京都府とJR西日本、お茶の京都DMOは、車両の外装・内装を「お茶の京都」デザインで統一したラッピング列車を導入すると発表。関西本線に続いて奈良線でも「お茶の京都トレイン」が運行開始し、3月16日に出発式と内覧・試乗が行われた。

  • JR奈良線に導入された221系のラッピング列車「お茶の京都トレイン」

「お茶の京都トレイン」は、古くからお茶の文化が育まれてきた京都府南部の山城地域(宇治市、城陽市、木津川市など12市町村)において、「お茶の京都」の魅力が詰まった新たなデザインのラッピング列車として登場。2つの列車を導入するとしており、3月4日からキハ120形のラッピング列車が関西本線亀山~加茂間で運行されている。

奈良線に導入される「お茶の京都トレイン」は、6両編成の221系(NC604編成)を使用。外装は「お茶の京都」のコンセプトカラー「常盤緑」をベースに、茶畑・茶葉・茶道具など、お茶にまつわるモチーフでデザインした。お茶と同じく古くから親しまれてきた菱模様を車体に散りばめ、優美で格調高いラッピングデザインに。内装においても、一般座席のシートカバーをはじめ、中吊り・窓上・ドア横等も茶畑・茶葉・茶道具をモチーフとしたデザインを取り入れている。

出発式は宇治駅1・2番ホーム上で行われ、京都府知事の西脇隆俊氏、JR西日本京滋支社長の財剛啓氏、お茶の京都DMO(京都山城地域振興社)取締役社長の脇博一氏、宇治市長の松村淳子氏らが出席。地元園児たちも参加した。

  • 宇治駅1番ホームに「お茶の京都トレイン」が入線。地元園児たちが出迎えた

  • 出発式に京都府の西脇知事らが出席。テープカット・記念撮影の後、出席者らが「お茶の京都トレイン」に乗車

西脇知事は「お茶の京都トレイン」の内装について、「中吊りポスターは(山城地域の)12市町村のさまざまな風景を切り絵にし、お茶の粉で描いたかのようなデザインを施しています。窓上のポスターには、こぼれ話やお茶にまつわる豆知識などを掲載しました」と紹介。「コロナ禍の影響も落ち着いてきて、観光客も戻り始めています。『お茶の京都トレイン』を皮切りに、観光客を呼び込み、公共交通の需要喚起、利用の促進、京都エリア全体の魅力向上に努めていきたい」と挨拶した。

JR西日本京滋支社の財支社長は、ラッピング列車に関して京都府とお茶の京都DMOから提案があったと説明。「京都府の支援もいただき、奈良線の高速化・複線化の第2期事業が明後日(3月18日)に開業します。これを契機に、沿線の活性化とご利用増をめざしたいと考えていました。沿線の観光資源を列車でつなぎ、多くのお客様に訪れていただくという、我々の地域共生の取組みに合致するものであり、大変ありがたいご提案として、ご一緒させていただくことになりました」と述べた。

  • 「お茶の京都」の魅力を紹介すべく、車内も装飾された

  • 駅長による合図の後、「お茶の京都トレイン」が宇治駅を発車

  • 3月18日のダイヤ改正で複線化される区間を走る

  • 11時10分頃、京都駅に到着。「お茶の京都トレイン」は回送列車に

10時32分頃、奈良線の「お茶の京都トレイン」が1番ホームに入線。地元園児たちが手を振るなどして出迎えた。出席者によるテープカットと記念撮影が行われた後、西脇知事らは内覧・試乗のため、「お茶の京都トレイン」に乗車。10時49分頃、駅長の合図とともに宇治駅を発車した。「お茶の京都トレイン」は臨時列車として京都駅へ向かい、ダイヤ改正後に複線化される区間も走行。京都駅到着までの乗車時間は20分ほどだったが、「お茶の京都」エリアを楽しむためのしかけを取り入れた内装に、多くの人が興味を示した様子だった。

奈良線の「お茶の京都トレイン」(221系6両編成)は今後、3年程度の運行を予定している。なお、同列車の運行区間について、JR西日本京滋支社の財支社長によれば、「奈良線を中心に、おおさか東線・大和路線でも運行することになっています。広く皆様に観光の魅力をPRできるのではないかと考えています」とのことだった。

  • 奈良線を中心に運行される「お茶の京都トレイン」(221系6両編成)の外観・車内