「お茶を濁す」という言葉の意味を正しく理解していますか? 本記事では、「お茶を濁す」の意味や語源・由来を紹介します。

また「お茶を濁す」に似ている慣用句「言葉を濁す」との違いや、類語・言い換え・対義語を解説します。さらに、「お茶を濁す」の使い方の参考として例文と英語表現をあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

  • 「お茶を濁す」とは

    「お茶を濁す」の意味や語源のほか、類語・例文・英語表現を解説する記事です

「お茶を濁す」とは

  • 「お茶を濁す」とは

    「お茶を濁す」の意味・語源・由来と、「言葉を濁す」との違いを確認してください

「お茶を濁す」は「おちゃをにごす」と読む慣用句です。ここでは、「お茶を濁す」の意味と語源を紹介します。

「お茶を濁す」の意味

「お茶を濁す」の意味は次の通りです。

意味1: いい加減なことを言って、その場を誤魔化すこと
意味2: 誤魔化してその場をうまく取り繕うこと

「お茶を濁す」は「御茶を濁す」と書くこともできます。また「お茶を濁す」の「お」を省いて「茶を濁す」と読み書きすることもあります。

「お茶を濁す」の語源・由来

「お茶を濁す」の語源・由来となったのは抹茶です。抹茶は決められた作法に従ってたてる必要があるので、手順を知らない初心者にとっては扱いが難しい飲み物です。初心者が抹茶をたてるときには茶碗に抹茶を入れて適当にかき混ぜるので、お茶が濁ってしまいます。

上記のように、知識のない人がそれらしく取り繕って抹茶をたてた様子から「お茶を濁す」という言葉が生まれました。

「お茶を濁す」と「言葉を濁す」との違い

「お茶を濁す」と似たような慣用句に「言葉を濁す(ことばをにごす)」があります。「言葉を濁す」の意味は以下の通りです。

意味: はっきり言わず、曖昧に言う

「言葉を濁す」はある物事に対して曖昧なことを言ったり明言を避けたりして、話題を終わらせるときに使います。「お茶を濁す」は言動だけではなく振る舞いや態度など物事を取り繕う行動全般に使用しますが、一方の「言葉を濁す」は言動に対してだけ使用します。ふたつの言葉の違いをしっかり覚えておきましょう。

「お茶を濁す」の類語・言い換え

  • 「お茶を濁す」の類語・言い換え

    「お茶を濁す」の類語・言い換えは複数あります

ここでは、「お茶を濁す」の類語・言い換えを紹介します。

臭い物に蓋をする(くさいものにふたをする)

「臭い物に蓋をする(くさいものにふたをする)」の意味は以下の通りです。

意味: 醜聞や悪事などが他の場所に漏れないよう、一時しのぎで隠そうとすることのたとえ

「お茶を濁す」は友達間や仕事上のトラブルなどに使われますが、「臭い物に蓋をする」は規模の大きいトラブルや悪事に対して使われることが多いです。

糊塗(こと)

「糊塗(こと)」の意味は以下の通りです。

意味: 何とかしてその場を取り繕うこと。一時しのぎで誤魔化すこと

「糊」は米からできる接着剤のことです。曖昧でぼんやりしている様子表す言葉としても使われます。「塗」は液体を塗りつける・泥にまみれるという意味を持っています。ふたつが合わさって「その場を取り繕うこと」という言葉になりました。「糊塗」は話し言葉で用いられることはあまりなく、おもに書き言葉で使います。

煙に巻く(けむにまく)

「煙に巻く(けむにまく)」の意味は以下の通りです。

意味: 相手の知らないことや大げさなことを言って、誤魔化したり相手を圧倒したりすること

「煙に巻く」は相手の気持ちや意識を別の方向へ向けるときに使います。

取り繕う(とりつくろう)

