――他流派といえば、コマンド部隊のひとり・スペシャルガンドッグに扮して九條と格闘戦を行ったのは、近年のウルトラマンシリーズなどで活躍されている岩田栄慶さんでした。
高岩:あれこそまさに他流派同士でした。新鮮な気持ちで臨みましたね。なんといっても「巨大ヒーロー」ですから! 岩田くんは体が大きいのにスピードがあって、とてもいい戦いになったと思います。
坂本:アクション業界では高岩さんはレジェンドとして尊敬されていますから、岩田くんも「高岩さんと一度アクションでご一緒してみたい」と話すことが多く、ぜひ機会を作ろうということになったんです。1作目のときはあいにくスケジュールが合わず、今回も出演可能な時間が限られていたので、アクションに特化したシチュエーションで入ってもらいました。憧れの高岩さんと戦うことができて、本人はすごく喜んでいました。
高岩:こちらは緊張してましたけどね(笑)。お会いするのが楽しみでした。
坂本:等身大ヒーローと巨大ヒーローとでは、戦いのリズムも違ってくるし、2人の激突は興味深かったですね。今回も、スペシャルなカードが組めたと思っています。
高岩:岩田くんを倒した決め技が「回し蹴り」だったでしょう。僕が回し蹴りでとどめを刺したら、自然とこういうポーズ(仮面ライダーカブトの“天道ポーズ”)を取ってしまうんです。あそこで指を天空に掲げているのはそういう意味(笑)。
――冒頭の、九條がオフィスビルの人込みをかいくぐりながら宅配ランチを届けようとするアクロバティックなシーンは、人にぶつかるたび高岩さんの一言ギャグが入り、スリリングなのにコミカルで、思わず目を引き付けられました。ああいったコメディタッチのセリフは台本にも書かれているのですか。
坂本:いえ、台本にはないですね。
高岩:ほとんど僕のアドリブです(笑)。
坂本:そういうところもジャッキー映画っぽいんですよ(笑)。
高岩:自分としてはお芝居の間がもたないので、ついつい何かセリフを入れてしまうんです。会社の重役が部下を連れてぞろぞろ歩いているところに出くわして、つい「院長の回診です」って言ったり(笑)。
坂本:危険と紙一重のアクションの合間に、ちょっと笑いを挟むというのがジャッキーテイストですね。
高岩:コミカルな動きをやると、僕の中にあるモモタロス(仮面ライダー電王)が出てきて、悪ノリをし始めるんです(笑)。
坂本:あと、高岩さんとは世代が同じなので、あのときのあの映画の感じで……と言ったらだいたいピンと来るところがあって、演技の細かなニュアンスが伝わりやすかったです。
高岩:スムーズだったと思います。映画のタイトルを監督が出す前に僕が「ああ、アレでしょ」って先に言ったりして(笑)。
――コミカル色がある一方で、手枷をはめられ身動きできない九條が大勢のコマンド部隊を相手に立ち回らなければならない凄絶アクションもたっぷりありました。
高岩:冒頭で、仮面ライダーアクセル(仮面ライダードライブ)の木ノ本嶺浩くんがズタボロに痛めつけられているシーンを見て「おれ、あれと同じことやられるのか」と思ってゾッとしましたね。前作では半グレ連中と戦ったんだけど、今回はそれよりも人数が増えて、襲いかかるコマンド部隊から逃げ回ったり、立ち向かったり、相変わらずハードでした。
――全編を通じて、大変だったけれど上手くいったというアクションはありますか。
高岩:ううーん。
坂本:ぜんぶ、上手くいっていたと思いますよ!
高岩:いやあ、NGもけっこう出してましたからね。
坂本:それはエンドロールでの「NG集」に反映されていますから大丈夫! ああいうのもジャッキー映画への強いオマージュです(笑)。
高岩:アクションコーディネート・和田三四郎くんの出してくるアクションが、かなり複雑でしたから、段取りを覚えるのが大変だったかな。
坂本:料理じゃないですけど、まさに高岩アクションの「フルコース」が味わえる作品です(笑)。
高岩:自分がこれまでやったことのないアクションも経験しました。大変ではありましたが、楽しかったです。
――九條の元傭兵仲間で、現在はバー「アルジャーノン」を営んでいるチャーリィ(演:横山一敏)や銀星会のヤクザ(演:高木勝也)、そして女優として羽ばたきはじめている玲実といった前作のキャストが再登場を果たしているのも、続編ならではの醍醐味ですね。
坂本:「2」からご覧になる人でも楽しめるように作っていますが、前作を見てくれたら、さらに楽しめる要素です。銀星会、そしてキャッチャー中澤のアイドルオタクなんて、今後シリーズが作られてもレギュラーとして機能できるかなと思っています。
高岩:今回で、銀星会の方向性が変わってきて、どんどんコメディ寄りになってきましたね。勝也さんがまたいいキャラをしているし、おなじみの存在になってくれたらいいですよね。
――傭兵時代の回想シーンでは屈強なチャーリィさんが、どうしてオネエになったのか、その理由が明かされていないのがミステリアスです。
坂本:横山さんは活き活きと芝居をされていて、見ていて気持ちがよかったですね。
高岩:九條としては戦場を離れてもチャーリィとは一緒にいましたから、現在に至るまでのどこかでオネエになった瞬間を知っているはずなんです。でも、今はまだ明かされていないですよね。お店を始めた経緯も謎のままです。
――藤平司(回想)の今井靖彦さん、朱音の父親役・村岡弘之さん、俳優ヒロユキ役の永徳さんなど、JAEでスーツアクターを務められた経験のある役者さんが出演されているのも、特撮ヒーローファンには嬉しい部分です。
高岩:彼らが出演してくれて、僕も嬉しいです。同期とはマスク越しでしか一緒に仕事をしたことがありません。マスクをオフして、面と向かって芝居をするのは初めてです。
坂本:高岩さんと同期のアクション俳優の方々にも出てもらいたいという、自分の思いがありました。今回、オイシイ役割なのはヒロユキ役の永徳さんです。
高岩:二枚目俳優の役で、あれはよかったですね。衣装に特徴があって、わかる人にはわかるという。
坂本:ヒロユキの上着は、真田広之さんの主演映画『吼えろ鉄拳』で使われたコスチュームのイメージを狙っています。映画のタイトルは『吼えろ青春ハリケーン』。インタビューを受けている玲実が手にしている台本の表紙をよく見ればわかるようにしています。
高岩:そういった細かい仕掛けにも注意して、ご覧になってほしいですね。
坂本:今後は竹内康博さんや大林勝さんにも出ていただこうと画策しています。
高岩:どんな役で出てくるんだろう(笑)。ぜひ一緒にやりたいですね。
――最後に、お2人から『グッドモーニング、眠れる獅子2』の見どころをご紹介してください。
坂本:特撮ファン、アイドルファン、アクションムービーファン、すべての方たちが楽しめる内容になっていますので、気持ちを楽にして、ガードを下げて、楽しんでほしいです。
高岩:肩の凝る作品ではないので、安心して観ていただけます。アクションとコメディと、演者が随所に盛り込んでいるアドリブ芝居(笑)、そして劇中に隠された「特撮ネタ」を探し当ててくださるなど、いろいろな楽しみ方をしてくださると嬉しいです!
坂本:このまま「第3弾」もやりたいと思っていますので、みなさまの応援をどうぞよろしくお願いします!