リクルートが運営するニュースサイト「SUUMOジャーナル(スーモジャーナル)」は、JR山手線30駅それぞれの中古マンションの価格相場を発表した。

都心の主要エリアを囲むように線路が続き、東京駅や新宿駅をはじめ東京を代表する駅がずらりと並び、都心から各方面へと向かう路線に接続するターミナル駅も多く、便利さはピカイチのJR山手線。

今回は利便性が高い分、沿線の物件価格が高いことでも有名な山手線の物件価格相場はいくらぐらいなのか、専有面積20平米以上〜50平米未満の「シングル向け」と、専有面積50平米以上〜80平米未満の「カップル・ファミリー向け」について、価格相場が安い駅ランキングを紹介している。

調査対象駅は、SUUMOに掲載されているJR山手線沿線の駅(掲載物件が11件以上ある駅に限る)。調査対象物件は駅徒歩15分圏内、物件価格相場3億円以下、築年数35年未満、敷地権利は所有権のみ。

データ抽出期間は2022/1〜2022/12。物件相場の算出方法は、期間内にSUUMOに掲載された中古マンション価格から中央値を算出。

  • 写真はイメージ(PIXTA)

「シングル向け」中古マンション(専有面積20平米以上〜50平米未満)の価格相場が最も安かったのは、北区に位置する田端駅。最も安いとはいえ価格相場は3,095万円であり、JR山手線沿線の物件価格の高さがうかがい知れる。「カップル・ファミリー向け」(専有面積50平米以上〜80平米未満)の価格相場は5,780万円で、2位にランクインした。

  • JR山手線内でもリーズナブルに住みたいなら「北側半分に」に注目! ※有楽町(千代田区)は調査対象物件数が11件以下のためランク外

田端駅の北口は線路を覆うように橋上駅舎が建ち、駅ビルを併設。3フロアにわたりスーパーやドラッグストア、飲食店などが並んでいる。

この田端駅は武蔵野台地の東端部に位置し、起伏にとんだ台地と平坦な低地で構成された高低差のある街並みが特徴。北口とは一転して小ぢんまりとした無人駅舎がある南口も、出てすぐに階段道路があるような造りとなっている。

台地のふちに沿って続く線路の東側、西側共に繁華街といった印象ではなく、静かな住宅地が広がります。スーパーなどの買い物環境が整っているのは、線路の東側の様子。しかし駅北東部はJRの車両基地があり、山手線と少し間を開けて東北本線の線路も通っているため、線路東側の住宅街は駅から少々離れたエリアが中心となっている。

価格相場が4,095万円で10位にランクインした、港区の高輪ゲートウェイ駅は注目の駅だ。立地としてはJR中央線よりも南側、JR山手線の南側半分にある。JR山手線では最も新しく、開業は2020年。有名建築家・隈研吾氏が設計を手がけた駅舎や、駅構内の無人AI決済店舗「TOUCH TO GO」などで話題を集めたこの駅は、周辺エリアで行われている再開発事業の一環として誕生した。

同事業の第Ⅰ期として「高輪ゲートウェイシティ」の街づくりが進められており、駅と3棟の複合棟、文化創造棟と住宅棟を建築中。2024年度末には2棟の複合棟の開業と、高輪ゲートウェイ駅の全面開業が予定されている。

そんな再開発の過程にある高輪ゲートウェイ駅の東側は臨海部の埋め立て地で、その先は東京湾。駅西側には赤穂義士のお墓がある泉岳寺の敷地と再開発エリアが大きな面積を占め、駅周辺で今現在、住宅地となっているスペースは意外と大きくはない。

加えて50平米未満の中古マンションはあまり市場に出ていない様子。シングル向け物件数が限られるなか算出された価格相場(中央値)なので、今回は「カップル・ファミリー向け」の価格相場(9,580万円)と比較して割安な結果が出たが、揺れ幅が大きい面はあるかもしれない。

また、街の再開発が進むと中古物件相場の底上げも考えられるので、よい物件を見つけたら今のうちに押さえておくのが吉かもしれない。

ランキングを見ていくと上位、つまり価格相場が安い駅は環状に走るJR山手線の北側半分に集中していることがわかった。JR山手線を時計に見立てると、3時の位置に秋葉原駅、9時の位置に新宿駅があり、両駅を結んでJR中央線が走っている。JR山手線内でもリーズナブルに住める街を探すなら、JR中央線で南北に分かれる円(JR山手線)の北側半分に注目するといいかもしれない。

