JR西日本は12日、大阪駅(うめきたエリア)開業に伴う線路切換工事の様子を報道関係者らに公開した。工事は2月11日深夜から2月13日の明け方まで、約30時間にわたって実施されている。

  • 西九条方の地下入口付近の様子。上に見える橋梁はJR神戸線(東海道本線)

大阪駅(うめきたエリア)は東海道支線(梅田貨物線)に開業する新駅で、開業日は3月18日の予定。特急「はるか」「くろしお」が停車するほか、現在は新大阪駅発着で運転されるおおさか東線も大阪駅(うめきたエリア)へ乗り入れる。

同駅の開業にともない、うめきた地区を走る東海道支線(梅田貨物線)2.4kmを大阪駅寄りに移設した上で地下化する。線路切換工事に合わせ、大阪駅近くにあった西梅田一番踏切を廃止する。

線路切換工事は2月11日23時頃から始まり、2月13日5時頃まで行われる予定で、のべ約1,500人が工事に従事する。2月11日の終電をもって東海道支線(梅田貨物線)地上区間の営業が終了。2月12日は同区間を終日運休とし、特急「はるか」は全面運休、「くろしお」は天王寺駅で折返し運転となった。2月13日の初電から、特急「はるか」「くろしお」ともに新線を走ることになる。

  • 大阪駅(うめきたエリア)方の様子

大阪環状線の福島駅近くにある東海道支線(梅田貨物線)浄正橋踏切も工事対象となり、約30時間にわたって踏切通行止めとなった。

2月12日の報道公開は、西九条方にある新線の地下入口付近の見学から始まった。西九条方は従来通り単線となり、真新しい線路が敷かれていた。今回の地下化・移設工事では、周辺の作業スペースが少ないため、仮線の下に新線を設置する工法を採用。2月11日まで仮線を支えた「仮線用工事桁」をクレーンで撤去する様子が見られた。

  • 仮線を支えた「仮線用工事桁」を撤去する

  • JR神戸線と大阪環状線に挟まれたエリアで線路切換工事が進められる

  • 撤去された「仮線用工事桁」が見られた

仮線の下に新線を設置する工法は、JR西日本において大変珍しいという。関東では2013(平成25)年3月に完成した東急東横線渋谷~代官山間の地下化工事が例に挙げられる。

続いてJR西日本の建物屋上から浄正橋踏切付近の工事を見学した。浄正橋踏切付近の区間は、地下線への乗入れにともない高さを最大約70cm低くする。作業は踏切を一旦撤去した上で行われ、工事終了後に踏切を再設置するという珍しい作業だった。ちなみに、浄正橋踏切のある なにわ筋の地下において、2031年春に「なにわ筋線」の開業が予定され、大阪駅(うめきたエリア)に乗り入れる計画となっている。

  • 大阪環状線福島駅付近の浄正橋踏切でも大がかりな工事が行われていた

  • 低下作業が進められる浄正橋踏切。2月13日以降も踏切は残るとのこと

2月13日早朝には、新線で試運転列車を運行した後に、特急「はるか」「くろしお」をはじめとする営業列車も新線を通過する予定。開業前の大阪駅(うめきたエリア)を通過するシーンも注目を集めることだろう。