“本能寺の変”にて、刀剣男士たちと織田信長や羽柴秀吉ら戦国武将が絡み合い、衝撃の結末を描き出し大ヒットを記録した前作『映画刀剣乱舞-継承-』(2019年)から4年――戦いの舞台を「現代」へと変え、スケールアップした『映画刀剣乱舞-黎明-』が、ついに完成し、3月31日に公開される。

主人公、三日月宗近役に鈴木拡樹。そして山姥切国広役・荒牧慶彦、へし切長谷部役・和田雅成、骨喰藤四郎役・定本楓馬らが前作より続投。舞台「刀剣乱舞」でも同役を演じている山姥切長義役・梅津瑞樹、堀川国広役・小西詠斗、一期一振役・本田礼生、小烏丸役・玉城裕規が参戦、さらに髭切役・佐藤たかみち、膝丸役・山本涼介ら新たなメンバーも顔をそろえた刀剣男士たち。現代での戦いを手助けする“仮の主”役を、秋田汐梨、柳美稀、飛永翼、堀内正美らが務め、中山咲月は酒吞童子という難役を見事に演じ切った。そして藤原道長に柄本明、源頼光に津田寛治、安倍晴明に竹財輝之助という、日本映画界を代表する実力派が脇を固める。

今回は、三日月宗近役の鈴木拡樹、山姥切長義役の梅津瑞樹にインタビュー。意外にも初共演だという2人に対して互いの印象や、作品についての感想、さらには「自分が刀剣男士を現代のどこかに連れて行くなら?」といった質問にも答えてもらった。

左から鈴木拡樹、梅津瑞樹 撮影:泉山美代子

左から鈴木拡樹、梅津瑞樹 撮影:泉山美代子

■実は…「影を感じていた」

――今回初共演というお二人は、意外とレアな組み合わせなのかなと思い、お話を聞いてみたいと思ったのですが、いかがでしょうか?

梅津:そうですよ!

鈴木:役同士で考えても、かなりレアな方だと思います。

梅津:僕は、鈴木拡樹さんの影を随所に感じたりは……。

鈴木:影を感じる!?

梅津:例えば拡樹さんが以前、別作品でやった役を僕がやるとか。

鈴木:なるほど!

梅津:そこからお会いできたことがうれしかったです。

鈴木:僕としても「ようやく作品で共演か」という気持ちはありました。

――改めて共演してみて、お互いの印象はいかがですか?

梅津:菩薩のような、仏のような方というお噂はかねがね伺っていて、その印象から大きく逸脱するようなことは全くなかったです。

鈴木:みんな、伝達ゲームのように(笑)

梅津:その上で、会話に面白をにじみこませる部分がある方だというのが、発見というか。そういうこともされるんだという驚きがありました。面白いことを言おうとしない人って、あんまりにじまないんですよ。

鈴木:(笑)

梅津:でも、くすっとくるような面白のスパイスが振りかかっている会話をしようとする方だなと思いました。

鈴木:普段あまり自分から話さない分、急にしゃべり出したと思ったら、ボケる予兆です。「あ、ここいけるんじゃないか」と思った瞬間に……。

梅津:温めているんですね(笑)

鈴木:僕は梅ちゃんが最初に出演された時の舞台を観に行っていました。撮影前に挨拶はすんでいましたし、今回の映画を撮った後でも、実はトーク番組でご一緒して、そこで大学で文学を専攻されていたことを知って「だからこんなに美しい言葉が出てくるんだ!」と驚きました。僕は、梅ちゃんから、改めて日本語の美しさを教わりました。

梅津:本当ですか!?

■身近なところに刀剣男士が現れる良さ

――梅津さんは『刀剣乱舞』のゲームもお好きということで、鈴木さんの演じる三日月宗近についてはどのようなすごさがあると思いますか?

