• 「犬に論語」の意味は?

    「犬に論語」のくわしい意味や使えるシチュエーションを確認しましょう

この記事では、「犬に論語」のくわしい意味や使い方・例文、英語表現などを解説します。また、類義語となる四字熟語や似た意味のことわざも紹介していますので、それぞれの細かなニュアンスを知って正しく使い分けられるようになりましょう。

「犬に論語」とは?

  • 「犬に論語」の意味は?

    「犬に論語」とは、相手に説明が通じないときに使うことわざです

「犬に論語」の意味

「犬に論語」とは、「効果がないことのたとえ」「物事の筋道や道理などを説明しても無駄であること」を意味します。「馬の耳に念仏」と同じ意味のことわざです。

「犬に論語」の由来

「犬に論語」の由来については、はっきりしていないようです。

「論語」とは孔子の弟子が書いた儒教の経典のことを指し、「ありがたい教えを犬にどんなに解き聞かせても全く意味がないのと同様に、相手に正しい論理を話しても甲斐がない」ということを表しています。

「犬に論語」の初出ははっきりしていませんが、江戸中期には使用例があり、元禄時代の頃にはすでに人々の間に知れ渡っていることわざであったと考えられるでしょう。近松門左衛門の作った江戸中期の浄瑠璃、本領蘇我に「犬に論語といふたとへ」という台詞があります。

「犬に論語」の使い方・例文

  • 「犬に論語」の例文

    「犬に論語」の使い方を例文で確認しておきましょう

  • あの取引先はこちらが向こうに合わせるべきだと信じて疑っていない。納品までに必要な日数を説明しても犬に論語だ。
  • 挨拶や礼儀はきちんとするよう子どもには口を酸っぱくして言っているが、全く犬に論語で聞く耳を持たない。
  • 先生のセミナーは私には難しすぎて、全く犬に論語状態でした。

「犬に論語」の類義語(似た意味のことわざ・四字熟語)

  • 「犬に論語」の類義語

    「犬に論語」の類義語には「猫に小判」などがあります

「犬に論語」の類義語・似た意味のことわざや四字熟語を紹介しますので、それぞれの細かな違いに注目してみましょう。

猫に小判・豚に真珠

「猫に小判」「豚に真珠」とは、「ものの価値のわからない相手に対し、小判や真珠などの高価なものや貴重なものを与えても意味がない」ことを表します。どんなに価値があるものでも、それを理解できない相手にとっては全く役に立たないという意味です。

同じ意味で、「猫に石仏」「犬に小判」「犬に懸け鯛」などのことわざもあります。

牛に経文・馬の耳に念仏・兎に祭文

「牛に経文」「馬の耳に念仏」「兎に祭文」は、ありがたい教えをどんなに説いても、その理解ができない相手に対しては全く効き目がないことを表します。相手に聞く気がなければ、どんなに素晴らしい話や正しい道理を話しても無駄に終わってしまうという意味です。

馬耳東風

「馬耳東風」とは、人のいうことに耳を貸さない相手に対して何を言っても聞き流されてしまうだけであることを比喩的に表す四字熟語です。論理や価値ある教えだけでなく、批判や忠告に対しても聞く耳を持たず、平然としていることを表します。

日本語では「馬の耳に風」ということもあり、同じ意味の言葉として「対牛弾琴」「牛に対して琴を弾ず」もあります。

糠に釘

「糠に釘(ぬかにくぎ)」とは、強く主張しても全く手応えも効き目もない様子のことです。糠にどんなに頑張って釘を打ち込んでも手応えはなく、しっかりと刺さることもないことをたとえとして用いています。略して「糠釘」いうことも。「暖簾に腕押し」「豆腐にかすがい」や「沼に杭」も同じ意味です。

暖簾に腕押し

「暖簾に腕押し(のれんにうでおし)」とは、こちらが力を入れたり、強い気持ちや言葉をぶつけたりしても相手には何の効果もない様子のことです。店先などに提げられた暖簾を相手に腕相撲をとっても全く手応えがないように、相手にひらりひらりとうまくかわされてしまう状態を表します。

こちらの働きかけが相手に何の効果もないという意味のことわざとして、「石に灸」「石に針」「沢庵のおもしに茶袋」もあります。

「犬に論語」の英語表現

  • 「犬に論語」の英語

    「犬に論語」を英訳するときは「pray to deaf ears」などを使いましょう

「犬に論語」の意味を英語で表現したい場合は、ことわざで似た表現である「There's none so deaf as those who will not hear.(聞こうとしない者ほど、耳の聞こえない者はない)」や「Cast pearls before swine.(豚に真珠を投げ与える)」などに置き換えることで、同じニュアンスを伝えられます。

「犬に論語」の意味や似た意味のことわざ・四字熟語を知っておこう

話が通じず、会話しても無駄になってしまう相手に対して使われる「犬に論語」。

「難しい内容を理解できない」「正しい論理がわからない」というニュアンスがあるため、直接相手に対して「あなたに話しても犬に論語ですね」と表現するのは避けたほうがよいでしょう。類義語として「猫に小判」や「豚に真珠」があります。

ビジネスなどで「あいつに話しても犬に論語だよ」と言われないように気をつけたいものですね。