「取り繕う(とりつくろう)」の意味は以下の通りです。

意味1: 整えて見栄えをよくする
意味2: 不都合を隠そうとして、うわべを飾る
意味3: 間に合わせのために修繕する

「取り」は取りあえずと同様、その場をしのぐという意味があり、「繕う」は修繕するという意味になります。

「お茶を濁す」の対義語

  • 「お茶を濁す」の対義語

    「お茶を濁す」の対義語を確認して理解を深めましょう

ここでは、「お茶を濁す」の対義語を紹介します。

正々堂々(せいせいどうどう)

「正々堂々」の意味は以下の通りです。

意味1: 軍隊などが整い、勢いが盛んな様子
意味2: 手段や態度が正しく立派な様子

「正々堂々」は「正正堂堂」と書くこともできます。人の振る舞いや態度が立派なときに使う四字熟語です。

逃げも隠れもしない(にげもかくれもしない)

「逃げも隠れもしない(にげもかくれもしない)」の意味は以下の通りです。

意味: 逃げたり隠れたりするなど、卑怯な真似をしないこと

自分の行動に対して責任を持つ、隠し事をしないといった様子を表すときに使います。

明るみに出る(あかるみにでる)

「明るみに出る(あかるみにでる)」の意味は以下の通りです。

意味: 隠されていたことや知らていなかった事実が世間に広まること。公になること

「明るみに出る」は「明るいところに出る」から転じて、隠されていた事実が表面化するという意味になりました。

「お茶を濁す」の使い方・例文

  • 「お茶を濁す」の使い方・例文

    「お茶を濁す」の使い方は例文をみて確かめましょう

ここでは、「お茶を濁す」の使い方を紹介します。次の例文を参考にしてください。

・顧客が激怒していたので、お茶を濁して何とかその場をあとにしました
・子どもに夏休みの宿題のことをしつこく聞いたらお茶を濁された
・苦手な上司からランチに誘われたが、お茶を濁して難を逃れた
・お茶を濁してばかりの同僚はとうとうクライアントから信用を失った
・思い切って気になっている女性に年齢を聞いたらさ、お茶を濁されちゃったよ

「お茶を濁す」の英語表現

  • 「お茶を濁す」の英語表現

    「お茶を濁す」の英語表現は複数あります

ここでは、「お茶を濁す」の英語表現を紹介します。英文とともに使い方もみてみましょう。

make do with

「make do with」は直接「お茶を濁す」と訳すことができます。

英語: When I boldly asked the person I was interested in how old she was, she makes do with other topics.
意味: 気になっている人に思い切って年齢を聞いたらお茶を濁された。

do something in a halfhearted way

「do something in a halfhearted way」は「疎かにする」「いい加減な方法で誤魔化す」という意味の英語表現です。

英語: My colleague, who do something in a halfhearted way, finally lost the trust of his clients.
意味: お茶を濁してばかりの同僚はとうとうクライアントから信用を失った。

dodge the subject

「dodge the subject」は「話を逸らす」という意味の英語表現です。

英語: A friend invited me out to lunch, but it was too much trouble, so I just dodge the subject and came back home.
意味: 友人からランチに誘われたのですが、面倒くさかったのでお茶を濁して帰ってきました。

「give an evasive reply」「reply evasively」

「give an evasive reply」「reply evasively」は「態度をはっきりさせない」という意味の英語表現です。

英語: I didn't have a grasp of what was going on at the site, so I give an evasive repl and went back to the office.
意味: 現場がどうなっているのか把握していなかったのでお茶を濁して帰社した。

「お茶を濁す」の意味や類語、使い方を覚えましょう

「お茶を濁す」は「いい加減なことを言って、その場を誤魔化すこと」という意味の慣用句です。語源・由来は「抹茶」からで、正しい手順や作法を知らない初心者が適当にたててお茶を濁らせて、それらしく繕った様子から「お茶を濁す」という言葉が生まれました。

「お茶を濁す」と似た慣用句に「言葉を濁す」があります。「言葉を濁す」は言動を誤魔化す、「お茶を濁す」は言動だけではなく態度もあやふやにする、という違いがあります。「お茶を濁す」の類語・言い換え・対義語とともに覚えておきましょう。

本記事でご紹介した例文や英語表現も参考にして、「お茶を濁す」の使い方を身に付けましょう。