『仮面ライダーセイバー』テレビシリーズ(2020~2021年)の最終回から1年後を描く『仮面ライダーセイバースピンオフ 仮面ライダーサーベラ&仮面ライダーデュランダル』が、東映特撮ファンクラブ(TTFC)で配信されている。

  • 神代凌牙を演じる庄野崎謙 撮影:大門徹

本作は、テレビシリーズで強烈な存在感を残した神代玲花(演:アンジェラ芽衣)と凌牙(演:庄野崎謙)の”神代兄妹“を主役に、なんと玲花の結婚がテーマになっているという。劇中を通じて強い絆を見せてきた二人の関係はどうなってしまうのだろうか。本稿では、兄の凌牙を演じる庄野崎謙にインタビューを行った。

――『仮面ライダーサーベラ&仮面ライダーデュランダル』の企画を聞いた時の感想は?

TVシリーズの撮影をしていた時に、こういう企画が進むかもしれないとは聞いていました。でも話が出たのは本当に終盤だったと思います。ありがたいことに、本編でも神代兄妹が活躍する『ゼンカイジャー』とのコラボ回があり、見てくださっている方々が盛り上がってくれている時期でした。本格的に制作が決定して動き出したのは、本編が終わってからです。神代兄妹単独での写真集の企画もあり、そうした流れの中で撮影も今年に入ってから行われました。

――妹・玲花役のアンジェラ芽衣さんとはコンビネーションもバッチリですね。

僕は先に本編を観ていたので、共演するまでクールビューティーな印象をもっていたんです。でも実際に会ってみたら真逆で、人見知りで緊張しいなところがあったようですが、兄妹役ということもあり、積極的にコミュニケーションをとってくれました。仲良くなったのは、神代兄妹がノーザンベースに乗り込むエピソードの撮影がきっかけでした。一緒にいる時間が長く、話をする機会も多くなり、そこでようやく打ち解けられるようになりました。僕自身には妹がいないので、実際の兄妹がどんな感じなのかはわからないのですが、そこからは言いたいことを言えるようになり、いい意味で気を遣わなくていい関係になっていきました。

彼女は本当に芝居に熱心ですし、『仮面ライダーセイバー』が初めての演技ということもあったので、なんとか食らいついていきたいという気持ちで監督たちと作り上げていく姿を見ていました。そうした姿勢に僕自身も初心に帰る思いがしました。

――さまざまな作品を経験されている庄野崎さんですが、「仮面ライダー」の現場ならではで驚いたことはありましたか。

ありましたが、僕たちの場合はコロナ禍ということもあり、例年と違っていたところも多かったので一概には言えないことなのかもしれません。とはいえ、中でもCGを使ったシーンの撮影は新鮮でした。最初は戸惑うこともあったんですけれど、結果的にこれが新しい挑戦にもなって楽しめたところでもありました。離れた場所にいるマスターロゴス(演:相馬圭祐)と、さも近くにいるように会話する合成シーンでは、まるで相手がすぐそこにいるように演技をしなければならないので、最初のうちは難しかったんです。でも慣れてくると楽しいなと思えました。

しかしなんといっても大きかったのは「変身」です。僕は初日の撮影が変身するシーンでした。どうやらほかの方々はある程度現場を踏んでからアクション監督の渡辺淳さんと相談しながら決めていったそうなのですが、僕は行ったその日に変身だったので、当日に変身ポーズも決める必要がありました。いくつかアイデアを出し合っていたのですが、エピソードの担当だった坂本浩一監督に「実は、家でこんなポーズを考えてきたんですけど……」と提案したらありがたいことに採用してもらえたんです。両手を広げて90度回転させ、右手がてっぺんに来たところでガチャン!と下ろす動きです。

変身する前には仮面ライダーブレイズを剣で動きを止め、切りつけるシーンもあったのですが、演じるスーツアクターの永徳さんの反応がすごくて、僕自身もそれに負けないよう強くいなければならないと奮い立ち、興奮のまま初日の撮影を終えたのを覚えています。

――凌牙は当初から圧倒的な”強者感”がありましたね。

そうですね。僕自身も強くあることを特に意識していました。でもそのために僕らしさをなかなか出せなかったというところはあるんですけど……。でも、それくらい世界の平和を守る人というのは特殊で、僕の日常にはないようなことを理念としてもっていると思うので、そこでブレないように、人に振り回されないように貫くというところは意識していました。