――ストーリーが進むにつれて、凌牙にも少しずつ変化がありました。

最初はマスターの指令を全うするために動いていましたが、マスターの不穏な動きを感じ、神山飛羽真(演:内藤秀一郎)たちと接触するなかで、自分の見ている世界は違うのかもしれないと疑問をもち始め、彼が自分自身を見つめなおすシーンがいくつかありました。結局は玲花と二人で進んでいくことを選択したあたりで徐々に人間らしさが出てきましたよね。

凌牙が人間らしさを出していくことで、僕自身にも少し近づいていったかなという印象です。そして『ゼンカイジャー』とのコラボ回「界賊来たりて、交わる世界。」で神代兄妹を掘り下げてもらったということも大きいですし、女装に挑戦したというのも一皮むけるという意味で重要な回だったなと思います。ガチガチに固いキャラクターだった凌牙を諸田敏監督が素敵に料理してくださって、ありがたかったですね。

――”SS兄妹”も話題になりましたね。

あれはもともと内藤くんから始まったムチャぶりリレー企画だったんですけれど、けっこう早めに順番が来てしまったんです。神代兄妹二人でやるということ以外は決まっていませんでした。最初はパンスト相撲とかどうかなと思ったんですけれど、さすがにNGが出ちゃいまして……。どうしようか思いあぐねているうちに撮影当日を迎え、朝にYouTubeを見ていたら、たまたまチョコレートプラネットさんの「TT兄弟」が流れてきたので、そのパロディで「SS兄妹いけるんじゃないかな」と思ってアンジェラさんに相談したんです。そうしたら「おもしろそうですね」と乗ってくれたので、やったところいつものキャラとのギャップもあったのか、視聴者の方々もおもしろがってくださいました。盛り上がってよかったです。

――今回はそのSS兄妹……いや神代兄妹が主役の作品となりますが、台本を読んだ感想は?

ずっとクライマックスという感じがしました。本編自体の時間が短いぶん、冒頭から展開に次ぐ展開がある内容なので、もちろんプレッシャーも感じましたし、その反面でいろんな凌牙が出せる喜びがありました。神代兄妹がどんな二人なのか、しっかりと伝わる台本で、これはおもしろくなるなと感じました。

――Vシネクスト『仮面ライダーセイバー 深罪の三重奏』がTV本編から8年後のお話なので、作品の時間軸としては巻き戻ることになるんですね。

『深罪の三重奏』では、凌牙は玲花に完全に引っ張っられているので、『サーベラ&デュランダル』はそこにゴールを設けて、逆算していくような流れにして気持ちを作っていきました。でも大変ということは思っていなかったかもしれません。しっかりした台本が出来上がっていましたので、気持ちの面でもすんなり演じることができました。それよりも、玲花が結婚するということへの思い、葛藤を表現する場面のほうが難しさがあり、何度も撮り直しました。

――凌牙は劇中で今回どのような動きをするのでしょう?

今回のストーリーは、そもそもなぜ玲花が結婚することになったのかというところから始まります。それには聖剣「煙叡剣狼煙(えんえいけんのろし)」をめぐる継承問題が大きく関わっているんです。神代家はもともと「時国剣界時(じこくけんかいじ)」を受け継いできた一族ですから、玲花が継承者となった「煙叡剣狼煙」が今後どのように受け継がれていくかは懸念事項でもありました。戦いの最中にはそんなことも言っていられませんでしたが、世界も平和を取り戻したこともあり、凌牙たちは家の問題に向き合わざるをえなくなります。

凌牙はいままで玲花に対して先輩剣士として接する面が多かったと思うのですが、本作では兄として向き合う比重が大きくなっています。加えて、時には親のような目線を向けることもあります。兄を超えた親心が、今回の一つのテーマなのかもしれません。玲花のそんな姿を見るのは、お芝居とはいえ堪えました。

――玲花のウエディングドレス姿にはこみ上げるものがあったのではないですか?

現場では照れくさくて茶化してしまいましたが、凌牙としてなかなか受け入れられない感情も同居していて……でも、やっぱり素敵でしたし似合っていました。

――本作で久々の共演となる生島勇輝さん、富樫慧士さんとは何かやりとりをされましたか?

生島さんとは本編中でもよく芝居の話をしていたので、変わらずに映画の話や近況報告なんかをしていました。生島さんは懐の深い方で一緒にいると居心地がよく、素敵な方なんですよ。富樫くんとも久々だったのですが、よく一緒にゲームをしていたり、お互いにバスケをしていたのでバスケの話で盛り上がったりしていました。彼は芝居にも熱心で、緋道蓮というキャラクターをいろんな監督たちと言葉を交わしながら作り上げていく姿を見て、たくましさを感じていました。

――あらためて本作の見どころを教えてください。

神代兄妹のお話なので、二人が結婚というテーマにどう心を動かされて進んでいくのか、もちろん矢崎さん演じる御手洗も登場して、尾上亮、緋道蓮との絡みもあるんですけど、神代兄妹のより強い絆を感じさせるところは、何度も何度も演じたシーンでもありますので、ぜひ楽しみにしていただきたいなと思っています。それとアクションシーンは圧巻で、本編とはまた違う戦いを見せるので、コンビネーションにも注目していただきたいです。

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