子どもたちの夢をはぐくみ、常に冒険心とチャレンジ精神を忘れないスーパー戦隊シリーズ。その最新作となる『王様戦隊キングオージャー』が大好評放送中である。本作のヒーローは、みなそれぞれが一国を治める「王様」。進化とサバイバルの象徴というべき「昆虫」をモチーフとした5人の王様が結集し、地底の奥底から地上を侵略せんとする地帝国バグナラクから人々を守って勇敢に戦うというのが、本作のストーリーだ。

  • 佳久創(かく・そう) 1990年生まれ、愛知県出身。大学時代はラグビー選手として活躍しセブンスの日本選抜メンバーに選出。その後、俳優の道に進み、TBS日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』(2019年/里村亮太役)、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年/武蔵坊弁慶役)などで注目される。『仮面ライダーゼロワン』第33話(2020年)ではヒューマギア・ラブチャン役でゲスト出演した。 撮影:大塚素久(SYASYA)

放送開始記念インタビュー、今回は農業の国トウフの「王殿様」を名乗るカグラギ・ディボウスキ/ハチオージャーを演じる佳久創が登場。絢爛豪華な出で立ちと、見上げるような巨体が印象的なカグラギは、にこやかな表情で相手に接しながら、内心では別なことを考えているといった、かなりの策士であるようだ。カグラギを演じる佳久創は、ラグビーで鍛えた強靭な肉体と、相手の心を貫きとおすかのような「眼力」が持ち味。「民のためなら手を汚す」というセリフのとおり、人々の平和を守るため、あえてダーティな戦略を取ることも辞さない信念の男、それがカグラギなのだという。幼いころからの憧れだった「ヒーロー」になることができた喜びをかみしめる佳久に、カグラギを魅力あふれるキャラクターに育てていきたいという意気込みや、本作の見どころを尋ねてみた。

――佳久さんが子どものころ、好きだったスーパー戦隊は何でしたか。

『五星戦隊ダイレンジャー』(1993年)が大好きで大好きで、ビデオソフトをヘビーローテーションで観ていたり、オーラチェンジャーの玩具で「気力転身!」なんて変身ごっこをして遊んでいた思い出が鮮烈です。今回、オーディションでカグラギ役が決まったと知らされたときは、あのころの記憶が甦ってきて、改めて感動しました。両親に報告したら「お前は昔から、ヒーローになりたいって言ってたからね」と言われ、そうか、俺は幼いころからの夢を叶えられたのか……としみじみ思いました。テレビ放送が日曜朝になってからも、『忍風戦隊ハリケンジャー』(2002年)や『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003年)くらいまではよく観ていて、内容も覚えています。大きくなってからだと、ストーリーの巧みさだったり、アクションの凄さだったり、幼い時期とは別な見方ができて、いっそう楽しめるようになりました。世代によって受け止め方が変わるというのは、ヒーロー作品の面白い部分だと思っています。

――カグラギのコスチュームは他の王様と違って「和」のテイストが備わり、とにかくゴージャスで派手な印象ですね。

最初は「黒ベースの衣装か、地味目だな」と思っていたら、すぐ「次はこれを羽織ってもらいます」と、この超派手なやつを手渡され、自分でも驚いています。両袖の裏表に、人間の感情のすべて「喜怒哀楽」があしらわれていて、すごいインパクトがありますね。これまでのスーパー戦隊は現代日本を舞台にした作品が多かったのですが、今回は完全にファンタジーの世界。それはこの衣装から見てもすぐにわかると思います。歌舞伎の隈取りをイメージしたアイメイクや、ボリューム感のある髷、そしてトウフ国住人の特徴である顔の4つの印など、すべてを身に着け、メイクをするとキャラクターがビシッと決まり、身が引き締まります。

――カグラギが「王鎧武装」したハチオージャーの姿をご覧になったときの思いを聞かせてください。

王鎧武装のシーンを映像で確認したとき、ああ、自分が本当に変身をしたんだな……と感慨深かったです。なんといっても、昔は姉や、双子の兄と一緒にヒーローごっこをしていて、変身のマネをしていたわけですから。大人になって、今度はリアルに変身が出来るというのは、尋常じゃない嬉しさがありました。ハチオージャーも黒のヒーローで、ものすごくカッコいいです。昔からヒーローのカラーとしては「緑」推しでしたけど、こうやってみると黒もいいなと思います(笑)。5人のヒーロー全員、顔や動きに個性があって、どれもカッコいいですね。