鈴木:怖い質問だ(笑)

梅津:僕が語るのもおこがましいですが、ゲームの三日月宗近はこの間“極”の姿になっていて、鈴木さんの演じる三日月宗近にも、その強さの片鱗が見えるような気がします。先日は“大侵攻”のイベントがあって、そこでも三日月宗近がキーパーソンだったので、「もしかして何か知ってるの!? 全部話してくれよ!」と言いたくなるような怪しさ、妖艶さみたいなものを、鈴木さんにも感じるんです。

鈴木:僕は逆に、梅ちゃんが舞台『刀剣乱舞』で演じている姿を見て山姥切長義というキャラクターを知ったんです。そういう立ち位置でキャラクターと出会うのも、楽しいですよ。そこから改めてゲームでキャラクターをみて、「この部分がそっくりだよね」と見比べてみても楽しいですし。

――たしかに、鈴木さんと同じように今回の映画から『刀剣乱舞』の世界に入る方もいるかもしれないですね。今回は舞台が現代というところで、ファンは驚いたと思いますが、お二人はいかがでしたか?

鈴木:僕はもともと「現代を描けるチャンスがないかな」と思っていたところだったので、楽しみにしていました。タイミング的にも、いろいろな本丸でいろいろな歴史を見てもらえていたので、いよいよ我々の身近なところに刀剣男士が現れるという良さがある。今だからこそ、なのではないかと思いました。

梅津:僕らはとにかく「おもしろそう」だと楽しみでした。見知った渋谷だったり、東京の各所で歩いてる刀剣男士の姿を見ることは今までなかったので、やっぱり新鮮でした。ちゃんと現代を楽しんでいる三日月宗近がいたり。

鈴木:また、三日月がマイペースだからこそ、どの時代にいてもブレなくて、そのギャップが面白いですし、その割には対応力がすごくある人物なので、彼なりにちゃんと楽しんでいる。三日月宗近っぽいなあ」と思って、僕にとってはすごくキュンとするポイントでした。

梅津:うん、かわいいですよね。「それ、どうしてもなんだ」みたいな(笑)

鈴木:想像がつく(笑)

――今回は2012年に訪れましたが、もし2023年に刀剣男士が現れて、お二人が仮の主になるとしたらどこに連れて行きますか?

鈴木:どこかな? やっぱり似合わないところに連れて行くのがいいですよね。

梅津:僕はなんだろう? うーん、キャンプですね。長義はおそらく激務でしょうから、ちょっと落ち着いた時間を2人で過ごそうか、と。

鈴木:仮にキャンプに行くとなったら、めちゃめちゃ仕切りそうじゃない? 繊細そうだし。

梅津:仕切ってくれるなら、僕としては楽です。指示さえしてくれれば僕も動けますし。セッティングが終わったら、ちょっと火でもつつきながら、「どうなの? 最近」と話したりしたい。僕は1人でキャンプに行くことがあるので「来るなら来れば?」くらいの雰囲気で。

鈴木:今までなかった、現代に飛び込む今作だからこそ、こういう新しい展開が考えられていいですね。もしかしたら、このアイディアが元になって、たとえばYouTube配信で10分くらいの短編ができたりするかもしれない。

梅津:長義の!?

鈴木:あるよ!

梅津:シュールすぎる!(笑)

鈴木:見たいなあ(笑)

■鈴木拡樹
1985年6月4日生まれ、大阪府出身。2007年、テレビドラマ『風魔の小次郎』で俳優デビューし、2008年、『最遊記歌劇伝 -Go to the West-』で初主演を果たす。以来舞台『弱虫ペダル』(12~)シリーズ、舞台『刀剣乱舞』(16年~)シリーズなどで活躍し、2.5次元界を牽引。近年はミュージカル『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(21年)、「バクマン。」THE STAGE(21年)、舞台『アルキメデスの大戦』(22年)、『映画刀剣乱舞-継承-』(19年)、映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』(20年)などに出演する。現在、ミュージカル『SPY×FAMILY』(2023年3月~)に出演中。

■梅津瑞樹
1992年12月8日生まれ、千葉県出身。2015年より劇作家・鴻上尚史が主宰する「虚構の劇団」の団員として俳優活動を始める。2019年3月に舞台「刀剣乱舞」出演で話題を呼び、近年の主な出演作にミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計篇(21年)、テレビドラマ&舞台「あいつが上手で下手が僕で」シリーズ(21年〜)、東映ムビ×ステ『漆黒天 -始の語り-』(22年)、SOLO Performance ENGEKI「HAPPY WEDDING」(23年)など。舞台「ちょっと今から仕事やめてくる」(2023年4月22日 - 30日)上演を控える。