「身に余るお言葉」は、目上の人から褒められたときの返事に使うフレーズです。ビジネスシーンでよく使う言葉なので、使い方を覚えておきましょう。
本記事では、「身に余るお言葉」の意味や使い方・例文を解説するとともに、類語・言い換え表現や英語表現についても紹介します。
「身に余るお言葉」の意味とは
「身に余るお言葉」とは、自分の立場や実績以上に評価された際に、謙遜する意味を込めて使う慣用句です。
「身に余る」という言葉には、「評価や処遇が自分の立場や実績以上に良すぎる、分不相応・過分である」という意味があります。これに「お言葉」を加えることで、目上の人からもらった言葉が自分にはもったいないほどだ、能力以上に評価されて光栄に感じている、という意味になります。
なお、「お言葉」の「お」が敬語表現となっているので、このまま目上の人に問題なく使うことが可能です。
「身に余るお言葉」の使い方・ビジネスで使える例文
「身に余るお言葉」は、目上の人からの褒め言葉に対する返答として使用します。使う際は、「ありがとうございます」「感謝申し上げます」などの感謝を表す言葉や、「恐縮です」などの謙遜を表す言葉と併せて使うのが一般的です。
ここでは、ビジネスシーンで使える例文を紹介します。
上司に伝える場合
ビジネスシーンでは、上司から業績などを褒めてもらう機会があるでしょう。このような場面で、「身に余るお言葉」を使って感謝の気持ちを伝えることができます。
・身に余るお言葉をいただき恐縮です。ご期待に沿えるよう精進してまいります。
・身に余るお言葉をいただき、感謝申し上げます。さらなる業績アップを目指して、より一層業務に励んでまいります。
・身に余るお言葉をいただき、大変嬉しく存じます。誠心誠意努めてまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
上記のように、「恐縮です」や「感謝申し上げます」を付け加えることで、謙遜や感謝の気持ちがさらに伝わります。また、「精進してまいります」や「励んでまいります」などの言葉を後に続けると、自分のやる気や情熱をアピールできるのでおすすめです。
取引先に伝える場合
取引先から自社の製品や自身の対応を褒めてもらう機会もあるでしょう。このような場面で返答するときにも「身に余るお言葉」を使って感謝を伝えられます。
・身に余るお言葉をいただき、恐悦至極に存じます。今後も担当として全力を尽くしてまいります。
・身に余るお言葉をいただき、感謝申し上げます。誠心誠意努めてまいりますので、今後とも変わらぬお引き立てのほどお願い申し上げます。
・身に余るお言葉をいただき恐縮です。より一層精進してまいりますので、今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
上司のときと同じように、感謝の言葉や謙遜の言葉を添えましょう。また、「今後とも変わらぬお引き立てのほど」などを併せて使うと、末永く付き合っていきたい気持ちを伝えることができます。
「身に余るお言葉」の類語・言い換え表現
「身に余るお言葉」以外にも、褒められたときの返答に使える言葉が複数あります。ここでは、「身に余る言葉」の類語や言い換えに表現を紹介します。
ありがたいお言葉
「身に余るお言葉」は、「ありがたいお言葉」に言い換えることができます。
ただし、「ありがたいお言葉」には謙遜の意味は含まれていません。単純に感謝を述べる言葉なので、使う際はそのほかの謙遜を表す言葉を添えるといいでしょう。
もったいないお言葉
謙遜の意味を持つ言葉で言い換えたいなら、「もったいないお言葉」という表現が使えます。
「自分にはもったいない言葉」という意味合いになるので、謙遜の気持ちを込めて返答したいときに使いましょう。
過分なお言葉
謙遜を含む言葉であれば「過分なお言葉」も言い換え表現として使えます。「もったいないお言葉」よりも丁寧な印象の言葉です。畏まった表現で返答したい場合は、こちらを使ってみましょう。
お褒めの言葉
単に褒められたと言ってもその程度はさまざまですが、「身に余るお言葉」は、先述の通り自分の立場や実績以上に良すぎる、あるいは過分であるくらい褒められたときに使います。
つまり、少し褒められた程度で使う言葉ではありません。例えば、作った資料を上司に確認してもらった際「よくできてたよ」と褒められることがあるでしょう。このようなときに「身に余るお言葉」を使うのは大袈裟です。
ちょっとした誉め言葉に対しては、シンプルに「お褒めの言葉」を使いましょう
その他の表現
「身に余るお言葉」は、ここまで紹介した以外にも下記のような言葉で言い換えることが可能です。
・光栄です
・光栄に存じます
・身に余る光栄に存じます
・恐れ多いことでございます
・恐縮至極に存じます
「身に余る」を使用したほかの言葉
「身に余るお言葉」以外にも「身に余る」を使った表現があります。
・身に余る光栄
・身に余る賞
・身に余るお話
・身に余る大役
「身に余る光栄」や「身に余る賞」は何か賞をもらったり表彰を受けたりした際に使います。「身に余るお話」や「身に余る大役」は、昇進したり重要なポストを任された際などに使える表現です。
いずれも謙遜の意味を含むので、それに値する状況でのみ使うよう注意してください。
「身に余るお言葉」の英語表現
「身に余るお言葉」を英語で言いたい場合、「undeserved compliment」などの表現が使えるでしょう。undeservedは「分不相応・身に余る」、complimentは「誉め言葉・賛辞」という意味を持ちます。
ただし、海外には日本ほど謙遜の文化がありません。自分を不必要に卑下したネガティブな印象を与える恐れがあるので、使う場合は注意が必要です。
褒められたときは、素直に嬉しい気持ちや感謝の気持ちを伝える言葉を使って返答しましょう。
「身に余るお言葉」を適切に活用しよう
「身に余るお言葉」の正しい使い方・例文や類語などを詳しく紹介してきました。
上司や取引先など目上の人から褒められたときの返答に使える言葉は複数ありますが、自分にはもったいないと感じるほど褒められたり、能力以上に評価されたりした際は「身に余るお言葉」を使ってみてください。
また、返答する際は今回紹介した感謝の気持ちを表す言葉も忘れずに添えましょう。