スポーツ・ノンフィクション作家の中島大輔氏が17日、『山本由伸 常識を変える投球術』(新潮新書 858円)を上梓した。
オリックス・バファローズの“絶対的エース”、山本由伸。実はあらゆる面で「規格外」と言える投手で、 現在の主流の投げ方は、肘をたたんでテイクバックを小さくするもの(ダルビッシュ有が典型例)だが、山本は肘をほとんど曲げない。これは時に「アーム式」などと呼ばれて、従来の常識ではあまり評価されない投げ方だ。
また、大流行の筋トレも行っていない。やり投げやブリッジを取り入れた独特のトレーニングを地道に続け、特定の部位ではなくトータルとしての身体を鍛錬することを意識しており、肘には過剰な負担をかけない。筋トレはせずとも筋量は増大しており、肉体のバージョンアップも続いている。
そもそも、山本は身長178センチ、体重80キロと、平均でも身長が180センチを超えているプロ野球選手としては小柄な部類。それでも圧倒的な成績をあげ続けているのは、この独特のトレーニングと、それを自ら選んだ彼の思考法に理由がある。
「世界最高の投手」を目指す山本は、何を考え、何に取り組んでいくのか。野球に精通したライターが、山本本人や、プロ選手としての彼を支える周囲の人たちに何度も話を聞き、まとめたのが同書である。
■中島大輔氏コメント
取材の最後、山本投手が「この本書くの、難しいっすね」と笑っていた姿が印象的でした。なぜ彼は高卒6年で「日本のエース」になれたのか。ベールに包まれている部分も多い、独特な取り組みや考え方に迫りました。