ちを想像すると、あの状況で家にいる夫のことを思い出して、セックスレスで悩んではいるけど嫌いになったわけではないし、同じ悩みを持つ新名に惹かれてはいるけど踏ん切りがつかない、というのはとてもリアルだと思いました。原作漫画でも最高のシーンなので、ドラマでも丁寧に描きたいと考えていました。

――このドラマをどんな方に観てほしいですか?

「ご家族そろって観てください」と言いたいところですが、なかなか難しいと思います(笑)。一緒に視聴するのではなくても、ご夫婦で「あのドラマについてどう思う?」と、話をするきっかけに使っていただけたら本望です。セックスレスを自分たちの問題として話したり、女性から男性に言いづらいところがあると思いますので、ドラマについて話す体(てい)で伝えてもらえると、作ったかいがありますね。

――では最後に、今後の見どころをお願いします。

原作漫画は完結していないので、結末を先に見せてしまうようなことはもったいないと思っています。なので、原作の先生と打ち合わせをしながら、後半はドラマオリジナルの部分を入れていくことで漫画ファンの方もまた違った見方をしていただければと思います。みちと新名さんという、同じ悩みを抱えているからこそ心がつながっている2人の関係がどうなっていくのか。みちと陽一、新名と楓という2組の夫婦の行方に注目していただきたいです。

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●三竿玲子
1978年生まれ。慶應義塾大学卒業後、2001年にフジテレビジョン入社。『医龍2 ~Team Medical Dragon~』『プロポーズ大作戦』『救命病棟24時』『BOSS』『昼顔~平日午後3時の恋人たち』『やんごとなき一族』『あなたがしてくれなくても』などのドラマをプロデュースする。