日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’22』(毎週日曜24:55~)では、親が育てられない子どもを匿名で受け入れる「こうのとりのゆりかご」を取材した『大きくなった赤ちゃん~ゆりかご15年~』(熊本県民テレビ制作)を、きょう27日に放送する。

  • 「こうのとりのゆりかご」で1例目に預けられた宮津航一さん

日本で唯一の赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」を運営する熊本市西区の慈恵病院。県内で相次いで発生した子どもの遺棄事件に心を痛めた当時の理事長・蓮田太二さんが「子どもの命を救いたい」と2007年5月に開設した。開設から15年で預け入れられたのは161人。未就学児で預けられた男の子もいた。

開設日に3歳で預けられた宮津航一さんは高校を卒業して18歳に。当事者の1人としてゆりかごへの想いを持ち続けている。「僕が両親に出会えたのはゆりかごのおかげ」と話す宮津さんだが、自分が誰から生まれてきたのか、小学生まで分からなかった。ゆりかごを頼る人たちに「託された子どものために愛した証を残してほしい」と願っている。

  • 「こうのとりのゆりかご」

匿名での運営とはいえ、病院も出自をないがしろにしているわけではない。息子として意志を受け継いだ蓮田健さんは、ゆりかごに預け入れる前にできることを探して、病院で名前を明かさずに出産ができる「内密出産」を導入した。導入表明から3年となる今年、匿名で出産したいという女性が病院に現れた。ゆりかごの赤ちゃんと向き合ってきたからこそ、少しでも多くお母さんだった証を残してあげたい…。

しかし、赤ちゃんを病院に置いていくという残酷な選択肢を前に、女性も職員も葛藤を抱えていた。国は9月に内密出産のガイドラインを示し、日本全国で事実上、内密出産が可能となった。国を動かした慈恵病院だが、そこには先行事例の病院だからこそ見える課題があった…。ナレーションは、大東駿介が担当する。

  • 国内初の内密出産で生まれた赤ちゃん

  • 内密出産で唯一身元を知る職員が葛藤を語る