――ケインさんが演じられた凄腕の傭兵「黒虎」をどういう風に演じられようと思いましたか。

坂本さんと相談して『バトルファミリア』のアヅマと同じくストイックな性格を見せようということになりました。戦場で九條と味方同士だったころの友情は残しながらも、今与えられている仕事を最優先し、必要とあらば九條の命を狙うことに躊躇がない……といった、戦闘のプロの部分を意識しました。

――ケインさんと高岩さんが、厨房の中に入り込んで激しいバトルをするシーンがありました。撮影で苦労されたことはありますか。

狭い場所でのアクションは大変でしたけど、あそこがこの作品での一番の思い出になりました。高岩さんはプロ中のプロですから、NGはほとんど出さないんです。リハーサル段階からすごく息が合い、やりやすかったです。

――黒虎が正統派のコマンドアクションで攻めるのに対し、九條のほうはフライパンを盾にしたり、ちょっとズッコケながら応戦したりと、まるでジャッキー・チェンを思わせるコミカル風味のアクションを見せてくれました。ケインさんはあのようなコミカルアクションはお好きなほうですか。ご自身もやってみたいと思いますか。

アクションジャンルはすべて好きなので、コメディ作品もよく見ています。自分がコミカルアクションをやる機会は、ほとんどないですけどね。『カクレンジャー』のジライヤも、周囲がコミカル風味の中で彼だけはマジメでしたし(笑)。今回の九條のような役は、難しいだろうなって思います。アクションをしながら、コミカルなキャラクターを常に意識しないといけないというのは、大変なんですよ。

――黒虎の衣装についてのこだわりポイントがあれば、教えてください。

細かな注文をつけたことはありませんが、とにかく動きやすく、というのは意識しています。今はいているジーパンはタイトに見えますが、ストレッチ素材なのですごく足を上げやすい、蹴りを入れやすいんです。撮影に入る前、僕はいつもズボンと靴を確認します。足が上がるかどうか、動きにくくないかどうかを調べるためです。でも、坂本さんの作品はその部分を常にクリアした状態でいてくれますから、安心です。

――撮影中、坂本監督との会話がすべて英語で行われていたとうかがいました。やはり英語のほうが日本語より意志をスムーズに伝えやすいのでしょうか。

もう30年も日本に住んでいますので、今こうやって話すときも頭の中にすぐ日本語が出てくるんですけど、本当に伝えたいことがあれば英語のほうがパッと浮かびやすいです。坂本さんもアメリカ生活が長い方ですから、お互い英語でコミュニケートしたほうが質問しやすく、説明もわかりやすいです。

――東映東京撮影所はケインさんにとって、『カクレンジャー』や『はぐれ刑事純情派』の撮影で思い出深いのではないですか。

『はぐれ刑事純情派』では撮影所に3年間通っていたこともあり、たくさんの思い出が残っています。大ベテランの藤田まことさんをはじめ、大人の俳優さんに囲まれていた若手でしたから、毎日緊張していました。藤田さんから演技に対する強い思いというものをうかがった、勉強の日々でもありました。

――本作では歴代仮面ライダー、スーパー戦隊の俳優さんが悪役で出演されているのがアピールポイントとなりました。ケインさんも「スーパー戦隊」レジェンド枠なんですね。

『カクレンジャー』のころは19歳。現場でもかなり年下のほうでしたけど、今ではだいたい共演者の中でいちばん上だったりしますしね(笑)。撮影スタッフの方で今30代の人たちは『カクレンジャー』をテレビで観ていた世代らしく、声をかけてもらえることもありました。僕としては、カクレンジャーやジライヤのことを覚えてくれるだけでもありがたいと思っています。最近になって、当時オンエアを追いかけられなかった『カクレンジャー』をDVDで全話観返したんです。4歳になる娘も楽しんで見てくれました。改めて見てみると、すっかり忘れてしまった場面、とても寒かった~という思い出の残っている場面など、いろんな記憶が甦りますね。撮影用に使っていたドロンチェンジャーをずっと大事に保管していたので、出してきて娘に見せたら「変身する道具だよね!」って理解してくれました(笑)。

――最後にケインさんから『グッドモーニング、眠れる獅子2』の見どころを教えてください。

キャストのみなさんの顔ぶれもすごいですし、いろいろなところで高岩さんがものすごいアクションを見せるのもオススメです。コメディと、アイドルと、ドラマと、アクションが詰め込まれた、他にはなかなかない作品になっています。その中でも特に、黒虎と九條のバトルアクションに注目してください。もし坂本監督に声をかけてもらえれば、黒虎としてまた戻って来られるかもしれません。パート3があるときは、九條の仲間として敵と戦っていければと思います。みなさん応援してください!