東武鉄道は15・16日、新型特急車両N100系「スペーシアX」の車両撮影会を実施した。現行の特急車両100系「スペーシア」を受け継ぐフォルムと高貴な白を基調とした外観、全6種類の多彩なシートバリエーションとなった車内の様子が報道関係者らに公開された。

  • 東武鉄道の新型特急車両N100系「スペーシアX」が報道関係者らに公開された

    東武鉄道の新型特急車両N100系「スペーシアX」が報道関係者らに公開された

「スペーシアX」は2023年度中に計24両(6両編成×4編成)を導入予定。約1年間という製作期間を経て車両が完成し、3月上旬に2編成12両が日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)から東武鉄道の南栗橋車両管区(埼玉県久喜市)へ輸送された。その後は7月15日の運行開始に向け、各種最終調整・準備が進められている。4月15日に行われた車両撮影会では、浅草方から「N102-1」(6号車 / Tc1)、「N102-2」(5号車 / M1)、「N102-3」(4号車 / M2)、「N102-4」(3号車 / M3)、「N102-5」(2号車 / M4)、「N102-6」(1号車 / Tc2)の編成が公開された。

エクステリアは現行「スペーシア」をアップデートすべく、先頭車(1・6号車)の丸みを帯びた流線形状やラグジュアリーな面影は残した上で、現代に進化させたフォルムとなった。車体前面のヘッドライト・テールライトは合計39個のLEDを用い、ハイビーム時の点灯LEDが東武鉄道の「T」に見えるなど、遊び心も加えられている。

車体のカラーリングは、日光東照宮陽明門に塗られた「胡粉(ごふん)」をほうふつとさせる高貴な白を採用し、青みのかかった陶磁器のような色合いに。日の当たり方により、その色味は違った印象になるという。鹿沼市の伝統工芸である組子に用いられる幾何学模様をイメージした意匠も取り入れ、窓枠など各所にあしらった。先頭車の窓は意匠性の高い六角形の大型窓とし、「X」をイメージさせるデザインも特徴となっている。

  • 「スペーシアX」の先頭車は丸みを帯びた流線形状に

  • ヘッドライトはハイビーム時、「T」に見える形状になる

  • 先頭車の客室窓は六角形。「X」をイメージさせるデザインとなった

  • 車体側面に「SPACIA X」の愛称ロゴを配置。車外表示器はLCDディスプレイに

車体側面に「SPACIA X」の愛称ロゴも配置。車外表示器はLCDディスプレイとし、行先・列車名・号車案内等の文字をくっきり見やすく表示するだけでなく、多彩な映像演出も可能にした。

「スペーシアX」の定員は1編成あたり212名。現行「スペーシア」より減少したが、これはバリエーション豊かな客室空間を構成したためだという。最上級シートの7名個室「コックピットスイート」(6号車)をはじめ、4名個室「コンパートメント」(6号車)、4人・2人・1人掛けの各種ソファを配置した「コックピットラウンジ」(1号車)、横3列(2列+1列)の配置でバックシェル構造の「プレミアムシート」(2号車)、横4列(2列+2列)の「スタンダードシート」(3~5号車)、向かい合う2シートによる半個室「ボックスシート」(5号車)を用意しており、全6種類の客室から選択可能。利用者それぞれのシチュエーションに合わせ、快適な旅を提供するとしている。

  • 車内は最上級シートの「コックピットスイート」をはじめ、全6種類のシートバリエーションを用意

  • 車内の各所に幾何学模様をイメージした意匠が施されている

  • 先頭車のデッキ天井部に設置された天窓表示器で映像演出を行う

  • 「スペーシアX」の運転台。十分な前方視界を確保している

1・6号車のデッキ天井部に天窓表示器を設置し、42インチLCD搭載ガラスサイネージに日光・鬼怒川の自然を連想させる映像演出を行う。アロマディフューザーも備え、映像と香りの両面から利用者を迎える設計とした。クリーンで快適な車内環境にも努め、数分で空気を入れ替える自動換気システムに加え、深紫外線の空間除菌消臭装置「エアロピュア」(日機装)と、「ナノイーX」(パナソニック)搭載の空気清浄機を常時運転する。

「スペーシアX」は7月15日にデビュー。浅草~東武日光間・浅草~鬼怒川温泉間で毎日1往復ずつ運行するほか、木・金曜日と土休日に浅草~東武日光間で2往復追加し、1日最大4往復の運行を予定している。「プレミアムシート」と「スタンダードシート」で異なる特急料金を設定し、「コックピットスイート」「コンパートメント」「ボックスシート」「コックピットラウンジ」は特別座席料金も必要。北千住~鬼怒川温泉間で「コックピットラウンジ」(1人用)を利用した場合の運賃・料金は合計3,540円(運賃1,400円+スタンダードシート特急料金1,940円+特別座席料金200円)となる。

  • 「スペーシアX」6号車(浅草方先頭車)の運転台

  • 「スペーシアX」6号車の「コックピットスイート」「コンパートメント」

  • 「スペーシアX」1号車の「コックピットラウンジ」。カフェカウンターが併設されている

  • 「スペーシアX」2号車の「プレミアムシート」。1号車寄りのデッキ部にトイレもある。大型荷物置場は2号車をはじめ、計5カ所のデッキ部に設置しているとのこと

  • 「スペーシアX」の「スタンダードシート」は3~5号車、「ボックスシート」は5号車(4号車寄り)に設置。車いす利用者向けのスペースやバリアフリートイレ、多目的室などの設備は5号車に用意されている

  • 「スペーシアX」の外観