『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』の制作発表会見が29日、都内で行われ、尾上菊之助、中村獅童、尾上松也、坂東彦三郎、中村梅枝、中村米吉、中村橋之助、上村吉太朗、北瀬佳範が出席した。
2001年に「ファイナルファンタジー」シリーズの第10弾として、北瀬佳範プロデュースにより発売されたゲーム『ファイナルファンタジーX』。続編を含め世界累計出荷・DL販売本数は2,110万本以上(2022年3月末時点)のシリーズ屈指の人気タイトルだ。今もなおユーザーから愛されている同ゲームを新作歌舞伎として上演。記念すべき初上演の出演者は自ら企画と演出を担当する尾上菊之助をはじめ、中村獅童、尾上松也ら歌舞伎界を代表する豪華な顔ぶれが揃う。
企画と演出を担当し、主人公のティーダを演じる尾上菊之助は、自身が同ゲームの歌舞伎化を望み、自ら権利元のスクエアエニックスと交渉したという。「新作歌舞伎『ファイナルファンタジーX』の制作が始まったのが2020年3月、コロナ禍の真っ最中でした。当たり前だった歌舞伎公演がなくなってしまい、先行きが見えず何とかしたい、という思いを救ってくれたのが20年前に発売された『ファイナルファンタジーX』でした。コロナ禍の世界、そして戦争が起きている世界に強いメッセージを届けられるのではと思い制作することにしました」と歌舞伎化への経緯を説明し、「その思いに中村獅童さんや同輩たちも賛同してくださって今日の日を迎えられてとても嬉しく思っています。コロナ禍で大変な日本、そしてエンターテイメントの世界に少しでも元気を届けられたらなと思っています」と意気込みを語った。
尾上菊之助から電話で直接出演のオファーを受けたという中村獅童は「菊之助さんと共演させていただくことも約10年ぶりぐらい。なかなかご一緒する機会がなく、プライベートでもお会いすることがなかったのでビックリしましたがうれしかったです。今からやるのがとても楽しみで、新しい菊之助さんと作れる喜びが1番大きいですね」と尾上の熱い気持ちに胸が打たれたという。
尾上菊之助が演じる主人公ティーダの相手・ヒロインのユウナ役には中村米吉が演じる。「菊之助兄さんのティーダと私のユウナは淡い恋心を抱きながら旅が続きます。男女での共演はあまりないので楽しみな部分ではあります」と尾上菊之助との共演を喜び、「ユウナというヒロインが魅力的であればあるほど切なくなると思うので、ビジュアルの再現度を少しでも原作に近づけられるように頑張りたいと思います」と意欲満々。その中村は衣装合わせの時に撮影した写真を坂東彦三郎に見せたことを明かし、「ちょっと胸が小さいというお叱りもいただきましたのでその部分も改良させていただきます」と笑いを誘っていた。
『新作歌舞伎 ファイナルファンタジーX』は、2023年3月4日~4月12日(3月8日・15日・22日・29日、4月5日は休演)の期間、東京・豊洲のIHIステージアラウンド東京で上演される。