
今回は、『エヴァンゲリオン』シリーズでCGを手がけたスタジオカラー デジタル部に所属するCGI監督・鬼塚大輔さんと、CGIアニメーションディレクター・松井祐亮さんの対談の様子をお届け。ここでは、『エヴァンゲリオン』シリーズの原作者で、お2人が所属する株式会社カラーの代表を務める庵野秀明さんについて伺いました。
左から:鬼塚大輔さん、松井祐亮さん
◆鬼塚&松井が語る庵野秀明
―——『エヴァンゲリオン』を生み出した庵野秀明総監督について、鬼塚さんと松井さんは、どうご覧になっているのでしょうか?
松井:隙のない方ですね。俺がびっくりしたのが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(以下『シン・エヴァ』)の特報1の映像で、8号機がグルグル回転しながら銃を撃つシーンがあるんですね。それについて、「なんで回転するか分かるか?」と聞かれて、「いや……ちょっと分からないですね」って答えたら、「回転っていうのは、上と下、天地を確認するために回っているんだぞ」と。
それで「映画『風の谷のナウシカ』のワンシーンで、メーヴェ(小型飛行装置)に乗ったナウシカが、雲のなかからバンって出てきたときにグルっと1回転したのは、なぜか分かるか? あれも、見えないから天地を確認するためなんだ。遊んでいるわけじゃない」って言われて、「はあ!」って目から鱗だった話を聞いたことがありました。そういう隙のなさもありますし、かわいいところもあって……(笑)。
鬼塚:ハハハ(笑)。
松井:僕と一緒に『シン・エヴァ』をチェックしているときに、おはぎを食べながらチェックしていて、食べ終わったら“グー”ってスヤスヤ寝ているんです。そのときに「かわいいな、この人は」と思って(笑)。そのコントラストがすごく素敵な方だなっていう印象は、いまだにありますね。
鬼塚:(庵野秀明総監督を)一言で言うのは難しいですけど、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』が終わったときかな、最後のカットがデジタル部のカットだったんですね。(レンダリングの)計算を全員でかけて、そのカットを納品して終わったんだけど、それまで庵野さんが待っていてくれて、終わった僕たちのところに来て、膝まで頭を下げて「ありがとうございました!」と言ってくれたんですよね。その後、みんなでデニーズで朝ご飯を食べるっていう(笑)。
松井:それ、聞きました(笑)。
鬼塚:でも、そういう行動を取られると「次も頑張ろう!」って思うじゃないですか。
松井:そうですね。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のときも『シン・エヴァ』のときも、終わりましたっていうときにわざわざ来ていただいて……俺は会社の前でハグしました(笑)。
鬼塚:あとやっぱり(1枚に対する)こだわりが強いから、ミリ単位で赤い線が入るんですよね。フレームもミリ単位でずらすとか。そして、今でもちゃんと描いていますよね。ラフ画だったりするけれども、「こういうふうにしたい」っていう思いがやっぱり強いから、新しいものをどんどん取り入れて。
なので、最初は紙だったから、前は机の上に付箋がいっぱい置かれていたんですよ。
松井:ありましたねぇ(笑)!
鬼塚:それがメールに変わり、絵も紙のスキャンからデジタルで直接描かれるようになり……みたいな。「自分が60歳のときに、そんなことができるのかな? すげえな」って思いながら見ています。