「志向」と「指向」の意味の違いをご存知でしょうか。文脈に応じてどの漢字に当てはまるかを、無意識に考えている人が大多数なのではないでしょうか。
この記事では、「志向」と「指向」の意味の違いや、使い方を解説します。
「志向」と「指向」の意味と違い
ここでは、「志向」と「指向」の意味の違いを解説します。
「志向」の意味
「志向」の意味は、「意識や考え、気持ちがある方向や対象に向くこと」です。
物理的な方向や、行動を伴う必要はなく、心で何かの方向へ意識が向いているときに「志向」を用います。「志」とは「意識した心の動き」を意味するため、「心がある一定の方向に向かうさま」が「志向」です。
考えなく進んでいくのではなく、考えや気持ちがあって意識してそちらの方向へ心が向かうことを指します。
「指向」の意味
前述したように、「指向」の「指」は、手足の「ゆび」や「ゆびさす」動作を意味します。 従って「何かがある方向に向かう、何かをある方向に向ける」が「指向」です。 自分が向かうだけではなく、他人をそちらへ向かわせているときにも「指向」を使えます。 心が向いているだけでなく、物理的にある方向を示し、向かっている状態が「指向」です。
「嗜好」や「思考」との違いは?
「嗜好」とは、食や趣味の好みなどを表す際に使います。「嗜好品」とは、栄養の摂取を目的とせず、好きだから摂取する飲食物のことです。
また、「思考」とはその人の考え方や思っていることで、ただ単に思いつくことと違い、順序だてて道筋を立て考えることです。
「志向」と「指向」の使い方と例文
ここでは、「志向」と「指向」の使い方を例文で解説します。
「志向」を使った例文
ある一定の意識や心をなにかに向けた状態が「志向」です。 使い方を知るために、いくつか例文を紹介します。
- 彼女は健康志向のため、食事にも細心の注意を払っている
- 彼は上昇志向が強く、どのような仕事にも一生懸命取り組んでいる
- アウトドア志向の彼に感化されて、山登りを始めた
「指向」を使った例文
「指向」はただ単にそちらを向いている意味があるため、物理的な物へ使うこともあります。いくつか例文を紹介します。
- 指向性スピーカーとマイクを買った
- 応援部隊を戦地へ指向させた
- コンパスの針はピッタリと北を指向する
「志向」と「指向」の類義語
ここでは「志向」と「指向」の類語を紹介します。
「志向」の類義語
あることをしようと思い定めたり、心に目標を定めたり、そこに向かって進もうとする「志す」や「目指す」などが、「志向」の類義語として挙げられます。
「指向」の類義語
ある方向へ正面になるように顔や身体を向けることや、ある方向へ向かって動くことを意味する「向かう」や、「相手に向ける」を意味する「宛てる」が、「指向」の類義語として挙げられます。
「志向」と「指向」の意味の違いを理解して正しく使おう
「志向」と「指向」では、心から何かの方へ向かわせているか、ただ単に物理的に向かわせているかという差があります。
使い方や例文、類義語も覚えて、違いを理解しましょう。