「中性脂肪」が気になる人へ向けた特定保健用食品(トクホ)や、サプリなどを様々な場所で見かけます。中性脂肪が高いと健康診断で言われて気を付けている人も多いのではないでしょうか。一方で、中性脂肪が低すぎるのも健康へ悪影響を及ぼします。中性脂肪が高い、低いことの影響について名古屋大学医学部附属病院の竹内想先生にお伺いしました。

  • 中性脂肪が「高い」「低い」本当に危険なのはどっち?

――「中性脂肪」とはどのようなものなのでしょうか。

竹内先生:中性脂肪は肉や魚・食用油など食品中の脂質や、体脂肪の大部分を占める物質です。単に脂肪とも呼ばれますが、脂肪酸が3本、グリセロールと呼ばれる物質で束ねられた構造をしており、中性を示すことからこの名で呼ばれています。

その構成成分である脂肪酸は、動物性脂肪では飽和脂肪酸が多く、バターやラードのように常温では固体として存在します。それに対して植物性脂肪では、不飽和脂肪酸が多く液状です。

中性脂肪は人や動物にとって重要なエネルギー源であり、脂溶性ビタミンや必須脂肪酸の摂取にも不可欠ですが、とりすぎると体脂肪として蓄えられて肥満をまねき、生活習慣病を引き起こします。

――「中性脂肪」の基準値は一般的にどのくらいになりますか

竹内先生:中性脂肪は30~149mg/dLが基準値とされています。

――中性脂肪の数値が高い場合、体の健康にどのようなリスクがあるのでしょうか

竹内先生:中性脂肪の値が高い場合、動脈硬化の進行や心臓・脳血管の障害などをきたしやすくなることが知られています。とくに高血圧や糖尿病など、そのほかの生活習慣病がある場合は血管の障害が進行しやすいとされており、注意が必要です。

――一方で、中性脂肪の数値が低い場合の影響を教えてください

竹内先生:中性脂肪が低すぎると、免疫が低下したり、体が低栄養状態に陥ってしまう危険性が考えられます。

――中性脂肪の数値が高すぎる、低すぎるどちらが健康にとっては危険なのでしょうか。基準値にするために心がけることがあれば教えてください

竹内先生:一般的に、現代社会では飽食の時代とされており中性脂肪が高すぎることによる生活習慣病の発症のほうが、低値であることによる危険よりも上回ると考えられます。

中性脂肪の値を適切な数値に保ためには食事・運動習慣などの改善からまずは行っていくことが必要です。それでも数値が改善しない場合は内服での治療が必要となってくることがあります。

健康診断などで異常を指摘された場合は、自覚症状がなくてもお近くの内科などを受診いただき、医師の指示に従って適切な治療を行っていくことが大切と考えられます。

監修:竹内 想(たけうち そう)先生

名古屋大学医学部附属病院。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積みました。現在は主に皮膚科医・産業医として勤務しています。


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