JR西日本と宇治市は17日、奈良線六地蔵駅の改良工事が完了したことを受け、改良工事完成記念式典を駅前広場で開催した。式典の開始を前に、新駅舎と新ホームの報道公開も行われた。

  • JR奈良線六地蔵駅の新駅舎。これまでの駅舎から京都方へ移設された

JR奈良線の六地蔵駅は1992(平成4)年に開業。京都府宇治市の北部に位置し、駅の近くを山科川が流れる。開業時からすれ違い可能な島式ホームを有する1面2線の駅だが、単線だった区間に新駅を建設する際、分岐設備を整備するためのスペースが必要とされ、この影響でホームの大部分がカーブ状になった。車両・ホーム間に隙間が生じ、必ずしも安全性に優れた駅とは言い難い状態だった。

JR西日本は奈良線京都~城陽間の完全複線化に合わせ、2017年度に宇治市と協定を締結した上で、2020年3月から六地蔵駅の改良工事に着手。複線化によって分岐設備が不要となるため、ホームを京都方へ80m延伸することになった。残り45mは既存のホームを使用し、カーブの目立つ木津方80mは不使用に。ホームの大部分を直線状にすることで、安全性向上が期待される。同時に新駅舎の建設を進め、駅バリアフリー設備の充実も図った。

  • 新駅舎から京都市営地下鉄東西線の駅へ、屋根付きの通路で結ばれる

  • 新駅舎のコンコースに六地蔵尊をイメージした六角の吹抜けを設置

  • バリアフリートイレも設置された

新駅舎が京都方へ移設されることにより、同駅で接続している京都市営地下鉄東西線との乗換距離がこれまでの約100mから約20mに短縮される。新駅舎と地下鉄の駅を結ぶ通路に屋根を設置し、雨天時でも傘をさすことなく両駅間を移動できるようにした。

新駅舎の外観は、宇治市の新しい玄関口にふさわしく「ゲート」をイメージ。コンコース上部に、地名の由来になった六地蔵尊を想起させる六角の吹抜けを設けた。エレベーターとバリアフリートイレを新設するとともに、エスカレーターは上下完備に。新ホームは直線化され、幅員を約2m広げたことにより、既存のホームと比べて広々とした印象になった。

  • エスカレーターは上下完備に

  • エレベーターを新たに設置

  • 移設後の新ホームは直線状に

  • 既存のホームも一部使用するが、カーブの目立つ木津方80mは不使用となる

  • 221系の普通列車(京都行)が既存のホームに停車していた

  • 分岐設備のひとつである安全側線が残っていた。4月に撤去されるという

記念式典で登壇した宇治市長の松村淳子氏は、六地蔵駅を宇治市の「北の玄関口」と位置づけ、「駅前広場を活用したイベントなども企画したい」と述べた。JR西日本京滋支社長の財剛啓氏は、六地蔵駅改良工事に関して、「京都~城陽間の複線化により出来上がった」と紹介。京都~城陽間の完全複線化によるメリットとして、「ダイヤ通りに走れないときに複線化は効果を発揮します。複線化により片方ずつ列車が走れるので、安全にスムーズに列車のすれ違いができます」と説明した。

関係者による記念式典の後、一般利用者向けの内覧会も行われた。多くの人が来場し、新駅舎などを興味深く見学した様子だった。

  • 駅前広場で記念式典を開催。出席者によるテープカットなどが行われた

JR奈良線は3月18日のダイヤ改正で、京都~城陽間および山城多賀~玉水間の複線化に伴う平日朝通勤時間帯の列車増発、昼間時間帯に運転される「みやこ路快速」の時間短縮などを予定している。同じく3月18日から六地蔵駅の新駅舎・新ホームも使用開始となる。なお、六地蔵駅の新駅舎移転に伴う運賃改定は4月1日に実施するとのこと。