ゴールドウインが電動バイクの販売に参入する。同社はこのほど、スウェーデンの高級電動バイクメーカー「ケイク 0 エミッション AB」(CAKE 0 emission AB、以下:ケイク)と日本における独占パートナーシップ契約を締結し、日本発売モデルを公開した。どんなバイクなのか、さっそく乗ってきた。

  • ゴールドウインが販売する「ケイク」の電動バイク

    日本上陸を果たすケイクの電動バイクは4タイプ。写真は「オッサ プラス」(最高速度90km/h、航続距離111km)で販売価格は255.5万円だ

ゴールドウインが電動バイクに参入する理由は?

世界的な脱炭素の動きを受けて、自動車の世界では電気自動車(EV)の普及を含む電動化の流れが加速している。一方で、電動バイク(電気のみで走るバイク)の国内普及率は約8%にとどまるそうだ。

そうした中で、バイク事業に本格参入するゴールドウイン。取り扱うケイクのバイクはけっこう強気の価格設定だが、2023年からの3年間で国内販売5,000台を目指すとしている。

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    こちらのバイクは「マッカ フレックス」。最高速度45km/h、航続距離54km、販売価格は93.5万円

そもそもなぜ、スポーツウェアなどを手掛けるゴールドウインが電動バイク販売に参入するのか。代表取締役の渡辺貴生さんは、以前から同じアウトドアスポーツ事業に取り組んでいたケイクに親近感を持っていたという。自然に対する姿勢や洗練されたデザインセンスに、ゴールドウインのモノづくりと共通する感覚があると感じていたそうだ。今回の両社の提携については「社会イノベーションを共創する新しいモデルケースになる」としている。

ケイクの創業者でCEOのステファン・イッターボーンさんは長年、自転車業界に身を置いてきた人物。新たな素材やレーシングバイクの導入という業界の変化を目の当たりにしてきたが、これまでに自転車で行われてきたイノベーションをバイクに展開するには、既製品をすげ替えるだけでは実現不可能だと考えた。そのため、電動バイクは全てをゼロから設計。ケイク製の電動バイクは、従来のデザインを超越した全く新しいメソッドで構築されているという。

ケイクの電動バイクについて渡辺さんは、「北欧らしく無駄のない洗練されたデザインパーツを組み合わせたシルエットから、革新性と普遍性を感じる」と評価。電気をエネルギーとする電動バイクのクリーンかつ静かな走りは、バイクの移動という概念を大きく変えるイノベーションになるとしつつ、「これまで誰も経験したことがない体験であり、全く新しいスポーツのような感覚が生まれてくるのでは」と語った。

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    キッズ向け競技用モデルの「Go」。最高速度40km/h、航続時間約1時間、販売価格は72.6万円

もうひとつの大きなイノベーションが脱炭素化だ。ケイクはバイクの製造過程における二酸化炭素の削減にも積極的に取り組んでおり、日本でも展開するオフロードモデル「カルク アンド」のケースでは1台あたりトータル1,186kgの削減を実現しているという。

  • ゴールドウインが販売する「ケイク」の電動バイク
  • ゴールドウインが販売する「ケイク」の電動バイク
  • オフロードモデルの「カルク」シリーズ。写真左が公道走行も可能な「カルク アンド」(最高速度90km/h、航続距離86km、291.5万円)、写真右は競技用モデルの「カルク OR レース」(最高速度90km/h、航続時間最大3時間、281.6万)

乗った感じは新鮮! 「オッサ プラス」に試乗

スウェーデン生まれのプレミアム電動バイクはどんな乗り味なのか。さっそく試乗してみた。今回は「カルク アンド」「オッサ プラス」「マッカレンジ」の中から1台とのことだったので、またがった感じが最も気になった「オッサ プラス」を選択した。

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    試乗した「オッサ プラス」

オッサ プラスを走行可能な状態にするには3つのステップが必要。といっても、基本的にはバッテリー、セル、液晶の順にスイッチを押していくだけでOKだ。

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    「オッサ プラス」の起動方法。まずはバッテリーのパワースイッチを長押し(写真左)し、次に右ハンドルのセルスイッチをオンにしてから(写真中)、液晶右上の電源ボタンを長押し(写真右)すれば走行可能な状態になる

さっそくアクセルをひねって走り出してみる。

レスポンスよく加速していくが、モーター音は特に聞こえてこない。周囲を走るクルマのエンジン音が、かなりクリアに聞こえる。これが渡辺さんのいう「環境の持つ情報をより鮮明に感じながら没入する体験」というものなのだろう。たしかに、山道走行などでは自然と一体になったような感覚になれるかもしれない。

ライディングポジションについては、センターフレームがあるとはいえタンクほどの横幅がないので、ニーグリップができないところが普通のバイクと異なる。なんとなく内モモが寂しい感じはするが、原付のように普通に座って操作するイメージで大丈夫だ。

ゴールドウインでは1月26日~29日にかけて、「the corner」(東京都渋谷区神宮前5-29-1)にてケイク製バイクの展示・試乗会を開催予定。28日と29日の試乗会は事前の抽選予約が必要だが、見るだけなら予約は不要だそうなので、興味のある方は実車を見に行ってみてはいかがだろうか。