確定申告は所得税を計算・確定し、その税金額を納付する手続きですが、会社員などのように前もって所得税が徴収されている場合、払いすぎた税金分を還付してもらえることもあります。所得税は1年間の所得から所得控除を差し引き、その残りの金額に対して計算されます。つまり、適用される所得控除の数や金額が多いほど、納付すべき税金額が少なくなります。

そこで本記事では、確定申告において所得から控除できるものをまとめて紹介します。適用されるための要件も説明しますので、自分が申告できるかどうか確認してください。

●控除とは

所得控除とは、所得税の計算の過程において、一定の要件に当てはまる場合に、所得から差し引くことができるものです。所得税の計算は、1年間の所得から所得控除を差し引き、その残りの金額(課税所得)に税率をかけて行いますので課税所得が小さいほど所得税が少なくなります。言い換えれば、所得控除の額が多いほど所得税が少なくなります。

会社員などの場合、会社で年末調整を行うときに扶養している配偶者や家族の情報、加入している生命保険の情報などを申告し、給料から引かれすぎた税金を還付してもらっている人もいるでしょう。これは、配偶者控除や扶養控除、生命保険料控除といった所得控除が適用されたことが理由のひとつです。

なお、全部で15種類の所得控除がありますが、なかには年末調整では申告できず、自分で税務署に確定申告を行わなければならないものもあります。

●所得から控除できるもの一覧

15種類の所得控除を一覧表にまとめました。適用できる条件も記載しますので、自分が申告できるかどうかチェックしてみましょう。

<所得の控除の一覧>

1.社会保険料控除
2.小規模企業共済等掛金控除
3.生命保険料控除
4.地震保険料控除
5.ひとり親控除
6.寡婦控除
7.障害者控除
8.勤労学生控除
9.配偶者控除
10.配偶者特別控除
11.扶養控除
12.基礎控除
13.雑損控除
14.医療費控除
15.寄附金控除

  • 所得から控除できるもの一覧(筆者作成)※タップで拡大

この表からわかるように、「雑損控除」「医療費控除」「寄附金控除」は年末調整では申告できず、控除対象となっていても確定申告をしなければ適用されません。該当する場合には忘れずに確定申告をするようにしましょう。

また、「生命保険料控除」や「地震保険料控除」など年末調整で申告できるその他の所得控除であっても、年末調整で申告し忘れた場合には確定申告をすれば適用されます。ちなみに年末調整で所得控除が適用されているものは、会社からもらう源泉徴収票に記載されています。

●対象となる場合は忘れず確定申告をしましょう

今回、15種類の所得控除を紹介しました。じっくりと注意してみると実は控除の対象になっている可能性もあります。冒頭で述べたように、適用できる所得控除の数および金額が多いほど、納付すべき所得税の金額が少なくなります。所得控除は自ら申告しなければ、基本的に自動的に所得から差し引いてくれることはありません。できるだけ支払う税金を少なくしたり、還付してもらったりできるように、適用対象となる所得控除があれば忘れず確定申告をしましょう。