新年度になり、会社の健康診断を受ける人も多いのではないでしょうか。年に一度、自分の身体を知るためにも健康診断は大切です。普通のつもりでも「再検査」や「要経過観察」といった結果が出るとドキッとしてしまうもの。注意が必要な健康診断の結果について解説します。

健康診断結果の判定区分は?

健康診断の結果は、複数の判定区分に分かれています。それぞれの項目の基準値をもとに検査結果を段階的に表しており、アルファベットで表記されることもあります。区分は診断を受けた病院によって異なりますが、ここでは日本人間ドック協会の判定区分を参考に紹介します。

A 異常なし

測定数値が正常の範囲内で、問題はありません。

B 軽度異常

基準値からをわずかに外れていますが、日常生活に支障がでない程度です。精密検査は必要ありませんが、自覚症状などがある場合は早めに受診すると良いでしょう。

C 要再検査・生活改善

測定数値が基準値を超えており、再検査や生活改善が必要です。検査結果が一時的なものか、持続的なものか判別が難しい場合があるため、再検査をおすすめします。いずれ悪化する可能性もあるため、病気の予防や健康維持に向け、生活習慣を見直すことも大切です。

D 要精密検査・治療

診断結果に疑わしい部分が見られたため、詳しい検査や積極的な治療が必要です。必ず医療機関を受診しましょう。なお、必ず病気であるというわけではなく、再検査の結果異常が見られないこともあります。

E 治療中

現在治療中の場合表記される結果です。そのまま受診中の医療機関で治療を継続しましょう。

検査結果に要注意な項目は?

メタボリックシンドローム

血糖、血圧、脂質の数値と腹囲から総合的に診断します。腹囲が男性85cm・女性90cm以上で、かつ血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値から外れると、「メタボリックシンドローム」と診断されます。

メタボリックシンドロームは、進行すると動脈硬化を引き起こし、さらには心筋梗塞や脳梗塞、脳出血など重大な病気へと繋がります。生活習慣の改善や治療を行い、病気を予防しましょう。

高血圧

高血圧は多くの人の場合自覚症状がありません。放置していると血管に大きな負担がかかり、動脈硬化のリスクが高まります。動脈硬化が進行すると心筋梗塞や脳卒中などの病気に繋がるため、正常値に戻すためにも病院での治療や生活習慣の改善が必要です。

貧血

貧血は女性に多い症状ですが、その原因は鉄やビタミンの不足、がんなどの病気による過剰な出血、骨髄の病気など血を作る機能の低下、赤血球が破壊されることによる溶血性貧血などさまざま。がんや大きな病気の可能性もあるため、原因を知るためにも再検査を受けると良いでしょう。

血糖値

健康診断では、空腹時の血糖値を測定しています。メタボリックシンドロームの判定に使われ、数値が高いと糖尿病の可能性も考えられます。糖尿病になると将来的に心臓病や失明など重い合併症を引き起こす可能性があり、服薬やインスリン注射などによる早めの血糖値コントロールが必要です。糖尿病予備軍の時から生活習慣を改善することで、糖尿病の発症率を下げることができます。

尿酸値

痛風になるというイメージが強い尿酸値ですが、進行していくと結晶となった尿酸が尿管や膀胱に詰まると激痛が走る尿路結石を引き起こします。男性に多い病気で、痛風だけでなく腎臓病や心疾患へのリスクもあります。ビールや魚卵などに含まれるプリン体の摂取を控え、アルコールを減らしたり、有酸素運動を行ったりすることで高尿酸血症を予防しましょう。

コレステロール

悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)と善玉コレステロール(HDL-コレステロール)の2種類があります。悪玉コレステロール値が高いと、メタボリックシンドロームや糖尿病、脂質異常症などのリスクが高まります。また、善玉コレステロール値が低いと肝硬変や高血圧症、腎不全などの病気を引き起こしやすくなります。

尿蛋白や尿潜血

尿蛋白に異常があった場合、慢性腎臓病の可能性があります。激しい運動やストレスがある時にも尿蛋白が見られることがありますが、尿蛋白が出続けている状態だと腎臓機能の低下や透析が必要な腎不全へ進行する可能性があるので注意が必要です。また、尿潜血では尿に血液が混じっているため、膀胱炎や膀胱がんの可能性が考えられます。

肝機能

肝臓は異常が起きても症状が現れにくい臓器です。肝臓の検診では、肝臓の機能を複数チェックします。数値に異常があった場合、B型・C型ウイルスによる肝炎や、アルコール性肝障害、脂肪肝、肝硬変など、さまざまな病気のリスクが考えられるため、早期発見のためにもさらに詳しい検査を受ける必要があります。

心電図

多くの健康診断では安静時心電図の検査を行います。狭心症や心筋梗塞、心肥大などの病気の可能性が考えられます。合わせて高血圧や脂質異常症などの症状がある場合や、血液検査で異常がみられる場合、重大な病気へつながる場合も。早めに再検査や受診をしましょう。

健康に生活するために

健康診断は、自分の身体を知る大切な機会です。検査結果をよく見て、生活改善を行うことが大切です。運動の機会を増やす、バランスの良い食事を摂る、6~8時間の睡眠をとる、酒・たばこ・嗜好品を控える、ストレスをためすぎない生活を送るなどを意識すると良いでしょう。

生活習慣が乱れると、免疫力も低下します。免疫力が低下すると病気にかかりやすくなったり、症状が重くなり治りにくくなってしまいます。検査結果に一喜一憂するだけでなく、日頃から健康的な生活を心掛けましょう。

この記事は、医療健康情報を含むコンテンツを公開前の段階で専門医がオンライン上で確認する「メディコレWEB」の認証を受けています。