ビジネスシーンでよく見聞きする「折り合いをつける」という言葉。聞いたことはあるものの「正しい意味を知らない」「自分では使ったことがない」という方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、「折り合いをつける」の意味や正しい使い方・例文を紹介します。あわせて、類語・言い換え表現や英語表現についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

「折り合いをつける」の意味とは

  • 「折り合いをつける」の意味とは

まずは、「折り合いをつける」の意味を確認していきましょう。

お互いに譲りあって妥協点を決めること

「折り合いをつける」は、「お互いに譲りあって妥協点を決めること」という意味です。交渉や揉めごとなど意見が対立している場面で、互いに譲り合うことで解決に導きたいときに使われます。

「折り合い」は人と人との関係を表す

「折り合い」は、「人と人との関係」や「仲」という意味でも使われる言葉です。例えば、姑との関係が上手くいっていない、あるいは仲が良くないことを言い表したいときに「姑との折り合いが悪い」といった使い方をします。

一方、折り合いという言葉は競馬用語としても使われます。この場合の折り合いは、競走馬が騎手の指示をしっかり理解し、呼吸が合っているという意味です。これに対して競走馬が騎手の指示に従わない状態のことを「折り合いがつかない」や「折り合いを欠く」といいます。

「折り合いをつける」の使い方・例文

  • 「折り合いをつける」の使い方・例文

意味を理解したら、次は使い方をマスターしましょう。ここでは、折り合いをつけるの正しい使い方や例文を紹介します。

ビジネスシーンでの使用例

ビジネスシーンでは、交渉でお互い納得できる妥協点を探すときなどに使われます。ビジネスシーンで使える例文は下記の通りです。

・今日の商談で取引先との交渉は折り合いがついた。

・早いうちに折り合いをつけないと、取引に影響が出てしまうかもしれません。

・一番のネックであったコスト面も、折り合いをつけることができた。

人間関係での使用例

「折り合いをつける」は、人間関係での揉めごとや意見の食い違いをまとめる際に用いられることもあります。この場合の例文は以下の通りです。

・あの2人は喧嘩していたが、やっと折り合いをつけることができた。

・チームであるからには、皆で折り合いをつけていく必要がある。

自分に対しても使う

「折り合いをつける」を使う場面は、交渉や人間関係だけではありません。対立する感情を受け止め、自分自身で納得することを「自分の心と折り合いをつける」と表現できます。

「折り合いをつける」の類語・言い換え表現

  • 「折り合いをつける」の類語・言い換え表現

「折り合いをつける」には、複数の類語や言い換え表現があります。ここではその一部を紹介するので、場面に応じて適切に使い分けましょう。

譲歩し合う

「譲歩」には「自分の考えや主義の一部または全部をまげて、他の意見に従うこと」という意味があります。「折り合う」よりも、”相手の意見に従う”という意味合いが強いのが特徴です。

「譲歩」ではなく「譲歩し合う」とすることで、折り合いをつけると同じように、お互いに譲り合うという意味で使えます。

・現状を十分認識し、譲歩し合う必要がある。

・お互い協力して譲歩し合うことが大切です。

・示談は、被害者と加害者が譲歩し合うことを前提にしている。

妥協する

「妥協」には、「自分が主張する条件の水準を下げて双方が納得する一致点を見つけ、おだやかに解決する」という意味があります。

・キッチンが広い家に住みたかったが家賃が高かったため、別のマンションで妥協した。

・本当は京都旅行に行きたかったが、今は遠出できないため近場で妥協した。

・議論が平行線の状態なので、妥協する必要がある。

着地させる

着地は「空中から地面に降り着くこと、着陸」という意味ですが、そこから転じて「対立する双方の納得できる解決」といった意味でも使われています。

・迷走する会議を着地させる。

・次回の打ち合わせでは販売価格の件を着地させたい。

歩み寄る

「歩み寄る」は、 「意見や主張の違う双方が条件を譲りあうこと」という意味で使われます。

・互いが歩み寄ることで変わる世界がある。

・Aさんは歩み寄るどころか、はしごを外した。

・皆が歩み寄れる社会を目指して、活動を続けていく。

「折り合いをつける」の英語表現

  • 「折り合いをつける」の英語表現

最後に、英語表現についてみていきましょう。ビジネスで英語を使う機会がある方はぜひ参考にしてみてください。

compromise

「折り合いをつける」を英語で表現したい場合は、「compromise」を使うのがよいでしょう。「compromise」には妥協させて解決する、示談にするという意味があります。

「compromise」を使った例文は次の通りです。

・It admits of no compromise.

妥協の余地はない。

・We found a way to compromise on that.

私たちはその妥協策を見つけた。

・Can't we compromise the matter in some way?

何とか妥協できないでしょうか。

work out differences

そのほかの表現を使いたい場合は「work out differences」もいいでしょう。「work out」は「(問題などを)何とか解決する、物事がうまく収まる、いい結果が出る」ことを表します。「differences」の意味は「違い、相違、差異、相違点」です。

これらを組み合わせることで「意見の食い違いなどをなくし、折り合いをつける」という意味になります。

・The most demanding part of the process is to work out differences between the requirements of the four divisions.

その過程で最も困難なのは、4つの部署の要望の間で折り合いをつけることです。

「折り合いをつける」の意味を覚えて正しく使おう

  • 「折り合いをつける」の意味を覚えて正しく使おう

    英語表現をご紹介します

「折り合いをつける」とは「お互いに譲り合って解決すること」を表す言葉です。「折り合い」には、「譲り合って解決すること」だけでなく、「人と人との関係、仲」という意味もあります。

「折り合いをつける」という表現は、ビジネスシーンはもちろんプライベートの人間関係などさまざまなシーンで使われるので、ぜひこの機会に正しい使い方を覚えてみてください。また、あわせて類語・言い換え表現も覚えると役立ちます。