世の中には多くの投資商品がありますが、私たちがよく耳にするものとして、「株式投資」や「投資信託」があります。しかし、言葉としては知っていても、投資初心者の方にはその違いがよくわからないかもしれません。
これから投資を始めたい人は、自分に合う投資商品を選ぶためにも、両者の特徴や違いについて理解しておきましょう。今回は、株式投資と投資信託の特徴やそれぞれのメリット、デメリットについて解説します。
■株式投資と投資信託の特徴や違い
株式投資と投資信託、どちらも投資であることに変わりはありませんが、具体的にはどのような特徴があり、どう違うのでしょうか。
<株式投資と投資信託それぞれの特徴>
・株式投資
はじめに、「株式」とはどのようなものなのか、簡単に確認しておきましょう。私たちは普段、さまざまな商品やサービスに囲まれて生活していますが、そうした商品、サービスをよりよくするため、企業は日々努力を重ねています。
たとえば、既存商品の改良や新商品の開発、工場や設備などへの投資、人を雇用するなどしますが、そのためには長い期間にわたって多くの資金が必要です。そこで、企業は自社に出資してくれる人を募り、事業のための資金を集めます。
企業が資金調達のために発行する証券を、「株式」といいます。私たちは、その株式を購入すると、その企業の「株主」になることができます。株主になると、配当金や株主優待を受け取れるほか、株主総会に参加して議決権を行使することも可能です。
では、「株式投資」とはどのような投資なのでしょうか。株式投資は、購入した株式の「株価」が上昇したタイミングで売却することにより、差額を利益として得る投資方法です。デイトレードといって、株式の売買を1日で終わらせる取引手法を用いれば、その日のうちに利益が出る場合もあります。
一般的に、株式投資は比較的短い時間でも結果が出るという特徴があり、「ハイリスク・ハイリターン」な投資とされています。
・投資信託
投資信託とは、投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用のプロが株式や債券などに投資・運用し、その運用の成果として生まれた利益を投資家に還元するという金融商品です。株式や債券のほか、不動産や商品などの投資対象にも投資できます。投資家は、購入する投資信託さえ決めてしまえば、あとはその運用をプロに任せられます。
投資信託の特徴としては、投資家が自分で運用する必要がないほか、証券会社によっては100円や1,000円といった少額からも始められる点、分散投資でリスクが軽減できる点が挙げられます。また、個人では投資しにくい国や地域、資産にも投資が可能です。
なお、株式投資は企業に直接投資しますが、投資信託は間接的な投資ですので、投資信託には株主優待がありません。
<株式投資と投資信託の違い>
ここまで見てきたように、株式投資と投資信託にはそれぞれ特徴があり、さまざまな点で異なっています。大きな違いとしては、株式投資は自分で投資先(銘柄)を見つけて投資しますが、投資信託は、出資する投資信託(ファンド)は自分で選ぶものの、「何に投資するか」の内容はプロに任せるといった点でしょう。
また、株式投資と投資信託では、手数料のかかり方が異なります。株式投資では、株を購入した時と売却した時だけ手数料がかかるのが一般的です。
一方、投資信託では、購入時や売却時のほか、運用期間(その投資信託を保有している間)に対しても「信託報酬」という手数料がかかります。ただし、証券会社によって手数料の条件は異なりますので、事前に証券会社のサービス内容をよく確認しておきましょう。
■株式投資と投資信託のメリット・デメリット
株式投資と投資信託はともに魅力的な投資方法ですが、メリットがある一方、デメリットも存在します。株式投資と投資信託のメリット、デメリットを見てみましょう。
<株式投資のメリット、デメリット>
・メリット
株式は、購入時よりも株価が上がったタイミングで売却すればその差額分が利益になるほか、保有することで配当金が得られます。売買益と配当金を合わせた株式の平均利回りは5%前後といわれており、正しい株式投資の方法を身に着けて運用すれば、着実に資産を増やせる可能性があります。
また、株主優待も大きな魅力の一つです。株式を保有している企業の商品が送られてきたり、サービスを割引価格で受けられたりと、企業によってお得な特典がさまざまあります。購入する銘柄を決める前には、株主優待の内容を確認しておくといいでしょう。
ただし、株主優待を実施していない企業もありますので、その点は注意が必要です。
・デメリット
企業の業績や市況によっては、株価が値下がりしてしまうこともあります。株式には元本保証がありませんので、購入時よりも株価が下がったタイミングで売却すると、その差額分は損になることを知っておきましょう。
また、売買が少ない銘柄の場合、売りたいと思っても買い手が見つからず、自分が売りたいタイミングで売却できないことがあります。企業が何かの不祥事を起こしたり、急速に業績悪化が進んでいたりする時も、同様の現象が起こり得ます。
さらに、株式を購入した会社が破たんしてしまえば、株式の価値がゼロになってしまいます。投資先を選ぶ際は、会社の過去の業績をしっかりチェックしておきましょう。
<投資信託のメリット、デメリット>
・メリット
投資信託は、専門家に運用を任せられる点が大きなメリットでしょう。初心者にとって、投資の判断を自分で下すのは難しいものです。プロに運用を任せることで、投資を始めるハードルがグッと下がるのではないでしょうか。
また、投資信託なら分散投資でリスクを軽減できます。たとえば、ある企業の株式にだけ集中して投資すると、その企業が破たんした時には、株式の価値がなくなり、大きな痛手を負います。しかし、投資信託では、株式・債権といった異なる値動きの資産や、国・地域などに幅広く投資でき、リスクを分散できるのです。
さらに、投資信託は大体1万円前後、もしくは、100円や1,000円といった少額から始められます。数万円、数十万円といったまとまった金額がなくても、気軽に投資にチャレンジできる点が嬉しいですね。
・デメリット
投資信託は、株式投資と同じく元本保証がありません。購入した時よりも値下がりし、元本割れとなるリスクがあることも知っておきましょう。また、投資信託は手数料がネックになります。証券会社ごとに手数料は異なりますので、投資信託を購入する前に確認することが大切です。
さらに、投資信託は、株式のような売買ができません。株式の場合、刻一刻と時価額が変化するため、譲渡益を見込んで取引を行うことができます。しかし、投資信託は、複数の銘柄を組み入れているため、個々の時価評価をもとに、1日に1つの基準価額が算出され、公表されます。
そして、売買取引は、当日の基準価額を公表する前に締め切られる「ブラインド方式」が採用されているため、株式のようにタイムリーな取引には向かないのです。
■違いをよく理解して自分に合う投資を選ぼう
今回は、株式投資と投資信託の特徴や違い、メリット・デメリットをご紹介しました。投資信託は少額から分散投資が可能でリスクが抑えられますが、株式投資には、自分で銘柄を選ぶ楽しさがあります。それぞれの違いをよく理解し、自分に合う投資を選びましょう。