――ムラホシ隊長、カイザキ副隊長(演:宮澤佐江)、ハネジロー(声:土田大)を交えたGUTS-SELECTフルメンバーのアットホームな雰囲気もいいですね。
ナースデッセイ号の作戦司令室での撮影はいつも楽しみでした。みんなが集まると何でもないことでワッと盛り上がったりして、朝の9時からまるで深夜のテンションみたいでした(笑)。このテンションを維持したまま、午後の撮影までもつのかなって心配しましたから。ほんとうに親戚が集まって楽しい時間を過ごしているような、よい意味で年齢差を感じさせないチームだったと思います。雅哉さんも佐江さんも、親身になって寄り添ってくださいますし、アサカゲ博士の小柳友さんも、芝居についていろんなアドバイスをしていただきました。
――最初はGUTS-SELECTメンバーだったアサカゲ博士(演:小柳友)が地球人類に恨みを抱くバズド星人アガムスだったと、中盤で明らかになる展開は衝撃的でした。
まさか、敵に回ってしまうとは!?って感じでしたね。最初のころからうすうすこうなるよ、とは聞いていたのですが、あんなに敵対する存在になるとはっていう驚きがありました。僕としては、GUTS-SELECTの仲間をひとり失った形になって寂しいという気持ちがあり、離れてみて改めてアサカゲ博士=友さんは偉大だなあと、存在の大きさを感じました。
――GUTS-SELECTのチームワークのよさが、大地さんの言葉から強く伝わってきますね。
誰一人欠かせないというか、今のメンバーでなければ今回のような雰囲気にならなかったんじゃないかと思います。もう、歴代ウルトラマンシリーズナンバーワンのチームワークだ! と信じてやってきました。
――『ウルトラマントリガー』の先代GUTS-SELECTで活躍していたマナカ ケンゴ役の寺坂頼我さん、シズマ ユナ役の豊田ルナさんと共演された第8、9話のご感想はいかがでしたか。
『デッカー』の設定資料には『トリガー』と同じ世界線で、しかも10年後を描くと記されていたので、もしかしたらゲストで登場されたりするのかなと思っていたので、ケンゴさん、ユナさんと、ナースデッセイ号の司令室でお会いしたときは、すごく嬉しかったです。お2人とも、ちゃんと10年の歳月を思わせる芝居をされていて、すごいなと思いましたし、特撮シーンでの演技も慣れていて、先輩たちにはいろいろ助けていただきました。たとえば、怪獣と戦うときにみんながどこに目線を合わせればいいか、目印をここに決めるなど、最初に僕たちが苦労していたことを的確にやってくださって、とてもありがたかったです。ケンゴ=頼我くんの明るいキャラにもかなりの刺激をもらいました。
――劇中に登場する怪獣については、撮影時に「こんな形」だとか「こういう武器」とかを教えてもらえるのでしょうか。
ラフスケッチで「こんな怪獣だよ」と教えていただくことはありますが、たいていはどんな姿をした怪獣なのかわからずに芝居をしていました。でも『デッカー』ではゴモラやエレキングなど、過去の作品で活躍した有名な怪獣がけっこう出てきますので、わりと事前にイメージがしやすかったです。リュウモン役が決まったとき、ウルトラマンを勉強しようと「怪獣図鑑」などの関連本を読みましたから(笑)。オンエアで観て初めて「こんなカッコいい怪獣なのか」と思うことがあります。スフィアザウルスなんて前脚あんなに大きかったのか……と驚きました。
――大地さんが『デッカー』のお気に入りエピソードを一つ選ぶとすればどれになりますか。
ムラホシ隊長に助けられたリュウモンの過去が明かされる第17話「過去からの調べ」です。誰にでも、自分にとってのヒーローや、憧れの存在があると思いますが、リュウモンは自分自身もそうなりたいと思って、10年間必死に努力をして、つかみとった奴なんです。どんなに困難なことであっても、諦めなければ努力は叶う、不可能なんてない、という思いを感じてもらいたいです。『デッカー』を観て、感じたものをご自身の夢に活かしてもらえたら嬉しいですし、僕たちの夢も応援してほしい。お互いが作用し合って、みんなでハッピーになればいいなと思っています。
――ファンの方たちからもらった『デッカー』の感想の中で、特に心に残ったものがあれば教えてください。
SNSで、たくさんの『デッカー』の感想を読ませていただいています。感動したのは「リュウモンが大地伸永でよかった」というコメントです。家で読んでいて、自然に涙が出ていました。僕自身もリュウモンという役を演じられてよかったと思っていますし、この役を作ってくださった監督、脚本、およびスタッフのみなさん、応援してくださったファンの方たちに感謝します。
――カナタとイチカは演じるお2人と性格などが似ているイメージがありますが、大地さんの中にはリュウモン的なところがあったりしますか?
あまりなかったと思います。撮影が始まった当初、自分の目標としてリュウモンみたいにきっぱりとした考えを持とう!と思ったくらい優柔不断ですから(笑)。自分の性格と違うところがあるぶん、ずいぶん勉強になりました。僕は人と話すのが好きですし、ゲラゲラ笑っているほうですが、リュウモンは笑ってくれないでしょう。そこが決定的に違うところですね。
――夏ごろ『デッカー』の撮影が完了(クランクアップ)したそうですが、最終カットを撮り終わったとき、どんな思いがありましたか。
自分の芝居についてこれでよかったのかな……という心配が正直ありましたけど、共演者のみんなと一緒にひとつの作品を作りあげた!という達成感もが大きかったです。『ウルトラマンデッカー』を撮影した日々は自分の心に刻まれているので、あの濃い時間を過ごせたことは幸せですし、おじいちゃんになってもずっと忘れることはありません。
(C)円谷プロ