2021年に公開され、最終興行収入45億円を記録した『東京リベンジャーズ』(21年)の続編、映画『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』が現在公開されている。2部作の前編であり、興行収入はすでに20.85億円、6月30日公開の『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -決戦-』が待たれるところとなっている。

  • 北村匠海

    北村匠海

和久井健氏による人気漫画『東京卍リベンジャーズ』を実写映画化した同作は、どん底人生真っ只中のダメフリーター・タケミチ(北村匠海)が、何者かに背中を押され線路に転落した瞬間、不良学生だった10年前にタイムスリップし、人生唯一の彼女・ヒナタ(今田美桜)を助けるために、ヒナタの弟・ナオト(杉野遥亮)の協力で過去と未来を行き来しながら、東京卍曾に入り込み、自分の人生のリベンジに挑む姿を描いている。

『血のハロウィン編』では、凶悪化した東京卍會によってまたしてもヒナタが殺され、未来を変えようと過去に戻ったタケミチが、ヒナタを救う鍵は“東卍結成メンバーを引き裂く過去の事件”と“東卍崩壊の危機となるかつての親友同士の戦い”にあることを知る。後編『-決戦-』ではいよいよ東京卍曾VS芭流覇羅の戦いが繰り広げられるが、今回はこの撮影の模様をレポートする。

■廃車場セットの説得力

原作でも印象的な廃車場を再現するために、同作のスタッフは、2000坪ある群馬県高崎市の廃工場内部を2カ月かけて徹底的に作り上げたという。屋根を整えるだけでも3週間をかけ、新品だった車はすっかりスクラップ車の様相で、全体では約150台が設置された。主演の北村も「(廃車場は)すごいセットでしたね、この『血のハロウィン編』は廃車場のセットに説得力がなければ、すべてがダメになると思っていました。あのセットが象徴だと思うので」と満足げ。中でも印象的なのはうず高く積まれた廃車の山で、ここには100台もの車が使われている。

マイキー(吉沢亮)と一虎(村上虹郎)が殴り合うシーンもここで撮影されており、吉沢は「(廃車場の車が積み上がった場所でのアクションは)上に行く程、溜まってる空気が暑すぎて上と下で5度くらい違いました。確か40度は越えてましたね」と振り返っている。ドラケン役の山田裕貴は「廃車場のセットを用意してくださったスタッフの皆さんには本当に感謝していますし、ありがたい限りです。アクションシーンはやっぱりみんな特に力の入るとこだと思うので、豪華なセットでアクションできたことも。本当1番大変だったのはマイキーだと思うんですよ、車が積み上がった場所でのアクションが多かったので」と吉沢を気遣うコメントも。場地役の永山絢斗は「廃車場のセットはすごかったですね。ただ写真でも事前に見てたっていうのもありますけど、ここでここから何日か過酷なシーンが続くんだな、『よろしくお願いします』という気持ちの方が強かったですかね。テンションが上がるというよりは、無事に乗り越えようって気持ちの方が強かったです」と撮影時の心境を吐露した。

岡田翔太プロデューサーも「廃車の山って、原作でも象徴的なものじゃないですか、原作やアニメをご覧になった方が期待するだろうなと思った中、期待に応えるスケールのものを作らないと、どうせなら思い切ってすごいものを作ろうということになったんです。僕も初めて見た時、本当に開いた口がふさがりませんでした。びっくりするぐらいのすごいセットでした」と語っている。

約200人が集合

この日の撮影では、東卍50人、芭流覇羅100人、さらには決戦を見守るギャラリーとしての別チームも集合し約200人が出演する大所帯に。仕切りを任されているICBM(池袋クリミナルブラックメンバーズ)の阪泉が「主役どもの登場だ!」と叫ぶと、全員が集まってくるというまさに決戦の始まりとなる。今作から参加する場地役の永山は、カットがかかるたびに映像をチェックし、監督とも話し合う姿を見せ緊張感の漂うシーンだが、段取りでは半間(清水尋也)が1人で突っ込んでいってしまい、笑いが生まれる場面も。撮影の合間には北村・山田・吉沢が丸くなって談笑したり、北村と千冬役の高杉真宙が話し合ったり、高杉と清水が笑顔を交わし合ったりと、俳優陣の絆も窺える。

一虎が阪泉を蹴り上げ「殺してやるよ、マイキー」と言い放つと、両チームは駆け出して乱闘アクションへ。砂埃が一斉に舞う状況のため、周囲のスタッフは防塵マスクも使用する。東卍と芭流覇羅が顔を合わせた廃車場の真ん中だけでなく、全体を暴れ回るアクションとなり、北村も「今回はアクション部さんと一緒にアクションを作っていきました。ここ2年間、ずっとアクションをやってきたので、1の時と比べると相当レベルが上がったと自分の中で思っています」と自負。

高杉は「まずは撮影を無事に終えられたことが幸せだなと思います。やっぱり、アクションシーンってすごいなと、あんな大人数で喧嘩シーンを撮影するという経験が無かったので、『映画を撮っている』という感覚になりました。あの大迫力なシーンを映画館のスクリーンで観れるのは幸せですね」としみじみ。「いわゆるクライマックスのシーンなので、いろんな感情が交錯する中、千冬は『場地の奪還』と『タケミチを守る』という目的が明確でしたので、そのことだけを考えて演じていました」と語る。山田は「アクションは実践の中でアドリブや面白味を足していきました。そのシーンも本当に難しくて。アクションってただフリが決まっているだけでは無くて、そこに感情が乗っかっていて、『場地!』『稀咲!』『マイキー!』とか言っているだけのシーンもあるので、その間『俺はどうしているんですか?』という埋める作業や、お客さんが楽しんでもらえるようなアイデアをアクション監督の方と一緒に話したりしていました」と明かした。

廃車場での撮影は約1カ月にも及び、吉沢は前述したように山の頂上で村上と殴り合うシーンも。「彼の熱量というか、役に全てをかけている感じ、この瞬間を役として生きているようなパワーがすごくて、僕も勝手に気持ちを持ち上げられました。すごい覚悟を持ってこの作品に挑んでいるんだろうなというのが伝わってきて、楽しかったです。シーンとしてはめちゃめちゃしんどかったですけど(苦笑)」と述懐。「僕も虹郎も体がバッキバキになって、“首が回らない!”みたいになってました。でもどれだけ体がボロボロになっても、心はずっと燃えてる感じがして。芝居をしていてあんなに楽しい感覚は、正直久々でした。痛みを忘れるくらい、アドレナリンが出まくってました」と熱い撮影だったようだ。北村も「とにかく後編も面白いです。廃車場でのアクションだったり、アクションだけじゃなくてみんなの複雑な思いだったり、それぞれ1ミリも見逃してほしくないシーンが詰まっています」とコメントしており、後編の『-決戦-』も見逃せない内容となっている。

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