ピンク色の絨毯が敷き詰められたように見えるこの景色、実は道路でもなく、もちろん絨毯でもなく水路に桜の花びらが落ちて作られた花筏(はないかだ)です。爽やかな水色の空、深い緑色の山々、そしてピンキーな水路(さらに赤いアウターを着て見事な「空気椅子」を見せる男性)。いったいこの萌える空間はどこ?

哲学の道に現れた花筏。正しく桜の花道。

  • (Twitter Saho@廃墟と街並み@urbex_34 より引用)

そう、ここは京都市左京区にある哲学の道。この小路はもともと、1890年に琵琶湖疏水が完成した際に管理用道路として設置されたもので、京都大学の西田幾多郎ら哲学者たちが好んで散策したことから哲学の道と名づけられました。桜並木は近くに住む日本画家の橋本関雪らが1921年に京都市に300本の桜の苗木を寄贈したことに始まり、今では代替わりしたものの、こんな見事な花筏をつくるまでに育っています。

哲学の道の中ほど、法然院へ上がる道の角に小さな石碑があり、そこには『人は人 吾はわれ也 とにかくに 吾行く道を 吾は行くなり』という西田幾多郎が詠んだ歌が刻まれています。それにしても哲学者が思索しながら道を歩いていたら、思わず道を間違えてドボンと足を突っ込んでしまいそうな花筏ですよね。フォロワーからもこんな声が…

「桜の道 美しいです」「散って咲く」「すごーびっしり」「めっちゃピンクでかわいい」「わ~! ピンクの道がある~! ドボン」「その下を泳ぐ小魚達は、上を見て何を感じるのかしら」「私、多分筏に乗ろうとして溺れる」「ダイブしたくなるのは私だけでしょうか…」「空気椅子の御仁に目が行ってしまう」などなど。投稿者であるSaho さんにお話を伺いました。

■投稿者に聞く

……この写真を撮影した日時、シチュエーションなど教えてください。

去年の4月初旬に撮影しました。投稿はまた見たいという思いより行いました。

……なぜこの風景を撮影しようと考えましたか。

堰き止められた花弁が花筏と呼ばれる桜の絨毯を生み出します。その姿を写真に収めたいと思いました。

……改めて撮影して感じた哲学の道の魅力は?

約1.5kmの範囲に桜並木が植えられています。満開になるまでの姿も、散った後の花弁の姿も楽しめる観光地だと思います。

……気になるリプライなどはありましたでしょうか。

初めて投稿した際は花筏の写真を載せたつもりだったのですが、リプライで左手に写っている方の「空気椅子」が見事だと指摘されました。そのことを教えていただくまで、一切気にしていなかったので目から鱗が落ちました。

▼哲学の道に現れた花筏。正しく桜の花道。