フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)で、5日に放送された『私が踊り続けるわけ2 ~56歳のストリッパー物語~』。日本最高齢と言われるストリッパー・星愛美さん(56)とそのファンたちを追った作品だが、ファンの中心的存在・スーさんと愛美さんの最後の別れがエンディングで映し出された。

このとき、カメラを構えていた大里正人ディレクター(オーディンプロダクション)は、どんな思いで見つめていたのか。ナレーションを担当した本仮屋ユイカも、涙をこらえながらこのシーンを振り返った。

  • 日本最高齢ストリッパーの星愛美さん (C)フジテレビ

    日本最高齢ストリッパーの星愛美さん (C)フジテレビ

■愛美さんを愛することがエネルギーになっていた

愛美さんを全国各地に追いかける熱心なファンたちは「星組」と呼ばれ、彼女を応援することがきっかけとなり、互いを支え合う“ファミリー”のように強い絆で結ばれている。そんな「星組」の中心メンバーが、元警察官のスーさん。ふらりと入った劇場で愛美さんと出会うと、全身全霊で舞台に立つ姿にすっかり心を奪われ、応援に駆けつけるようになった。

そんなスーさんについて、大里Dは「本当に男気があって、目立たないけれど、曲がったことが嫌いな人でした。すごくシャイな方なので、本当は番組の取材を受けるとか、自分が表に出るのは嫌がるんですけど、愛美さんのために一肌脱ごうと決意してくれて、僕とも普通に付き合ってくれて、いろいろ話を聞かせてくれたんです」と回想する。

しかし、がんを患い、余命宣告を受けたスーさん。生きている限り愛美さんの舞台を見続けると決意し、全身の痛みに耐えて全国を巡っていた。病を押してでも愛美さんのために駆けつけるのは、彼女に対する深い愛情もあるが、ステージを見ることによって、自分の生きる活力になっていた部分もあったという。

「誰かを愛するということは、それ自体がエネルギーになりますよね。家族を愛するとか、ペットをかわいがるとか、そういった愛情を向ける対象が、独身だったスーさんにとっては愛美さんだったんだと思います。そこに愛情を傾けることによって、エネルギーを得ているように見えました」(大里D、以下同)

  • 大里正人ディレクター

■「スーさんが応援に来てくれる間は絶対に辞められない」

一方で愛美さんも、がんにより子宮を全摘出して体中に痛みが絶えず、股関節も悲鳴を上げていた。そんな満身創痍の中でステージに立ち続けることができたのは、スーさんの存在も大きい。

「星組の皆さんは愛美さんに対する思いが熱いので、愛美さんは『自分の勝手な思いだけでは辞められない』と言っているのですが、特にスーさんは、フォトブックを作ってくれるなど、熱心に応援してくれる大事なお客さんですし、病気でつらい中でも長時間かけて駆けつけてくれるので、『スーさんが応援に来てくれる間は絶対に辞められない』と、ずっと言っていました」

細い体から繰り出される大きな手拍子が、スーさんの応援スタイル。その音は、「そこにいるのがすぐ分かるくらい、いつも劇場に響き渡ってました」という。

互いに命を懸けて、踊り続ける愛美さんと見守り続けるスーさん。この関係性に、本仮屋は「そういうものに巡り会えるというのは、幸せなことだと思います」と羨望を抱いた上で、「あんなドラマチックなことはそうそうないかもしれないけど、実は誰の人生にも起こる可能性を秘めてるんじゃないかと思いましたし、そうじゃなきゃ人生嫌だなとも思います」と話した。

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