  • 1位は「西日暮里駅」、ランキング上位に台東区の駅が多くランクイン ※東京(千代田区)、有楽町(千代田区)は調査対象物件数が11件以下のためランク外

「カップル・ファミリー向け」の1位はシングル向け1位の田端駅から1駅目、荒川区にある西日暮里駅で価格相場は5,680万円。「シングル向け」では3位で価格相場は3,580万円だった。

JR京浜東北線も停車するほか、東京メトロ千代田線が通っているため赤坂駅や表参道駅にもアクセスしやすい。JRの駅舎から少し離れた場所には、東京23区北東部へ延びる日暮里・舎人ライナーの駅もある。

駅東側は狭い路地に面してさまざまな飲食店が立ち並び、その先が住宅街。駅の西側には日暮里・谷中の総鎮守「諏方神社」が鎮座し、例年8月の大祭には多数の露店が並んで大いににぎわう。

この諏方神社の横を通って7〜8分も歩くと、隣駅の日暮里駅にたどり着く。西日暮里駅〜日暮里駅間は山手線内では最短距離、500mほどしか離れていない。

そんな立地関係もあってか日暮里駅の価格相場は西日暮里駅と大きくは違わず、「シングル向け」は3,665万円、「カップル・ファミリー向け」は5,990万円で共に4位にランクインしている。

さて、西日暮里駅を出て諏訪神社諏方神社を通り過ぎ交差点を左折すると日暮里駅へ、右折すると谷中銀座商店街にたどり着く。ここは約170mの間に60店舗ほどがひしめき、日々の買い物はもちろん食べ歩きにも人気の商店街。日暮里駅からも西日暮里駅からも訪れやすいので、このエリアに住んだらぜひ愛用してみてはいかがだろうか。

  • イラスト:SUUMOジャーナル編集部

JR山手線が都内の主要エリアを結んで走っていることは確かなのだが、北側半分に価格相場がリーズナブルな駅が集中するなど、路線を1周する間に通る街の特徴は多彩だ。

時計で言うと6時あたりに位置する、新幹線の停車駅でもある品川駅を出て外回り(時計回り)に進んでいくと、まずは近年の再開発でビジネス街としても大きく発展した大崎駅が、そして、繁華街と住宅地が共存する五反田駅、閑静な住宅街が広がる目黒駅、恵比寿駅を過ぎると「100年に一度」といわれる大規模再開発が進む渋谷駅へと至る。

若者にも人気の街、原宿駅や代々木駅の先には、世界屈指のターミナル駅・新宿駅。商業施設が林立する中を北上すると、韓流カルチャーで賑わう新大久保駅に着き、その先は大学など学校も多い高田馬場駅、目白駅へと続く。そして渋谷と新宿に並ぶ繁華街と言われる池袋駅を過ぎると、大塚駅、巣鴨駅、駒込駅と住宅街の様相が色濃くなっていく。

田端駅まで来ると時計で言う12時の位置に。ここからは環状線の東側半分に入り、ランキング上位の西日暮里駅〜鶯谷駅へと南下していく。

そして新幹線駅でもある上野駅、問屋街が広がる御徒町、サブカルと電化製品の街として外国人にも知られた秋葉原駅あたりは、どこか下町らしさも残る街並み。その先の神田駅〜東京駅〜有楽町駅〜新橋駅は東京都心の中でも中心部、ビジネス街と官公庁街が整然と続く。

さらに南下すると東京湾岸の臨海エリアへ。羽田空港とモノレールで結ばれた浜松町駅は、海外から東京を訪れる際の玄関口の機能をもつ街になるべく大規模再開発が進められている。そしてビジネス街と学生街を抱える田町駅を過ぎると、JR山手線最新の駅・高輪ゲートウェイ駅に到着。さらに隣駅の品川駅に行けば、これで1周約1時間だ。

車窓を流れる街並みは特徴さまざまで、若者やビジネスマンなど乗り降りする人のタイプも駅により違う様子。沿線には高台も低地もあって勾配が感じられるなど、変化に富んだプチ電車旅が楽しめる。山手線沿線に住みたいと考えているなら、まずはぐるりと1周して街の変化を肌で実感するのもおすすめだ。

※駅名および沿線名は、SUUMO物件検索サイトで使用する名称を記載している