俳優の武田真治がこのほど、東海テレビ・フジテレビ系土ドラ『自由な女神 ―バックステージ・イン・ニューヨーク―』(毎週土曜23:40〜、全4回を予定)の取材に応じ、自身が演じる伝説のドラァグクイーン・ク―ルミントを演じる上で大切にしたことや、同作の見どころについて語った。
「comipo」、「DLsite comipo」、「めちゃコミック」、「コミックシーモア」、「ピッコマ」などで配信中の『バックステージ・イン・ニューヨーク』(オーツカヒロキ/forcs刊)を、ニューヨークから東京に舞台を移しドラマ化する同作。地味な田舎女子のヒロイン・サチ(井桁弘恵)が、伝説のドラァグクイーン・ク―ルミントと出会い、東京でファッションデザイナーを目指す上京物語だ。
クールミントを演じる上で、外見的な役作りとしてはジョギングをして身体を絞ったという武田。さらに内面的な役づくりでは「決して上から目線にならないように。(主人公たちと)同じように苦しんだ経験を持つ者として、勢いはあってもそこに優しさみたいなものが込められたらと思いながら、演じていました」と話した。
また、クールミントというキャラクターを「人の弱い部分に寄り添う、現代のロックスター」だと表現する武田。「こんなにカッコいい役を演じさせていただいて、ありがたい限りだなと。素晴らしい経験になりました」と感慨深げに語る。
武田が考える“ロックスター”とは。そう聞くと、「今回僕が言う“ロックスター”というのは、自分の主張を一方的にカッコよく自分のスタイルで言う、という意味ではなく……」と前置きしながら、「僕が2000年頃に一緒に時間を過ごさせていただいた伝説のロックスター・忌野清志郎さん。僕が体調を崩し、心が折れてしまった時に出会った、不思議な大人で、ちょっとしたことでつまずいてしまっただけなのに、夢を諦めてしまった僕をまたステージに連れ出してくれた方です。今でも恩を感じています。(ドラマ)制作陣には今日この時まで一度も言ったことがなかったのですが、今この質問を頂いたので正直に言うと、清志郎さんを思い、(ク―ルミントを)演じた部分がすごくあります」と告白。
そして「(自分は)清志郎さんに恩返しできなかったので。自分が清志郎さんにしていただいたことを、この役を通じて、若い人たちにできたらなという思いで演じさせていただきました」と、クールミントという役柄に乗せた思いを明かした。
同作は、クールミントが放つ金言も見どころ。第1話では、「『なりたい自分』が見つからないなら『なりたくない自分』から逃げ続けなさい、なりたくない自分に捕まらないように全力で走るの、闇雲に走って、汗だくで逃げて、そうしたらいつの間にかなりたかった自分になってる」というメッセージが発せられる。
このセリフについて、武田は「僕自身も、自分が生まれ育った街であの時代には、なりたい自分にはなれないかもしれないと思ったんです。でも、なりたい自分にどうしたらなれるのか分からないまま、ただなりたくない自分から逃げてみようと思って、闇雲に東京に出てきた部分があるので、本当に自分の人生に起こったことのように、クールミントさんのセリフ全てを言わせていただきました」と力を込めた。
高校在学時に「第2回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞し、北海道から上京した武田。「僕が上京したのは90年だったのですが、80年代後半から90年代初頭はバブル全盛期。テレビで観る東京は本当にキラキラとしていて、まぶしくて、ニューヨークやロサンゼルスといった海外よりも憧れの街で、自分にとっては遠い存在でしたね」と当時を振り返りつつ、「実際に東京に来てみて、サチがクールミントさんに出会ったように、僕もいろんな人たちに出会うことができました。もしかしたら、今回このような素敵な役を演じさせていただく機会に恵まれたのも、そういった喧騒のなかで、いろんな人に支えらながら生き抜いてきた自分だったからなのかなと思い、あの時代に東京に降り立つことができて、本当に良かったなと改めて思います」としみじみと語った。
また、「上京して、割と早くに芸能界でチヤホヤされたので、『もっとみんな東京に出てきたらいいのに』『東京チョロい』といった風に思ってしまっていた部分があったかもしれません。でも結局は自分を見失ってしまう時期があり、自分が芸事を志して東京に出てきたことを後悔したこともありました」と回顧。しかし、「それも含めて、人間として成長させてくれたのは東京という街で、今この自分の状況を、役としてではなく、自分のメッセージとして、心を込めて演じさせていただきました」と述べた。
主人公・サチを演じる井桁については、「まず本当に思うのは、この方は国民的に愛される女優さんになるんだろうなというオーラを感じましたね」と称賛。「現場を明るく保ってくれましたし、いろんなシーンに前向きにチャレンジされていましたし、ご覧になる方は、サチというキャラクターにも、サチを演じる井桁さんにも惹かれる気持ちは止められないだろうなと思います」と太鼓判を押しつつ、「基本的にはスニーカーを履いて、ゆるいトレーナーを着ていて、“オタク少女”っぽく描かれている部分が多いのですが、時々ハッとするような衣装を着るようなシーンもあって。(その時の井桁さんは)まあ見事ですよ」と予告した。
そして最後に、視聴者へのメッセージとして「3月に始まる4話だけのドラマはとても珍しいと思うのですが、この春に上京しようか迷っている方、まだ間に合います! この作品を観て、人生一度くらいの大冒険をしてみてもいいのではって思いたい、あなたの背中を押す作品になると思います。個人的には、『めちゃモテ』という番組が放送されていた枠に、30年ほどぶりに大人になって帰って参りました。ぜひ観ていただければ嬉しいです。よろしくお願いします!」とアピールした。