「身につまされる」とは、不幸な事件や事故を見聞きしたときなどに使う言葉です。普段使う機会が少ないため、なんとなく聞いたことはあっても使い方がわからないという人も多いのではないでしょうか。

本記事では、「身につまされる」の意味や使い方を解説します。また、類語や英語表現についても紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

「身につまされる」の意味とは

  • 「身につまされる」の意味とは

    「身につまされる」の意味を正しく理解しましょう

「身につまされる」とは、「他人の不幸などを、自分の境遇や経験と重ねて切実に感じられる」という意味です。

「つまされる」だけでも、「強く心を動かされる」「自分に引き比べて気の毒に思う」といった意味があります。

「身につまされる」の使い方と例文

  • 「「身につまされる」の使い方と例文

    「身につまされる」の正しい使い方を覚えましょう

「身につまされる」は、ビジネスや日常会話、メディアなどさまざまな場面で用いられる言葉ですが、使い方がよくわからないという人も多いかもしれません。

ここからは、「身につまされる」の正しい使い方や例文、誤用されやすい「つままれる」との違いについて解説します。

他人の不幸や失敗に共感するときに使う

ビジネスシーンでは、他社の不祥事や経営不振など自社でも起こりうる不幸なニュースを聞いたときや、後輩のミスなど自分自身にも起こりうるような他人の失敗を知ったときに使います。

また、大きな議論を呼んでいるニュースについて話す際にもよく使われる言葉です。

日常会話では、不幸な出来事や失敗によって辛い状況にいることを聞いたときなどに、同情や共感を言い表す言葉として使います。

「身につままれる」との誤用に注意

「身につまされる」は、よく「身につままれる」と表現されることがありますが、これは間違いです。「つまされる」と「つままれる」は似ているので誤用しがちですが、意味が全く異なります。

「つまされる」は前述の通り、「強く心を動かされる」や「自分に引き比べて気の毒に思う」という意味です。一方、「つままれる」は「狐につままれる」というように、「化かす」や「だます」という意味になります。

わずか1文字違うだけで全く意味が変わってくるので、誤用に注意しましょう。

「身につまされる」の例文

意味や使い方がわかっても、実際にどのような場面で用いればいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか?

ここからは、「身につまされる」を使った例文を紹介していきます。下記の例文を参考に、会話や文章に取り入れてみてください。

・Aさんが母親の介護で休職すると聞き、高齢の親がいる私にとって身につまされる思いでした。

・B社は資金不足に苦しんでいるが、同業の我が社としても身につまされる話だ。

・遺族の話には身につまされる部分が多くあり、涙が溢れ出てしまった。

・事件の詳細を聞いて、身につまされるものがあった。

・第三者の私が聞いても身につまされるお話でした。

・今回の事故には、身につまされる人も多かったのではないだろうか。

「身につまされる」の類語・言い換え表現

  • 「身につまされる」の類語・言い換え表現

    「身につまされる」の類語や言い換え表現も覚えてみましょう

ここからは、「身につまされる」の類語や言い換え表現を紹介します。類語や言い換え表現を覚えておけば語彙力アップに役立つので、あわせて確認しておきましょう。

ほだされる

「ほだされる」は、「情に引かれて、心や行動の自由が縛られる」という意味です。「身につまされる」と違い、主に近しい関係に対して使われる傾向にあります。ひらがなで書かれるのが一般的ですが、漢字で書くと「絆される」となります。

【例文】

必死な説得にほだされて10万円を貸したが、一向に返してもらえない。

彼の話にほだされて、商品を買うことにしました。

見るに忍びない

「見るに忍びない」は、あまりにもひどい状況であったり、気の毒だったりして見ているのが辛いという意味です。

「忍びない」は、「耐えられない」「我慢できない」などを表す言葉で、「見るに」と組み合わせることで、「見ているのが耐えられない」という意味になります。

【例文】

Aさんが落ち込んでいる様子は、見るに忍びないですね。

子供たちが空腹に耐えているのは見るに忍びない。

関連記事: 「忍びない」の意味とは? 「申し訳ない」との違いや類語、使い方も解説

愛おしむ

深い愛情をもって大切に扱うことを意味する「愛おしむ」。子どもやペットをかわいがるというニュアンスで使う人が多いですが、実は「愛おしむ」には「かわいそうに思う」「気の毒に思う」という意味もあります。

ただし、前者の意味で使われることの方が多く、後者の意味では伝わらない可能性もあるので、使う場合は注意しましょう。

【例文】

残された子を愛おしむ。

事故の犠牲者を愛おしむ。

慮る

慮る(おもんぱかる)には、「周囲の状況などをよく考慮する」「思い巡らす」という意味があります。

【例文】

彼女の気持ちを慮って休暇を取るように勧めた。

遺族の気持ちを慮る言葉を涙ながらに語った。

関連記事: 「慮る」の読み方・意味とは? 使い方・例文も紹介

気の毒

「気の毒」は、 「他人の不幸や苦痛に同情し心を痛めること」を意味します。「身につまされる」はあまり日常会話では使われないため、相手に気持ちをわかりやすく伝えたい場合は「気の毒」を使うといいでしょう。

【例文】

病気だったと聞いて、お気の毒に思います。

事故に遭われたとは気の毒です。

「身につまされる」の英語表現

  •  「身につまされる」の英語表現

    英語ではどのように表現するのでしょうか

ビジネスなどで英語を使う人は、英語表現も覚えておくと役立ちます。「身につまされる」を英語で表現する場合は、「feel sympathy for」などを使うといいでしょう。

feel sympathy for

「feel sympathy for」には、「同情する、共感する」という意味があります。

あわれみや同情を意味する名詞「sympathy」に「feel」と「for」をつけることで、「身につまされる」と同じような意味合いで使うことが可能です。

【例文】

I feel sympathy for her failure.

私は彼女の失敗に同情する。

I feel sympathy for victim of crime.

犯罪の被害者に同情する。

「身につまされる」の意味を理解して正しく使おう

  • 「身につまされる」の意味を理解して正しく使おう

    誤用には注意しましょう

「身につまされる」は、悲しい事件や辛い境遇などを見聞きし、深く同情したときなどに使う言葉です。ビジネスや日常生活など、さまざまな場面で使われます。

「身につままれる」と1文字違いですが、意味は全く異なるので誤用に注意してください。

今回紹介した例文などを参考に、正しい使い方を覚えてみましょう。また、類語・言い換え表現も覚えると語彙力がアップするので、ぜひこちらも参考にしてみてはいかがでしょうか。