年末の大掃除中、「これ、もう使わないから捨てちゃおう」なんてことよくあるはず。だが、捨てようとしているモノに意外な価値があったりするかもしれない。そこで今回は、買取専門店「バイセル」で3000件以上の買い取りを担当してきたBuySell Technologiesの小林佑弥さんに話を伺い、意外に売れるモノについて教えてもらった。もしかすると、あなたの家に知られざるお宝が眠っているかも?

■年末に買い取りが増えるもの

――年末の大掃除などで押し入れや物置に眠っていたモノが出てきたりすると思うのですが、今の時期はどんなモノの買い取りが増えるんですか?

年末になってくると、大きなモノ、場所を取るモノが増えてきますね。大きなカバンをはじめ、最近はレコードやレコードプレーヤー、アンプなどのオーディオ機器の買い取りも多いイメージです。あまり使わなくなっていて、年末が近いから処分しようかなと考える人や遺品整理といった場合もありますね。

――レコードってプレミアがついていないものは買い取ってもらえないんですよね?

  • BuySell Technologiesの小林佑弥さん

レコードに関しては、まとめ買いすることが多いので、プレミアなどの価値がついてないレコードでも値段が付きますよ。オーディオ機器については、もちろん動くものの方が値段は付きやすいのですが、例えば初期のウォークマン等、プレミアが付いている再生機だとジャンク品でも買い取れる場合があります。アナログ世代の方々の中にはコレクターさんもいらっしゃいますので、そういった方に販売できるんです。

■中国で人気のイミテーションアクセサリー

――では、「意外と買い取ってもらえるからこれは捨てない方が良い」というものがあれば教えていただけますか?

イミテーションのアクセサリーは意外と値段が付いたりしますので、捨てるのはもったいないと思います。みなさん、指輪やネックレスって金やプラチナが入っていないとダメなんじゃないかっていう認識だと思うのですが、そうじゃないものでも結構値段が付くことがあるんです。

――イミテーションでも値段が付くのはなぜですか?

日本ではあまり人気のない古いデザイン、ちょっとバブリーな感じのデザインが、中国の方で人気があるんですよ。古いデザインが逆に今っぽかったり、流行が巡ってきてるのも理由の1つですね。傾向としては、派手めだったりゴツい感じのモノが人気です。買取価格はだいたい数百円から数千円。イミテーションアクセサリーだと、新品でも数万円しないで買えるモノもありますから、捨ててしまうよりは良いと思います。

■ボロボロのバッグも売れちゃう!

――他にも意外と買い取り価格が付くモノってありますか?

「ブランド品のバッグが売れる」ことはご存知だと思うのですが、実はボロボロのモノでも売れます。カビが生えてても売れますね。リペアして販売することもありますし、手に入らないような貴重なバッグだと、多少ボロボロでもお買い取りできます。

――ちなみに、どこのブランドが高く売れるんですか?

主要な3つのブランドで言うと、エルメス、シャネル、ルイ・ヴィトンですね。少し話はズレちゃうかもしれませんが……モノと状態によっては、定価を超える場合があります。例えばエルメスの「バーキン」(エルメスのハンドバッグ)って聞いたことがあると思うんですが、市場に出回る数が非常に少ない希少品なので、エルメスのお店でさえ購入することが難しいものなんです。素材や色とかで値段も全然違うんですが、希少価値が高いモノであれば定価を超えることがあります。

――そうなんですね。ちなみに、小林さんが今まで査定した中で、一番高価なバッグっておいくらぐらいですか?

査定だけしたモノだと、バーキン1つで、2,000万円ぐらいの値が付きました。定価800〜1,000万円ぐらいのものですね。

■意外なアイテム「金歯」

――すごいですね……! そのほか、あまり知られていないモノで意外と高額で買い取ってもらえるモノってありますか?

意外なモノで言うと、「金歯」じゃないですかね。

――金歯!?

はい。実は金歯は売れるんです。また、今は金が高騰しているので、金歯は高値が付く場合があります。他のもので出張買い取りを頼んだついでに、「そういえば祖母から、"これを取っておきなさい"ってもらったんですけど、これも見られますか?」って、真空パックに入った金歯を出されたこともありました。

――そういう保存の仕方をしているんですね(笑)。金歯自体はどんな状態で買い取ることが多いのでしょうか。

買い取るときは、歯から抜けた金歯単体だったり、抜歯した状態で歯に金がかぶさっているモノだったりも買い取ります。私が買い取ったことがあるものだと、入れ歯の裏が全て金だったものがありますね。"歯がついたまま"ということも珍しくありません。

――そうなんですか、ビックリです。歯に付いている金であろうが金の延べ棒であろうが、金としての価値は同じということですか。

もちろん純度によって値段は違うので、その差はあるんですけど、金としての価値が金歯になったからと言って大きく変わることはありません。ですので、金歯でも気にせず査定しています。これまで買い取ったものだと、15万円弱の金歯が最高額ですね。

■ウイスキーやブランデーも高値がつきやすい

――他にも、家を探せば高価で売れそうなモノってありそうですね。

だとすると、お酒も1つあげられますね。弊社で買取対象となるのが、ウイスキーやブランデーなのですが、中でも「ジャパニーズ・ウイスキー」と呼ばれるものは、最近お値段が付きやすくなっています。

――「山崎」や「知多」等、なかなか海外では買えないと言われるブランドがありますが、おいくらぐらいで買い取るんでしょうか?

ここでは、「山崎」を例にあげますね。こちらは年数によって全然値段が違うのですが、お店に並んでいる「山崎」でも数千円の値が付くものはあります。また、弊社ではないですが数千万円の値段がつくものも存在しています。欲しい方がすごく多いのに加え、需要に対して原酒の貯蔵量は非常に少ないため、どんどん希少価値が上がっていくんです。

そのほか、海外のブランデーでも、「レミーマルタン ルイ13世」は値が付きやすいです。ただ、買取価格は状態にもよります。ウイスキーやブランデーは箱があるかどうか、ラベルの剥がれ方や見た目の状態も買取価格に影響します。それと、「目減り」と言って、コルクからお酒が蒸発してしまうこともあるんです。その減り具合でお値段が大きく変わる場合もあります。

■高く買い取ってもらうためのポイント

――なるほど、箱や付属品はあった方が高く買い取ってもらえるんですね。

そうですね。それは、全商材共通して言えることです。ゲームソフトでも箱があった方が良いですし、バッグでも保存袋と箱があればなお良いです。時計とかのブランド品だったら、「ギャランティーカード」という、いつどこで買ったかという保証書があったりするので、モノだけじゃなくて箱などの付属品が付いている完品に近い方が値段は付きやすいです。

――モノによっては、売ろうか売るまいか悩む人もいると思います。

私が意識していたのは、「今後使うかどうか」ということをお客さまに聞くようにしていました。やはり価値があるものでも使わずにしまっておくと、バッグのように値段が下がってしまうものもあるんです。そういったモノの使用頻度とか、ご家族に譲るかどうか、そのモノの行く末をどのように考えているかを意識されるといいかもしれません。

――なるほどですね。そして、たった今、思い出したんですけど、実は国内ブランドの腕時計で止まったままのものがあるんです。高額な修理代がかかるのでそのままにしているんですが、止まった状態の腕時計でも買い取ってもらえるんですかね?

止まっている腕時計でも、値段が付きますよ。止まってからどれぐらいたっているかとか、止まる前にオーバーホールしたのはいつかとか、そういった情報をもとに値段を算出するんです。まずは一度、気軽に相談してみてください。

取材協力:BuySell Technologies