テレビ放送開始から70年を迎える2023年2月。初めてテレビで大型時代劇に挑戦した若きテレビマンたちの奮闘を描くNHKのテレビ70年記念ドラマ『大河ドラマが生まれた日』が、2月4日(総合 19:30~20:45)に放送される。主人公であるNHK芸能局の若手アシスタントディレクター・山岡進平を演じた生田斗真と、山岡の上司であるプロデューサー・楠田欽治役の阿部サダヲに、テレビの黎明期に奮闘したテレビマンを演じた感想を聞いた。

  • 『大河ドラマが生まれた日』山岡進平役の生田斗真

本作で描くのは、1963年に放送された大河ドラマ第1作『花の生涯』誕生の裏側。山岡(生田)と楠田(阿部)は、NHK芸能局長・成島庭一郎(中井貴一)から「映画に負けない新しい連続大型時代劇を作れ」と無茶ぶりされる。この頃、映画会社は「五社協定」を結び専属俳優をテレビに出さないことにしていた。それを突破すべく、山岡たちは日本映画の大スター・佐田啓二(中村七之助)の自宅に日参。あきらめようとしたときに出演を約束してもらい、佐田の参加により次々と映画スターたちの出演が決まる。収録が始まってもさまざまな問題が勃発するが、山岡たちは放送日に向けて突き進んでいく。

――オファーを受けたときの心境から教えてください。

生田:僕自身も何度か大河ドラマに出演させていただいて、そもそもの始まりは何なのか、どういう人たちがどんな思いを込めて今の大河ドラマが生まれたのかは興味があったので、すごくワクワクしながら参加しました

阿部:プロデューサーという役職に興味を持ちだしていたのですごくうれしかったですし、覗いてみたいことがたくさんあったので、疑似体験させていただいて楽しかったです。

――金子茂樹氏が手掛けた脚本を読んだ感想は?

生田:金子さんは何度も作品を共にしている方で、金子さんの作品は大好きなので、金子さんらしい冗談を入れながら嘘みたいな本当の話がたくさん詰め込まれていて興味深かったです。

阿部:金子さんの脚本は初めてですが、面白かったですね。笑えるところもあるし、刺さるセリフもけっこうあって。

――ご自身の役を演じる際に手本にした方はいますか?

生田:我々が演じたキャラクターも『花の生涯』に関わった方をモデルにしていて、当時使っていた道具や写真を見せていただきました。また、スタッフの皆さんが分厚い資料を我々の為に用意して下さったので、それが大きなヒントになりました。

阿部:あの資料はすごいよね。

  • 楠田欽治役の阿部サダヲ

――本作に参加してドラマや大河ドラマに対する思いに変化はありましたか?

生田:僕らは当たり前のように台本をいただいて、現場に行って撮影して放送されますが、はじめの一歩は本当に大変だったと思います。“テレビなんかにうちのスターを出せません”という五社協定から始まって、そこを切り崩してテレビの価値、ドラマの価値を上げてきた先人たちがいて、その上に僕らがいるということを改めて感じました。僕が演じたアシスタントディレクターや阿部さんが演じたプロデューサーがいて、いろんなところに頭を下げたり、陰の努力があるのだなと思いました。

阿部:五社協定という垣根をなくしていただいたおかげで……僕は舞台出身ですが、ジャニーズ事務所の人と一緒にできるし、歌舞伎の人も今回出ていて、すごく楽しかった。それができるようになったのは先人たちのおかげだとわかりました。歌手の人が役者をやっても、笑いの人が役者をやってもいいし、いい状況だなと思います。

――制作陣の苦労や思いを感じて、現場での振る舞い方など変化はありそうですか?

生田:ちゃんと振る舞っているタイプの俳優たちだと思います(笑)。僕らは現場へ入るのが一番遅く、スタッフの方よりも早く帰る。皆さんは残って仕事があったり、家に帰ってもやらないといけないことがあったり、改めてその大変さを感じました。

阿部:本当にそうだと思います。現場が止まっているなと思ったら、前よりもいろいろ考えるようになりました。何か起きているんだろうなと、敏感になったかもしれません。

――テレビの黎明期を描いた本作を通して、お二人はどのようなメッセージを受け取りましたか?

生田:テレビやドラマがこれからどう変わっていくのか岐路に立っていると思います。そういう意味で、「テレビはこの頃の熱さを忘れたらいけない。もう1回頑張ろう」と捉えるのか、「今もまだまだ負けてないし、もっと新しいことをやっていこう」と捉えるのか、一人ひとり違うと思いますし、皆さんがどう捉えるのか楽しみです。当時はテレビがあるところにみんなで集まって見ていたけど、今やスマホやパソコンでもテレビを見られる時代になっていて、この時代にテレビの初期の歴史を見つめ直すのはすごく意味のあることだと思います。

阿部:小さい子供からおじいちゃんおばあちゃんまで見られるようなドラマを作りたいんだという気持ちがすごく伝わるドラマだし、実際に幅広い年代の方に見てもらえるドラマになっている感じがします。