• 墨汁の落とし方

    墨汁の落とし方を解説します

「子どもが習字の授業で服に墨汁をつけてしまった」「習い事の書道で墨汁が服にはねてしまった」というアクシデントは、多くの方が経験しているのではないでしょうか。

本記事では、家にあるアイテムで服についた墨汁を落とす方法をご紹介します。クリーニングに出す前に、一度試してみてくださいね。

墨汁がなかなか落ちない理由

  • 墨汁の落とし方

    墨汁が落としづらいのは成分が原因です

墨汁が衣類につくと落ちにくいのは、墨汁の成分が関係しています。現在、一般的に販売されている簡易的な墨汁の成分は、カーボンブラックという炭素粒子と合成樹脂を水と混ぜたものです。

カーボンブラックは、ガスや油を不完全燃焼させて作る煤状の化学品で、非常に細かな粒子です。そのため、カーボンブラックが衣類に付着すると、衣類の繊維の奥まで入り込んでしまいます。合成樹脂は、乾燥しているカーボンブラックと半紙をくっつける糊のような役割を果たします。この合成樹脂が、衣類に対しても同じ現象を引き起こします。

このように、墨汁が服につくと、カーボンブラックが繊維の奥まで入り込み、そのカーボンブラックを合成樹脂が糊のようにくっつけてしまうというのが、なかなか落ちない原因です。

加えて、墨汁は不溶性。水にも油にも溶けないので、普通に洗濯をしても落ちないのです。

そして、衣類についた墨汁は、時間が経つにつれて染み込んで落ちにくくなるので、なるべく早く落とす必要があります。

墨汁の落とし方

  • 墨汁の落とし方

    墨汁を落とす方法を紹介します

墨汁が衣類についてしまったら、早めに対処することできれいに落ちる可能性があります。ここでは、衣類に墨汁がついてすぐ、まだ墨汁が乾き切っていない状態での効果的な落とし方をご紹介します。

1. ご飯粒+洗剤

  • 墨汁の落とし方

    ご飯粒と洗濯用石鹸で落としてみましょう

【準備するもの】

  • 炊いた状態の米粒適量
  • 洗濯用液体洗剤
  • 洗濯用粉末洗剤(あれば)
  • スプーン

【方法】

1. ご飯粒と液体洗剤を2:1の割合であわせて、よく混ぜてペースト状にします

2. 粉末洗剤がある場合は、1を少し混ぜた後に加え、まとまるように混ぜます

3. ご飯粒を服の墨汁で汚れた箇所に置きます(墨汁が乾燥し始めている場合は湿らせます)

4. ヘラやスプーンでご飯粒を汚れた箇所に擦り付けます

5. ご飯粒が黒くならなくなるまで3~4を繰り返します

6. 通常の洗濯をします

2. マジックリン+固形石けん

  • 墨汁の落とし方

    マジックリンも効果を期待できます

【準備するもの】

  • マジックリン
  • 固形石けん
  • (歯ブラシ)

【方法】

1. マジックリンと水を1:1の割合で混ぜます

2. 1を衣類に浸し、固形石けんをつけ、揉み洗いをします

3. 固形石けんがない場合は、歯ブラシで擦りましょう

4. 汚れが落ちるまで繰り返します

※マジックリンは原液だと衣類を痛める恐れがあるので、必ず薄めて使ってください。
※肌が弱い方はゴム手袋を着用してください。

3. 固形石けん

  • 墨汁の落とし方

    固形石けんで墨汁を落としてみましょう

【準備するもの】

  • 固形石けん

【方法】

1. 墨汁がついた部分が乾きかけている場合は、水で湿らします

2. 固形石けんを直接塗り混み、擦り洗いを繰り返します

4. 歯磨き粉+歯ブラシ

  • 墨汁の落とし方

    歯磨き粉も活躍します

【準備するもの】

  • 歯磨き粉
  • 歯ブラシ

【方法】

1. 墨汁で汚れた箇所を軽く濡らします

2. 歯ブラシに歯磨き粉をつけ、汚れた部分を擦ります

5. 酸素系漂白剤

  • 墨汁の落とし方

    酸素系漂白剤は効果が高いです

【準備するもの】

  • 酸素系漂白剤(例:オキシクリーン)
  • バケツまたは洗面器

【方法】

1. バケツに40~60度のお湯に適量の酸素系漂白剤を入れて溶かします(分量は説明書を参考にしましょう)

2. 墨汁がついた箇所をバケツに浸し、2~3時間浸けておきます

3. しっかりと洗い流し、手洗いします

※ゴム手袋を着用してください。

墨汁を使う前にやっておきたいこと

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    墨汁の汚れを未然に防ぐ方法も試してみましょう

衣類についた墨汁を落とす方法をお伝えしましたが、簡単に落ちるわけではありません。どの方法でも、衣類の素材や放置した時間によっては跡が残ります。

そこで、墨汁の汚れ被害を抑えるためにできる予防法をお伝えします。

1. 洗濯で落とせる墨汁を使用する

「洗濯で落ちる墨液」という、衣類についてしまうことを想定して作られた墨汁がさまざまなメーカーから販売されています。これなら、万が一衣類についてしまっても洗濯である程度落ちるので安心して使えます。

洗濯で落ちる特殊な仕様で、書道のコンクールや大会に出す作品への使用は禁止されている場合があるので気をつけましょう。練習用におすすめです。

2. 汚れてもいい服・黒い服を着る

汚れることを想定し、書道がある日は汚れてもいい服か、墨汁がついても目立たない黒い服を着るようにしましょう。黒い服であれば、多少洗い残しがあっても目立ちません。

しかし、漂白効果のあるアイテムで落とそうとすると、衣類の色まで脱色する可能性があるので気をつけましょう。

3. 服の素材は綿よりポリエステルを選ぶ

墨汁は、綿素材の服よりポリエステルの方が落ちやすい傾向があります。これは、ポリエステルの方が吸水性が低く、汚れが繊維の中まで入り込まないからです。書道をする日は、ポリエステルの素材を選びましょう。

汚れがひどい場合や衣類を傷つけたくない場合はクリーニングも

  • 墨汁の落とし方

    最終手段はクリーニングがおすすめです

墨汁のついた衣類を自力で綺麗な状態に戻すには、時間も労力もかかります。もしも、汚れの範囲が広かったり、衣類を傷つけたくなかったりする場合は、クリーニングに出してプロに任せるのもいい方法です。時間が経つにつれて落としにくくなるので、早めに持っていくようにしましょう。

墨汁の落とし方を覚えて安心して書道を楽しもう

墨汁が服についたときは、時間をおかず早めに洗うのがポイントです。今回紹介した方法を参考に、墨汁が乾く前に洗うようにしましょう。